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【リレーコラム】aespaについてのノート――“本物”と“本物らしさ”をめぐる遊戯(つやちゃん)

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PROFILE|プロフィール
つやちゃん
つやちゃん

文筆家。さまざまなカルチャーに関する論考を執筆。音楽誌や文芸誌、ファッション誌など寄稿多数。女性ラッパーの功績に光をあてた書籍『わたしはラップをやることに決めた フィメールラッパー批評原論』(DU BOOKS)が音楽本大賞2023候補に選出。2022年~オルタナティブな美の在り方を考える活動『コスメは語りはじめた』を発起。

“キャンプとは、三百万枚の羽根でできたドレスを着て歩きまわっている女である”

スーザン・ソンタグ[1]

2023年の現在、本稿に与えられた「ファッションとテクノロジー」というテーマにおいて、格好の思考の対象となり得るのがaespa(エスパ)である。
aespaは今最もグローバルで支持を得ているK-POPグループのひと組で、「もう一人の自分であるアバターに出会い新しい世界を経験する」という設定のもと、歌詞やサウンド、MVやライブの演出に至るまで、さまざまな場面でヴァーチャルな要素を取り入れることによって斬新な印象を生み出している。打ち出し方も「メタバース・グループ」という訴求を徹底しており、だがしかし、その詳細について多くは語られていない。一応のところ「仮想世界のもう一人の自分であるアバター“ae-aespa”と“SYNK”を通じてお互い“LINK”する」といった説明がなされているが、正直なところ、ステートメントのみが先行しているような印象もあってよく分からない。そもそもメンバーたちさえも何ゆえに自身が「メタバースグループ」なのか、その内実についてはインタビューやライブ等においてもうまく説明できていない。ただ、そんなことは重要ではない。優れた表現は、往々にして本来そこに込められた意味すらも軽々と超えていくからだ。
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