さらに、前方向への推進力・押し出す反発力を高めるために、カーボンファイバープレートも繊維と編み込み構造が改良された。「フューエルセル スーパーコンプ エリート v4」は、どんなシューズへと変貌を遂げたのだろうか。
ミッドソール素材、カーボンプレートが進化
ニューバランスのランニングシューズは、「Fresh Foam(フレッシュフォーム)」シリーズと「FuelCell」シリーズの2軸で展開されている。前者は最高のクッション性を提供し、毎日のランニングをより快適なものにするコレクション、後者は最高のエナジーリターンを提供するレースデイシューズ。そんな「FuelCell」シリーズのトップモデル「フューエルセル スーパ ーコンプ エリート」がフルモデルチェンジを果たした。「反発弾性を高めることがエリートランナー向けのランニングシューズのトレンドになっていますが、そこを最大限に求めながら、前作v3では重さを気にするアスリートもいたため軽量化も目指しました。
大きなアップデートポイントのひとつはミッドソールのコンパウンドの変更です。PEBAという素材を採用した新しいコンパウンドは反発弾性に優れていることに加え、耐久性が高く、シューズの軽量化にも貢献しています。クッション性がありながら、クイックなエネルギーリターンが得られるとアスリートにも評価していただいています」とニューバランス ランニングフットウエア担当の間宮葵さん。
より前方向への高い反発を得るために、カーボンプレートも改良された。
「従来のプレートは横ブレの抑制機能を持たせるために、縦方向だけでなく横方向や斜め方向の繊維もあったのですが、今作ではさらに推進力を高めるために、繊維の方向を縦に揃えました。また、硬度が異なる複数の繊維を混ぜることもやめ単一の繊維でプレートを作り上げています」
従来のプレートは弓型状に湾曲していたが、今作では波型に。その結果、エネルギーリターンと安定性の向上に成功したという。湾曲させたカーボンファイバープレートとミッドソールの空洞構造によって、エネルギーリターンとエネルギー貯蔵量を高めるENERGY ARC(エナジーアーク)構造は引き続き採用されている。
「ENERGY ARCの構造も前作とは異なっています。v3では前足部まで空洞部分がありましたが、v4では空洞は中足部までしかありません。前足部に関しては空洞がなくなっただけでなく幅も広がっています。その結果、大きなエネルギーリターンを得られながら、蹴り出し時の安定性を向上することができました」
アッパーの刷新でフィット感が向上
v4のアッパーにはFANTOMFIT(ファントムフィット)という新構造が採用された。「ファントムには幻、幻想といった意味がありますが、2枚の極薄の素材をシームレスで繋ぎ合わせたことからその名がつけられました。また、必要な部位に通気性とサポート性を持たせたエンジニアードメッシュを採用しています。軽く、足馴染みがよく、ランニング中の足の動きに追従するので、非常に快適です」