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2023.03.22

ランドセルの長所とアウトドア用品の機能が融合! モンベルの通学用バックパックのすべて

軽い……。手に持ってまず、そう感じた。存在感が革のランドセルを思わせる分、手に取ると軽さが際立つ。モンベルがアウトドア用品の開発で培った技術を結集し、子どもたちの毎日の快適と安全を追及して作り上げた通学用バックパック「わんパック」。実物を見ながら株式会社モンベル広報部の黒瀬美保さんに便利な機能をお聞きした。
わんパック 14,850円(税込) ブルー(BGN)、レッド(WRD)、ブラウン(BN)の3色展開
わんパック 14,850円(税込) ブルー(BGN)、レッド(WRD)、ブラウン(BN)の3色展開

ランドセルの長所を継承し、さらに進化させた

「機能的でお子さんが使いやすい、軽くて丈夫な通学用バックパックです。革のランドセルの良いところを取り入れて進化させつつ、モンベルがこれまで培ってきたアウトドアメーカーならではのノウハウをどう取り入れるのがベストなのか。そこが開発のポイントになりました。ランドセルの長所には、開閉の簡単さ、中身の見やすさ、自立する安定性などがあります」
たしかに、開け閉めが簡単で中身がひと目で見渡せて、自立するから出し入れしやすいのはランドセルの長所といえる。
「『わんパック』はトップのテープを持って引くワンアクションで開閉できる機能を持たせてあり、大きく口が開くので物の出し入れがしやすいです。背面と底面にパネルを入れることで自立し、型崩れしにくくなっています。また、水濡れに強く丈夫で軽い素材を用いているため、重量は930gと従来の皮革製ランドセルに比べて非常に軽量です」
ワンアクションで開閉できる独自のシステムを採用
ワンアクションで開閉できる独自のシステムを採用
大きく開き、内側に名札ホルダーを装備
大きく開き、内側に名札ホルダーを装備

PC・タブレット、水筒にレインウェアもすっきり収納できる

「今の小学生は授業でノートパソコンやタブレットを使いますから、それらの機器を安全に収納できる独立した背面ポケットがついています。前面のポケットにはマチが広めにとってあるので、小物だけでなくレインウェアなどのかさばるものも入れられます。
また、両サイドにポケットとカラビナがついており、給食袋や体操着袋などをかけるのにも便利です。サイドのポケットに標準装備で格納してあるレインカバーは、雨降りのときサッとトップに被せてジッパーを覆うとができます」
前後に配置した反射テープで夜間の視認性を高めてあるのもうれしい
前後に配置した反射テープで夜間の視認性を高めてあるのもうれしい
サイドポケットにレインカバーを標準装備
サイドポケットにレインカバーを標準装備
シンプルな見た目だが収納力が高く、軽くて丈夫で長持ちしそう。夜間や雨天時の安全性と快適性にも対応しており、アウトドア用品と通学用ランドセルの融合は見れば見るほど合理的というしかない。そもそも一体どのような経緯で、「わんパック」の開発が始まったのだろうか?
「富山県立山町から『機能的で軽く、かつ経済的にも負担にならないランドセルを町の子どもたちに贈りたい』と相談がありました。モンベルと立山町が締結している包括連携協定の中の一項目である『子どもたちの生き抜いていく力の育成に関すること』に沿った取り組みとして本件のプロポーザルに参加し、立山町の小学生が使用する『通学用バックパック』として開発しました」
2017年に立山町と締結した包括連携協定の一環として、この通学用バックパック開発の取り組みはスタートしたのだという。
「当初は市販する予定ではなかったんですが、2021年に試作品の発表を行なった際に多数のお問い合わせがあり、立山町に市販について相談をしたところご快諾いただき、モンベルで全国販売することになりました」
今年4月から、富山県立山町ほか2つの自治体で一括購入したわんパックを背中に新1年生たちが小学校に通い始めるという。現在、モンベルの商品ラインナップにも入っているので、全国の直営店やオンラインショップで手に入れた「わんパック」を背負う新入生の姿が、全国各地でも見られるかもしれない。
「来年の新1年生のために、購入したいとおっしゃる親御さんからのお問い合わせを、すでにたくさんいただいています。予約限定販売ではなく通常商品ですので、入荷すると店頭にも並びます。まだ入荷待ちの状況ですが、ぜひ手に取って軽さと丈夫さ、便利さを見ていただき、選択肢のひとつにしていただきたいと思っています」
とくに調節しなくてもハーネスが左右に動き身体にフィット
とくに調節しなくてもハーネスが左右に動き身体にフィット

フレキシブルショルダーベルトが成長に応じて快適にフィット

「成長に応じて使いやすいものにしていくために、通常のアウトドア用バックパックに採用されている、長さ調節の部品がハーネスの下部についています。また、ハーネス上部をフレキシブルショルダーベルトにしています。このシステムはハーネス上部のDリングにより付け根が左右に自由に動くので、体格や成長に応じてお子さんの身体にフィットします」
完成度の高さとシンプルなデザイン。「わんパック」を使ってみたいと思うのは小学生に限らないのではないだろうか?
「たしかに中学生や高校生、大人の方からも使っていいかどうかお問い合わせをいただいています。小学生を対象にした製品なので、積極的にお勧めはしていませんが、『わんパック』に関心を持っていただけるのはうれしく思います」
2023年度の新1年生が、「わんパック」を使う第一世代になる。彼らや彼女らは従来のランドセルと比較することなく、まっさらな感覚で日々の通学に使用するわけだが、さてその感想如何なるものになるだろうか? 大人からしても、これをベースにした通勤用バックパックがもし製品化されたら、ぜひ試してみたい。
PROFILE|プロフィール
黒瀬美保(くろせみほ)
黒瀬美保(くろせみほ)

株式会社モンベル広報部
カヤックが趣味でモンベルに入社し、カヤック関連の営業からスタート。広報を担当して14年。「弊社の社員は、アウトドアが好きで楽しみながら製品に関心を持ち、フィールドで使った感想やアイデアなどを企画開発や営業などにフィードバックしています」

Text by Naoki Sakata

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