人と革のつき合いは200万年前の旧石器時代にまでさかのぼる。獲物の肉を食べた後に残った皮を鞣し、衣服や道具として使う。そんな古代から続くアップサイクルの精神に、日本のデザイナーズブランド、
tangenet(タンジェネット)は注目した。食肉の副産物である和牛の原皮から作られた革を使って、レザージャケットを仕立てたのだ。
上質にしてサステナブル──。その名もWagyu Leather(和牛レザー)が使われたジャケットは、日常にどんな心地よさや高揚感をもたらすのか? デザイナーの吉屋 充さんに聞いた。
2003年にオンワード樫山に入社。メンズブランドのデザイナーとして活動後、2021年に独立し、タンジェネットをスタート。ほかにも、日本のものづくりの魅力を発信するために多彩なデザイン活動を行う。
食卓から生まれたアイディア。和牛の原皮を衣料用レザーへ
「私は肉が好きで、その中でも特に和牛が大好物でして、週に1回はサシのたっぷり入ったステーキを食べています。ある時、こんな美味しい牛の革を服にできたら、と考えたのが始まりでした」今回紹介するWagyu Leatherのジャケットは、そんな食卓でのひらめきから生まれたという。使用されている和牛レザーは、鹿児島県産黒毛和牛の原皮を兵庫県たつの市のタンナーが丁寧に仕上げたものだ。