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2023.09.01

音楽とファッションが融合した、特別展「Perfume COSTUME MUSEUM」の魅力

2005年のメジャーデビューから、数々の名曲と斬新なパフォーマンスで世界中の人々を魅了してきたPerfume。彼女たちの衣装はメンバーの個性を際立たせ、また楽曲の世界観を表現する、まさに芸術作品といえる。それらの衣装は、常に進化を続けており、コンサートごとに新しい衣装が登場し、どのような演出を見せてくれるのかも楽しみのひとつだろう。
そんなPerfumeのコスチュームが一堂に見られる特別展「Perfume COSTUME MUSEUM」が2023年9月9日から11月26日まで兵庫県立美術館で開催される。特別展の見どころについて、当施設の特別展・国際交流担当 学芸員である橋本こずえさんにインタビューを実施した。
PROFILE|プロフィール
橋本 こずえ(はしもと こずえ)

横尾忠則現代美術館を経て、2015年より兵庫県立美術館勤務。「美術の中のかたち 青木千絵展」、「注目作家紹介プログラム チャンネル 入江早耶展」、「注目作家紹介プログラム チャンネル 飯川雄大展」などを担当。

ファッション文化の聖地・神戸で開催

はじめに、「Perfume COSTUME MUSEUM」の開催に至った経緯について教えてください。
今回の特別展は、兵庫県立美術館と神戸新聞社が主催しています。神戸新聞社さんが企画を進めていた段階で、当館での開催のご提案をいただきました。独創性にあふれる衣装に特化した内容ということで一緒に展覧会を開催することとなり、衣装の調査から参加させていただきました。
もともと神戸は日本のファッション文化が早くから栄えた場所で、ファッション美術館があったり、アパレル産業が盛んだったりする街です。兵庫県立美術館でも以前「ミナ ペルホネン」展や「コシノヒロコ」展などが行われたことがあり、ファッション関連の特別展にも適している場所となっています。
Perfumeさんの衣装は、独自のデザインとテクノロジーの絶妙な組み合わせによって際立っており、一般的なアーティストのものとは異なります。これらのデザインとテクノロジーがステージ上でどのように映えるかを考慮することは、その創造の重要な要素となっています。
特にクリエイティブチーム「Rhizomatiks(ライゾマティクス)」の協力を通じて、Perfumeさんの衣装は独自のデザインを発展させてきました。テクノロジーとの融合はもちろん、楽曲の世界観を補強し、さらに、強いデザイン性や独自の表現を持っているのが特徴です。
そのような衣装の進化とデザインの独創性を紹介することで、ファンだけでなく幅広い世代の方々にも魅力的に感じてもらえると考えました。今回の特別展ではこうした要素を紹介し、Perfumeさんの進化とファッション文化の交差点を探求するものとなっています。
これまでは、Perfume Fashion Project「Perfume Closet」などのイベントで一部の衣装が展示されたことはありましたが、今回の特別展ではこれまでにないほどの多くの衣装が集まり、それらを初めて一堂に見られる貴重な機会となっています。特別展を通じて、Perfumeさんの衣装のデザインやテクノロジーとの接点、その魅力をじっくりとご覧いただけると思います。
実際に衣装を見られた印象はいかがでしたか。
まず、その膨大な数に驚きました。そもそも今回の展示のきっかけとなった装苑『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』にも761着の衣装が掲載されています。
それに加えて、この本に掲載しきれなかった衣装も存在しているんです。
しかも、これらの衣装はその役割を終えた後もきちんと保管されており、衣装ケースに整理され、アーカイブとなっています。このような膨大な数の衣装が所属事務所のAMUSEさんによって大切に保持されていることからも、Perfumeさんにとって衣装は非常に重要な財産であることが感じられました。
『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』より 「TOKYO GIRL」2017年 ©文化出版局
『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』より 「TOKYO GIRL」2017年 ©文化出版局
その膨大な衣装から、今回展示する衣装はどのように選ばれたのでしょうか。
今回の特別展では、装苑編集部による『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』(文化出版局、2020年)を起点に、厳選した約170着の衣装を展示します。
メジャーデビュー以降の衣装を時系列でたどり、1章(2005年~2011年)、2章(2012年~2015年)、3章(2016年以降)にわけ、その中でのシングル曲や重要なデザインと考えられる衣装を中心にピックアップしております。
また、選び漏れがないように所属事務所を通じてPerfumeさんをはじめ、スタイリストのToshio Takedaさん、三田真一さん、ドレスメイカーの櫻井さんや内藤さんにも出品衣装についてご意見をいただきました。
また、4章のステージ衣装を展示するコーナーでは、あ〜ちゃんさん、かしゆかさん、のっちさんが選んだ衣装も展示されます。コンサートに思い入れが強い3人からご提案いただき、多めに選んでもらった衣装の中から、展示会場の構成に合わせて企画者側で最終的に決定させていただきました。
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