漫画『チ。-地球の運動について-』は、地動説をテーマにした話題作だ。15世紀ポーランドを思わせる架空の国「P国」を舞台に、異端思想とされた「地動説」を証明するために、命をかけて奮闘する者たちを描いている。今回注目すべきは、当時の衣装が作中で細部まで緻密に再現されている点だ。
本作の服装は史実とどう違うのか? 現代ファッションにはどう繋がるのか? アメリカ服飾社会史の研究者である濱田雅子先生(元武庫川女子大学教授)とともに、知られざる中世ファッションの世界を紐解いていく。
史実をもとに、カジュアルにアレンジされている
『チ。-地球の運動について-』のモデルは15世紀頃のポーランドとされています。当時のポーランドではどんな服装が一般的だったのでしょうか。
フード付きのガウンと、ロングドレスのようなローブが基本だったと思われます。寒さから身を守るため、長い丈が好まれたと考えられます。この時代の服は、ウールで作るのが一般的でした。ただ、身分の高い人や裕福な人はベルベットや上質な織物(ダマスク)といったものを着ていたようです。
当時の服はどう作られていたのでしょうか。
手作業のオーダーメイドですね。衣服は非常に高価な財産で、一般人は3〜4着ほどしか持っていませんでした。