MetaClone®スタジオとは、どのようなサービスなのだろうか?その概要や反響、今後の展開について、凸版印刷株式会社ミラバース事業開発部・部長の張平さんにお伺いした。
着用時の生地感や揺れ感を、忠実に再現できるMetaClone®スタジオ
まず、御社で展開されているMetaClone®スタジオの概要について教えてください。
MetaClone®スタジオは、企業やブランドを表現したバーチャル空間上に、店頭や会場で撮影した自身の顔を持つアバターをその場で生成します。体験者にとって気軽に「企業やブランド独自の世界観」「バーチャル試着」などを提供できるPRパッケージです。MetaClone®スタジオを活用することで、店頭や会場でのPR活動の強化、バーチャル試着体験を通じたファッションアイテムの販促施策などが可能となります。近年メタバースの活用範囲は拡大しており、メタバースの活用が多くの産業の発展に寄与することが期待されています。バーチャルフィッティングは、これまでユーザーの写真に服の画像を重ねる方法が主流で、リアルな試着シミュレーションが困難という現状がありました。
凸版印刷では、2021年に開発したMetaClone®アバターを用いてアバターを生成し、メタバース上で試着するという新しい手法を用いています。これによって、アバターが衣服を着用する際の生地感や揺れ感を忠実に再現できるようになりました。
MetaClone®スタジオは4月期間限定で、伊勢丹新宿店の「クレプリ ツモリチサト」POP UPストアに導入されたそうですが、導入にあたって課題はあったのでしょうか?
MetaClone®スタジオの開発には、店頭での顧客体験の設計や、各ブランドの世界観をどう表現するかといった課題がありました。具体的には、人物の画像の撮影時に店頭ならではの明るさや背景色などの環境の違いがあります。これに対応するため、エラー対応や設定を変更しました。今回ご採用いただいたクレプリのコンテンツにおいては、ブランドの世界観を表現するために、アバターが試着を体験する3D空間の色味・ライティングや、ダンス中のカメラアングルなどにこだわりました。
MetaClone®スタジオは、衣服の着用時の生地感や揺れ感・動きなどの3Dならではのリアルな再現に重点をおいて開発しました。最新の3DCG技術の活用により、メタバース上でのアバターによる違和感のない試着を実現しています。実際に試着をしなくても着用感を確認することが可能となっています。
リリースから1ヶ月、早くも問い合わせが多数
具体的に、MetaClone®スタジオではどのようにアバターを生成し活用する のでしょうか?
店頭で自分の顔写真を1枚撮影するだけでアバターが生成されます。企業やブランド独自の世界観の体験や、バーチャル試着体験が可能となります。現在利用できる場面はアパレル店舗やイベント会場、観光地の3つを想定しています。たとえばアパレル店舗では、店頭に設置しリアルとメタバースを連動させた企画が可能です。ファッションブランドに導入すると、バーチャル上でリアルな試着シミュレーションができるため、実際に試着しなくても着用イメージが湧くようになります。
スポーツやアニメ・ゲームなどのファンイベントの会場に設置すると、ユーザーはアバターとしてバーチャルスタジアムに登場することができるほか、アニメ・ゲームのキャラクターと同じ衣装やスポーツチームのユニフォームを自身のアバターに着せることができ、ファンのロイヤリティ向上を支援します。
観光地に関しては、博物館や資料館などに設置することで、自身のアバターに衣装を着せて歴史上の偉人に扮するといった活用が想定されます。地域活性化の起点となるようサポートします。