PROFILE|プロフィール
朝藤 りむ(あさふじ りむ)
岩手県出身
文学・アート・民俗学などからインスピレーションを受け、自身の物語を織り交ぜて奇妙で可愛いということを主軸として表現するデザイナー。
アンダーグラウンドとオーバーグラウンドを自 由に行き来し、毎シーズン自由な発想を気ままに発表している。
2005年pays des fées立ち上げ時からデザイナーを務める。
2021A/WからはRakuten Fashion Week TOKYOにてランウェイショーで発表。
店舗はサブカルチャー商業施設・中野ブロードウェイに構えている。
今日もミシンに向かって服を作っていると、電子通信機器から元気よく「LINE!」の呼びかけがありました。これは私たちが世界システムの実現した世界線にいることを証明しています。
ふむ、ファッションとテクノロジーについての執筆依頼、と。ミシンのペダルに片足を乗せたまま、禁断の果実印電子帳を開いているこの時点ですでにファッションとテクノロジーを体現しているではないかと笑いのツボにはまりつつ、つらつらと書き連ねます。珈琲片手にお付き合いください。
テクノロジーという単語から私が最初に連想するのはニコラ・テスラ(1856-1943)。
ニコラ・テスラはセルビア系アメリカ人の電気技師であり物理学者、そして発明家でもありました。エジソンが恐れた異端の天才と言われており、長距離の送電や無線通信技術の発明など、数多くの偉業を残しています。
19世紀末、テスラは無線による電力の送電システムと情報の伝達システムのことを「世界システム」と名付けて研究していました。その世界システムの巨大な無線送電塔「ウォーデンクリフ・タワー」の美しさたるや。まだ電気というものとマジックとの境界線が薄い時代。そのアウラに畏れの念を抱く人は多かったことでしょう。まるで祈りを捧げるための宗教建築がどんどん高い塔になっていったかのように、ウォーデンクリフ・タワーは聳え立っていたのです。