Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2024.02.02

藤井みほなが綴る『GALS!』:平成ギャルカルチャーの軌跡と魅力

平成を語る上でギャルの存在は欠かせない。平成初期に彼女たちは、ギャルからコギャル、マゴギャルへと細分化し、社会現象とまでになる。
当時はその強烈な存在感が揶揄されたところもあったが、令和では、どこまでもポジティブで明るいギャルの存在やマインド面が評価される時代になった。
『GALS!』は、『りぼん』で1999年から2002年まで連載され、平成ギャルの世界が描かれた少女漫画だ。明るく天真爛漫な主人公、寿蘭を中心に、渋谷を舞台にしてギャルの世界が繰り広げられる。
当時、世間をにぎわせた平成のギャルとはなんだったのか。今回は伝説の少女漫画、『GALS!』そして、その続編『GALS!!』の作者・藤井みほな先生に、改めて平成のギャルについて、そして令和のギャルへの想いも語ってもらった。
(c)藤井みほな/集英社
(c)藤井みほな/集英社
PROFILE|プロフィール
藤井 みほな(ふじい みほな)
藤井 みほな(ふじい みほな)

1990年デビュー後、主に「りぼん」にて活躍。1999年から連載開始した「GALS!」はTVアニメ化もされ、大ヒットした。2019年から2022年まで「GALS!」続編となる「GALS!!」を集英社マンガアプリ「マンガMee」にて連載した。
X

伝説のギャル漫画『GALS!』が描かれた背景

『GALS!』の連載が始まった1999年は、まさに平成ギャルが全盛期の時代だった。1990年代以降、渋谷センター街には若者がたむろし、女子高生の援助交際が社会問題となっていた。
また、渋谷や池袋では、チーマーやカラーギャングたちが血気盛んで、治安の悪さが問題視されていたような時代だった。ギャルもまた然り。当時は、平成ギャルの黎明期の象徴とも言える、女子高校生を筆頭とした「コギャル」が世間をにぎわせていた。藤井先生がギャルに興味を持ったきっかけはなんだったのだろうか?
「当時、コギャルは社会から“治安の悪い街にいる、いかがわしい存在”と思われていました。
コギャルがメディアに取り上げられると、キワ者扱いだったり、バカにされたり、笑い者にされたりしていて。でも、本当にそうなのかなと思って、実際に渋谷に通ってコギャルたちを観察したんです。
そうしたら、メディアのイメージと違って、とにかくオシャレでみんなかわいくて、超インパクトがあってびっくりしましたね」
当時の週刊誌やテレビといったメディアでは、ギャルの行動や発言がフォーカスされていたが、その一方で、彼女たちから生み出される派手なファッションは、渋谷やストリート雑誌を中心に高校生の間で人気を博していた。
彼女たちのファッションや、怖いもの知らずのパワーに藤井先生も圧倒され、夢中になったという。
「SHIBUYA109あたりでも観察していたのですが、やっぱり、ギャルのコたちってものすごくオシャレで、とても元気なんですよね。次第に、この彼女たちのポジティブで明るくてオシャレな、良い部分を描きたいなと思って」
GALS!9巻(c)藤井みほな/集英社
GALS!9巻(c)藤井みほな/集英社
「むしろ、私にしかギャルの漫画は描けない!世間のイメージをガラッと覆してやろう!とすら思いました(笑)。
ちょうどその時に、担当さんから次の連載について電話が来て、その電話で速攻「ギャルの話を描きます!」と言っちゃって。担当さんも面白そうじゃん!と言ってくださって、すぐに『GALS!』の連載が決まりました」

渋谷のカリスマギャル・寿蘭はどんなギャルだったのか?

『GALS!』の主人公・寿蘭は、ギャルの中でも渋谷を代表とするギャルだ。渋谷や学校でも有名で、目立つ存在でありながらも、真っ直ぐな性格で、正義感が溢れている。そのギャップが魅力的に描かれ、多くの読者から支持を得た。
『GALS!』の作品で、それまで、近寄り難い存在だったギャルに憧れを抱いた読者もいただろう。渋谷は近寄りがたい街から若者文化の発信地になっていった。
藤井先生にとってギャルという存在は、エネルギーの塊で「陽」を感じる存在だという。その中でも、主人公であり、渋谷のカリスマギャル・寿蘭はどのような存在だったのだろうか。
「私の中で蘭ちゃんっていうのは、ものすごいエネルギーの塊で溢れているコ。一見パリピだけど、自分さえ良ければいいとかじゃなくて、友だちのことを真剣に考えるとか、自分がこうだって思ったことを恐れずに貫き通す筋の通った女のコですね」
渋谷のカリスマギャルという存在ながらも、蘭の家庭は、警察一家という設定だ。蘭の真っ直ぐな性格の背景には、たまたま電車で耳にした、理不尽な理由でイジメられているコを救おうとするギャルたちの会話があったという。
正義感が強く、悪いことは許さない。一本筋の通ったコギャルの設定には何がいいかと考えたとき、警察官一家の娘にしようと寿蘭の設定は決まった。
GALS!! 1巻(c)藤井みほな/集��英社
GALS!! 1巻(c)藤井みほな/集英社
「蘭ちゃんは自分をしっかり持っているから、本音で喋って、ズバッと意見を言って、いつでも本気で相手にぶつかる。
だから、どんなに性格が違ったとしても、みんな蘭ちゃんの一言でハッと気づくなんていうことも。みんなの発想を転換させてくれる特別な存在です。素直で自分を飾るといったことはできないコだから、恋愛面ではちょっと不器用ではあるんですけどね(笑)」
1 / 3 ページ
この記事をシェアする