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2024.04.04

「安かろう悪かろう」では売れない! ワークマン「防水メッセンジャーバッグ」が売れ続ける理由は「機能・デザイン・価格」のバランス

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ワークマンの最大の特徴は、高い機能性と驚きの低価格。
それは、長年屋外の過酷な現場で作業をする職人たちに、ワークウェアを提供し続けてきたノウハウがあるからこそ、可能になっている。
雨の日でも用いられるワークウェアに求められる重要な機能が、防水性である。今回は、ワークマンで長年売り上げランキング上位にランクインし続けている「防水メッセンジャーバッグ」の開発秘話を、株式会社ワークマン製品開発部第3部マネージャーの林邦彦さんに伺った。ワークマン公式アンバサダーであり、多数の共同開発製品を世に送り出してきた山田耕史が聞き手を担当する。

企画の起点は「お店の売り場」

山田耕史(以下、山田) 現在、ワークマンの店頭ではワークマンのPBと、ワークマン以外のメーカーが製造した製品が販売されています。前回、ワークマンPBのシューズが展開され始めたのが2017年と伺いましたが、ワークマンPBバッグが販売されるようになったのはいつでしょうか?
林邦彦(以下、林) 2018年の「撥水デイバッグ」が最初です。
「撥水デイバッグ」が掲載されているワークマン2019年春夏カタログ
「撥水デイバッグ」が掲載されているワークマン2019年春夏カタログ
山田 ワークマンで販売されるバッグには、どういった要素が求められるのでしょう?
 「丈夫」であることと、「低価格」は絶対条件です。ヘルメットや安全帯、各種工具、そして着替えといった、現場作業で用いられるアイテムをガバっと放り込んで持っていき、そして現場で多少雑に扱っても平気なこと。そして、汚れたり破れたりしても気軽に買い替えられる価格が求められます。
山田 ワークマンPBのバッグの開発は、どのような流れで進められるのですか?
 ワークマンの店舗のほとんどは直営店ではなく、フランチャイズです。我々はそれぞれの加盟店の売り場にどういった製品を並べるか、ということを企画の起点にしています。職人向けのバッグでも流行り廃りはあります。以前はとても売れていたけれども最近はあまり売れなくなった、というような品番があれば、その品番が抜けたところに刺さるのはどういうバッグなのか。たとえばワーク系なのか、アウトドア系なのか、という風に考えてつくっています。

ワークマンの店頭に派手な色のバッグが並ぶ理由

 どういったカラーバリエーションを展開するのかも、売り場での見せ方を軸に考えています。エクセルで簡単な売り場の表をつくって、どこにどの色のバッグを置くかを考えながら、カラーバリエーションを決めています。
山田 僕は以前自分のブログでワークマンプラスの売り場に並んでいる新製品を紹介していたのですが、過去の記事を調べてみると「防水メッセンジャーバッグ」が初めて僕のブログに登場したのは2019年12月のことでした。この頃の「防水メッセンジャーバッグ」はブラックの他、イエローとレッドという、バッグとしてはかなり目立つカラーバリエーションが展開されていました。
「山田耕史のファッションブログ」2019年12月25日の記事より
「山田耕史のファッションブログ」2019年12月25日の記事より
 この頃は、イエローやレッドのような派手なカラーのバッグが職人さんによく売れていました。現場で人とかぶるのが嫌だ、というのが理由です。これはウェアも同じで、奇抜な柄の限定アイテムが結構売れたりします。
ワークマンのバッグの色使いにはかなり特徴があると思います。たとえば、デパートなんかでフロアを見渡すと、バッグ売り場ってどこにあるか一発でわかるんです。なぜなら、そこだけ真っ黒だから。普通の鞄屋さんなら商品の大多数が黒いバッグだと思います。どんなに頑張っても、バッグで売れるのは黒なんですよ。
現在の「防水メッセンジャーバッグ」のカラーバリエーション
現在の「防水メッセンジャーバッグ」のカラーバリエーション
 ですが、ワークマンの黒いバッグの比率は、50%ぐらいです。黒のバッグは当然ワークマンでも売れるのですが、その分売り場がつまらなくなってしまいます。
ワークマンの全ての基本は売り場です。売り場の一区画の前に立ったとき、その売り場が完成されているかどうか。いくら黒のバッグが売れるからといって、売り場が葬式みたいになっていては駄目だ、と常日頃言われています。「売り場に変化を付ける色」と「売れる色」を両立させるのは難しいですが(笑)。
今年リニューアルを予定している「防水メッセンジャーバッグ」のカラーバリエーションの一部
今年リニューアルを予定している「防水メッセンジャーバッグ」のカラーバリエーションの一部
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