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【水野大二郎×Synflux】「今、ファッションには“遊び”が重要だーーファッションデザインとテクノロジーの接続を考える」

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京都工芸繊維大学未来デザイン・工学機構教授の水野大二郎氏とお届けする特集企画「ファッションデザインとテクノロジー」。第2回はスペキュラティヴ・デザインラボラトリー「Synflux」の皆さんを迎えたオンライン座談会を実施しました。
先日、水野氏と共に『サステナブル・ファッション ありうるかもしれない未来』を出版したことでも注目を集めている中で、これからのファッションデザインとテクノロジーをどう接続すればいいのか、そこで鍵となるポイントとは何か、それぞれの専門的な観点からお話しいただきました。
PROFILE|プロフィール
水野 大二郎(みずの だいじろう)
水野 大二郎(みずの だいじろう)

1979年生まれ。京都工芸繊維大学未来デザイン・工学機構教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授。ロイヤルカレッジ・オブ・アート博士課程後期修了、芸術博士(ファッションデザイン)。デザインと社会を架橋する実践的研究と批評を行う。近著に『サステナブル・ファッション: ありうるかもしれない未来』。その他に、『サーキューラー・デザイン』『クリティカルワード・ファッションスタディーズ』『インクルーシブデザイン』『リアル・アノニマスデザイン』(いずれも共著)、編著に『vanitas』など。

PROFILE|プロフィール
川崎 和也(かわさき かずや)
川崎 和也(かわさき かずや)

Synflux株式会社 CEO
1991年生まれ。スペキュラティヴ・ファッションデザイナー。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科エクスデザインプログラム修士課程修了。専門は、デザインリサーチとファッションデザインの実践的研究。 主な受賞に、H&M財団グローバルチェンジアワード特別賞、文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品選出、Wired Creative Hack Awardなど。Forbes Japan 30 under 30 2019、WWD JAPAN NEXT LEADERS 2020選出。経済産業省「これからのファッションを考える研究会 ファッション未来研究会」委員。監修・編著書に『SPECULATIONS』(ビー・エヌ・エヌ、 2019)、共著に『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社、 2022)、共編著に『サステナブル・ファッション』(学芸出版社、 2022)がある。

PROFILE|プロフィール
佐野 虎太郎(さの こたろう)
佐野 虎太郎(さの こたろう)

Synflux株式会社 CDO
1998年生まれ。スペキュラティヴ・ファッションデザイナー。慶應義塾大学環境情報学部卒。コンピュテーショナルデザイン、バイオデザインを応用した新しい衣服の設計手法を思索する研究開発を行う。近年はアルゴリズミックデザインの専門家らと協働し、微分幾何学や進化的アルゴリズムの考え方を応用して身体や環境に最適化する衣服の設計手法の開発に注力している。主な受賞に、H&M財団グローバルチェンジアワード特別賞、Wired Creative Hack Awardなど。共編著に『サステナブル・ファッション』(学芸出版社、 2022)がある。

PROFILE|プロフィール
岡本 空己(おかもと ひろき)
岡本 空己(おかもと ひろき)

Synflux株式会社 CTO
1987年生まれ。アルゴリズミック・アーキテクト。東京理科大学大学院工学研究科建築学専攻および情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現研究科メディア表現専攻修士課程修了。設計事務所である株式会社ノイズ勤務を経て建築、写真、グラフィック等様々なバックグラウンドを持つメンバーから成るコレクティブv0id(ヴォイド)として活動。映像制作、インスタレーション展示、インテリアデザイン、ファッションデザイン等領域を横断する活動を行っている。主な受賞に、MADD. Award 2019 優秀賞、ADAA(Asia Digital Art Award) 2019入賞、International Talent Support: ITS 2020 Finalistなど。2021年よりSynfluxに参画。

PROFILE|プロフィール
藤嶋 陽子(ふじしま ようこ)
藤嶋 陽子(ふじしま ようこ)

Synflux株式会社 リサーチリード
1988年生まれ。ファッション研究者。東京大学大学院学際情報学府博士課程満期退学。University of the Arts London(Central Saint Martins)にてファッションデザインを学んだ後、ファッションとメディア、日本のファッション産業史を専門に研究。 2019年に株式会社ZOZOテクノロジーズ入社。ZOZO研究所リサーチサイエンティストを経て、「Fashion Tech News」編集長に就任。経済産業省「これからのファッションを考える研究会 ファッション未来研究会」委員。2022年よりSynfluxに参画、明治大学商学部特任講師、理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員を兼務。編著に『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社、2022)、共著に『ソーシャルメディア・スタディーズ』(北樹出版、2021)、共訳に『ファッションと哲学』(フィルムアート、2018)など。

『サステナブル・ファッション』への反響

水野今年の9月に『サステナブル・ファッション ありうるかもしれない未来』という本を皆さんと出版しましたが、本書に対してのSynfluxへの期待や反響はどのようなものがあったのか、まずお聞かせください。
川崎反響という意味では「実践的である」という意見が多かったと思います。本書では、世界的なサステナブル・ファッションの理論や事例だけでなく、Synfluxが何をやっているのか、どんな技術や手法を実際に使っているのかという内容をたくさん盛り込んだので、そこに注目いただいたのかと考えています。
2008年に、サステナブル・ファッションの研究がロンドン・カレッジ・オブ・ファッションのセンター・フォー・サステナブルファッションで本格的に勃興してから15年経ちました。その中で、社会構想と社会実装、深い思索と実践が分かち難く融合した思想を提示するべきタイミングでもあるので、Synfluxの事業においても、書籍においても重視しました。
水野なるほど。佐野くんも本書で執筆を担当しましたが、反響はいかがですか。
佐野本書で僕は主に「ありうるかもしれないファッションの未来」の可視化や言語化を担当しました。第6章でも紹介している「スペキュラティヴ・デザイン」あるいは「デザインフィクション」といった手法は、副題でもある「ありうべき未来」を考えるためのデザイン手法でもあります。
この書籍を通して、未来を思索するためのこれらのデザイン方法論とファッションデザインとの結びつきをイメージできるようになったという声をいただくことが多かったです。
水野スペキュラティヴ・デザインとファッションデザインが関係しているようには思えない、というのは、意外な感じですよね。アンソニー・ダンが『スペキュラティヴ・デザイン』でファッションデザイナーのフセイン・チャラヤンのことを書いていますし。
ファッションデザインにおける未来志向性と共通する部分があるな、という理解を持つ人は少なかったということなんですかね。
佐野そもそもファッション産業の「コレクション」という慣習は、常に半年後・1年後の世界を捉えようとするデザインのサイクルですから、ファッションデザインと未来志向は元々近いところにいたと言えると思います。
しかし「テクノロジー」の話になった際、職人による手仕事が今でも重視されるファッションの領域と、科学技術の接続についてはあまり考えられてこなかったのかもしれません。
水野岡本さんにも話を聞きたいなと思います。岡本さんは建築がバックボーンにある方で、佐野くんと川崎くんが慶応SFC水野大二郎研究会にいた時から色々とご指導いただき、コラボもしていただいたという関係にあります。
建築とファッションの関係性でいうと、ファッションデザイナーはSubstance 3DやBlender、Cinema 4Dなど、従来ファッション業界では使用されなかったツールも折り込み、複数のソフトウェアやデータ形式を橋渡ししながらデザインプロセスを組み立てる感じになっていますよね。
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