ZOZO NEXTの研究チームが開発した、熱に反応して色が変化するサーモクロミック素材を用いたランプシェードのプロトタイプ「Afterglow」。その珠玉のプロダクトがイタリアのミラノで開催された35歳以下の若手デザイナーを対象とした国際的な登竜門として知られる「SaloneSatellite(サローネサテリテ) 2025」に出展された。
今回はその出展の経緯や開発のきっかけなどの裏話を、「Afterglow」を開発した、Product Engineeringチーム、デザイナーの佐治美千香と、出展をサポートしたLeadの高野幹に聞いた。
PROFILE|プロフィール

佐治 美千香(さじ みちか)
大学でインダストリアルデザインを学んだ後、2021年に株式会社ZOZO NEXTのIoT/Textile Deptにデザイナーとして入社。現在は、テキスタイルやそれらを用いた製品のプロトタイピング、テキスタイルを媒体とした新しい体験のデザイン・開発している。
PROFILE|プロフィール

高野 幹(たかの もとき)
Product EngineeringチームLead。デバイス エンジニア。2022年に株式会社ZOZO NEXTへ入社。IoT/Textile Deptにて、スマートテキスタイルおよびデバイス技術に関する新規シーズの研究開発、新規事業化などに取り組む。主に回路設計、筐体設計、ハードウェア/ソフトウェアの実装を担当。
温度で色が変わるテキスタイルの開発に携わったことがきっかけ
まずは今回出展したプロダクト「Afterglow」のアイデアを思い付いたきっかけを教えてください。
佐治「Afterglow」のアイデアは、光、素材、色の繊細な表現を探る過程で着想を得ました。中でも特に惹かれたのが、サーモクロミックによる色の変化です。温度に応じて穏やかに、そして循環的に色が変わっていく様子は、季節の移ろいや昼と夜のサイクルといった自然の時間の流れと重なるように感じました。
そうした自然のリズムと呼応するような、常に変化し続ける表現の可能性を探る中で、「夕焼けのように移ろう色彩を前に、ふと立ち止まり、深呼吸したくなる」そんな緩やかな時間のきっかけとなる照明を作りたいと思うようになりました。