「ザ キング オブ スウェットシャツ」と評されたChampionのスウェット 日本でも1980年代にはすでにメジャーなアスレチックウエアとして認識されていたが、その歴史は長く100年以上前に遡る。まずはそこから確認していこう。Championは、1919年にニューヨーク州ロチェスターに誕生する。創業者のサイモン・フェインブルーム氏が、のちにチャンピオン社となる「ニッカーボッカー・ニッティング・カンパニー」を設立し、主にセーターの販売を手がけていたという。
サイモン氏の没後、その息子のエイブ&ウィリアム・フェインブルーム兄弟が「チャンピオン・ニッティング・ミルズ社」として事業を受け継ぐ。当初彼らはTシャツやソックス、スウェットシャツの原型であるウールの下着を、屋外労働者の防寒用として販売していた。
その後、米軍アカデミーの訓練用ウエアに採用されるなど、いくつかの大きな事柄を経て、アスレチックウエアを起源とした機能的なデザイン・耐久性・素材・縫製といった一つひとつのディテールにこだわったものづくりを続け、Championはいつからか「ザ キング オブ スウェットシャツ」と評されるほど、世界中の多くのファンに愛されるブランドになっていったのだった。
100年超える歴史から掘り起こしたTRUE TO ARCHIVES そんな「ザ キング オブ スウェットシャツ」と評されたChampionからリリースされている「TRUE TO ARCHIVES」というラインがある。これは、Championの100年を超える歴史のなかで培ってきた素材、デザインなど“Archives”の資産を掘り起こし、忠実に再現して完全復刻した商品というラインだ。このTRUE TO ARCHIVESから選りすぐりのアイテムを紹介しよう。Championを語る上で避けては通れない名品がある。それが「REVERSE WEAVE® (リバースウィーブ® )」と呼ばれる、Championが独自に開発したディテールのスウェットシャツだ。その1stモデルがTRUE TO ARCHIVESから復刻されている。
1934年に開発されたREVERSE WEAVE® は、サム・フリードランド氏(元老舗紳士服店のカッター)が顧客から「洗濯による縮み」を指摘され、それを解決するため試行錯誤の末に考案した製法だ。本来は縦方向に使われる生地を横方向に使用し、縮みを軽減することに成功した。
REVERSE WEAVE® は1938年に製法特許を取得。この製法を用いた最初期のクルーネックスウェットシャツの復刻版は、肩に縫い目のない一枚布で作ったシームレスショルダーや、筒状のスウェットからパターンを起こす当時の製法を忠実に再現。現行の製品に付いているREVERSE WEAVE® の襟ネームの表記や、Championのトレードマークである左袖のCロゴワッペンが付いていない点も、当時の仕様のままとなっている。
当時の資料と思われるもの、生地の裁断方法や、生地目が分かるような内容が描かれている REVERSE WEAVE® 1stパテントモデル クルーネックスウェットシャツ 22,000円(税込)
現在の姿に近づいたREVERSE WEAVE® 2nd 1stモデルから引き続き、生地を横方向に使用して縦の縮みを防ぐ仕様や、トレードマークのCロゴワッペンが付いていない仕様はそのままに、両脇にリブを付けた「EXPANSION GUSSET(エクスパンションガゼット)」を採用することで横の縮みへの影響も少なくし、動きやすさにも配慮されたREVERSE WEAVE® 2ndモデルが誕生する。この改良によって1952年に2度目の製法特許を取得するのだが、このデザインから今も世界中で愛 されるREVERSE WEAVE® のディテールが形作られていく。そして四方をすべて縫い込んだ通称「タタキタグ」といわれる襟ネームには、REVERSE WEAVE® とEXPANSION GUSSETのパテントナンバー(特許番号)が表記されている。このTRUE TO ARCHIVESではそれらの仕様やディテールが忠実に再現されている。
当時の社名チャンピオン・ニットウェア・カンパニーとREVERSE WEAVE®、EXPANSION GUSSETが襟ネームに書かれている サイドのリブEXPANSION GUSSETが脇腹部分に施された仕様 REVERSE WEAVE® 2ndパテントモデル クルーネックスウェットシャツ 22,000円(税込)