デザートブーツや
ワラビーなど、数々の名作を世に送り出してきた
Clarks(クラークス)。そんな2万2,000点以上ものアーカイブを擁する英国の老舗シューズブランドが最初に手がけたのは、意外にもムートンボアで仕立てられた一足のスリッパだった。
そして創業200年を迎えた今年、クラークスはその始まりを象徴する「
Petersburg(ピータースバーグ)」を復刻した。素材から製法に至るまで、不変のブランドコンセプトである「快適さ」を体現したその姿は、現代に生きる私たちに何を語りかけるのか?
クラークスの創業者であるジェームズ・クラーク氏(写真左)とサイラス・クラーク氏(右)靴づくりの始まりは、端材を使ったスリッパ
最初にスリッパが作られた理由は、ブランドのルーツに深く関係している。クラークスは1825年、ジェームズ・クラーク氏とサイラス・クラーク氏の兄弟によって、英国南西部サマセット州ストリートで創業された。もともとクラーク家はシープスキンを使ったラグづくりを家業としており、その革は兄サイラスが営むタンナーから仕入れていた。
ピータースバーグのオリジナル。復刻モデルと比べてすっきりとした細身のフォルムジェームズ・クラーク氏は、ラグづくりには使われない短毛の羊から取れるムートンボアを有効活用するため、一足のスリッパを作ることを思いついた。地元の靴職人エソー・ウィットネル氏と協力し、3年の歳月をかけて完成させたのがピータースバーグである。