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ブルックス ブラザーズが挑む! マウンテンパーカー文化の継承
ここ数年にわたり、Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)は他ブランドとのコラボレーションに精力的に取り組んでいる。今シーズン、パートナーに選んだのは、1965年に同じアメリカで生まれたSIERRA DESIGNS(シエラデザインズ)だ。
メンズカジュアルの永世定番として知られるマウンテンパーカーは、アメリカントラッドの殿堂ブランドの目にどのように映り、どのように解釈されたのか……。その背景にあるストーリーを読み解いていこう。
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両者の出会いのきっかけはヘビーデューティ・アイビー
ニューヨーク生まれのブルックス ブラザーズが、文化圏の異なる西海岸・カリフォルニア生まれのシエラデザインズをパートナーに選んだ最大の理由は、アメリカの服飾史に刻まれたあるスタイルの存在と深く関わっている。.jpg?w=902&fm=webp)
1970年代に流行した「ヘビーデューティ・アイビー」である。これは1960〜70年代のアメリカで生まれたスタイルで、ボタンダウンシャツやツイードジャケットを軸とするアイビールックに、ダウンベストやブーツといったアウトドア由来のヘビーデューティなアイテムを組み合わせた着こなしを指す。この潮流は『Made in U.S.A. Catalog』などの雑誌を通じて日本にも紹介され、「ヘビアイ」の名で広く知られるようになった。
シエラデザインズの代名詞である「オリジナル マウンテンパーカー」は、そんなヘビーデューティ・アイビーを語るうえで欠かすことのできない存在だ。1968年、過酷なフィールドに対応するための実用服として開発されたこのパーカーは、その完成度の高さから瞬く間に支持を集め、アウトドアウエアの定番としての地位を確立した。
最大の特徴はコットン60%、ナイロン40%を組み合わせた通称「60/40クロス(ロクヨン)」にある。天然素材の通気性と化繊の耐久性を併せ持つこの生地は、当時としては革新的であり、マウンテンパーカーというジャンルそのものを象徴する存在となっていった。
つまり、マウンテンパーカーとは、ブルックス ブラザーズが体現してきたアメリカントラッドと、シエラデザインズが培ってきたアウトドアの機能美が交差する地点に生まれたものだ。その融合こそが、ヘビーデューティ・アイビーを象徴する理由なのである。
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オリジナルへの敬意を表した控えめなアレンジ
ここからは、今回のコラボレーションモデルを見ていこう。一見したところ、現行モデルと大きな違いはない。腕と肩の可動域を高めるラグランスリーブをはじめ、大型のハンドウォーマー、雨水の浸入を防ぐタフな巻き縫い構造、風雨をしのぐ比翼仕様のフロントファスナーといったディテールも健在だ。背面には、新聞紙などを入れることで簡易的な防寒対策にもなるマップポケットが設けられている。すべてのデザインとパーツは、ギアとしての完成度を高めるために存在している。
そのうえで注目したいのが、ブルックス ブラザーズによるアレンジだ。デザイン面の最大の特徴はライニングに配されたチェック柄だ。ブランドのシンボルカラーであるネイビーのモデルにはブラックウォッチチェックが、ベージュにはタッターソールチェックが採用されている。
いずれもアメリカントラッドの代表的な柄だが、ライニングを表地と同系色でまとめることで主張はあくまで控えめに抑えられている。フードやフロントジップの内側からちらりとのぞくチェック柄が、スタイリングに上品なアクセントを添える。
また、現行モデルに見られる前立て裏のバイカラー表現は排され、表地と同色で統一された。前立て端のステッチカラーまで揃えることで、アウトドアウエア特有の武骨さは和らぎ、全体はより端正で落ち着いた印象へと導かれている。
ディテールにもさりげないアップデートが施された。ドローコード先端のアグレットはメタル製へと変更され、全体を引き締めるアクセントになっている。
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素材はシエラデザインズの代名詞である60/40クロス。横糸がコットン60%、縦糸がCORDURA®ナイロン40%で構成された生地は、通気性と耐久性を併せ持ちながら、端正で穏やかな表情を見せる。
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「更新」ではなく、現代への「継承」を選択
今回のコラボレーションにおいて、ブルックス ブラザーズは意図的に大胆なアレンジを施さなかった。理由は明快だ。シエラデザインズのマウンテンパーカーは、すでに完成された定番である。同ブランドの目には、その姿は手を加える対象というよりも、受け継ぐべきスタイルアイコンとして映っていたのだ。
目指したのは、これまで以上に都市の日常へ違和感なく溶け込むマウンテンパーカーだ。ネイビーブレザーやボタンダウンシャツ、シャギーニットの上に羽織るのもいいし、色落ちしたジーンズやフランネルのスラックスにも自然になじむ。
アメリカントラッドとアウトドアをミックスするのではなく、もともと結びついていたカルチャーにあらためて目を向ける。結果、この控えめで、それでいて確かな存在感を放つ一着が生まれた。
一見同じようで、どこか違う。──ブルックス ブラザーズの美意識が宿るその「微差」こそが、大人の心をくすぐるのだ。
Text by Ryota Osujo













