西武新宿線・野方駅近くに、戦後の闇市から続くディープな「野方文化マーケット」がある。その迷宮の一角でひときわ異彩を放つのが、古着屋「
吊り橋ピュン」だ。
店主サトルさんが“今の気分”で集めた90年代のバンドTシャツや平成アイドルグッズは、ただ懐かしいだけではないユーモアと熱気に満ちている。
一度聞いたら忘れられない店名の由来から、サトルさんのカルチャー観まで。クセになる古着屋の奥深い世界を掘り下げていく。
野方文化マーケットの迷宮と、異彩を放つ『吊り橋ピュン』
一瞬、足を踏み入れるのをためらってしまうほど、ディープな空気が漂う「野方文化マーケット」。細い通路にはおでん屋や居酒屋など、一癖も二癖もある店がひしめき合い、独特の熱気と混沌が渦巻いている。のんびりとした野方の街に突如現れるその佇まいは、まるで過去にタイムスリップしてきたかのような不思議なオーラを放っている。近年、アンダーグラウンドなスポットとして若者からも注目を集めるこの場所で、なぜ店を開いたのか。その答えには、意外にも「中野ロープウェイ」のイトウさんが深く関わっていた。
「もともと、『中野ロープウェイ』のイトウさんにはお世話になっていて、一緒にバンドを組んだりサウナに行ったりする仲なんです。