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服と人

和田颯──30代から始まった、僕のヴィンテージとの付き合い方

2026.02.18
人気ヴィンテージショップ『ベルベルジン』ディレクター・藤原裕さんをホストに迎え、藤原さんとゆかりのあるゲストが登場し、“服と人”との関わりを深く掘り下げていく対談連載。今回のゲストは、和田颯(Da-iCE)さん。

PROFILE

和田 颯(わだ はやて)

Da-iCEパフォーマー

5人組男性アーティスト・Da-iCEのパフォーマー。小学1年生より地元のダンススクールに通い始め、2006年に開催されたオーディション「avex audition 2006」に合格しキャリアをスタート。2014年1月にDa-iCEのメンバーとしてメジャーデビューを果たした。

PROFILE

藤原 裕(ふじはら ゆたか)

ベルベルジン・ディレクター

原宿のヴィンテージショップ『ベルベルジン』店長。ヴィンテージデニムマイスターとしても認知されている一方、多くのブランドでデニムをプロデュースするなど、現在のデニム人気を担っている。

藤原颯くんと出会ってから、結構経っていますよね?
和田いえ、ちょうど1年くらいです(笑)。ハルキくんのYouTubeの撮影[1]で、去年の2月にお会いしたのが初めてです。
藤原あれ、そうだったっけ(笑)!? ちょくちょく連絡を取り合っているからか、昔から知っている感じがして……。それは失礼しました。
和田あの日は話してもらえるか緊張していましたが、いざお会いしたらめちゃめちゃ優しくて。しかも古着に関してまったくの素人である僕に対して、いちから丁寧に教えてくれるのでワクワクしちゃいました。さらにいろいろと試着をさせてもらったらテンションも上がって、勢いでGジャンとパンツを買わせていただきました。
藤原さんの接客で購入したリーバイス506XX。通常よりも細めにデザインされたフロントのボックスプリーツは、このモデルならではのディテールだ
藤原リーバイスのファーストとダブルエックス(上写真)ですね。まず506XXは特別で、よく見るとポケットの縁部分に赤タブが付いていないものなんです。これは取れてしまったわけではなく、赤タブが付く以前の1936年のモデルだから。
古いファーストを見つけるだけでも大変なのに、この年代は本当に見つからないです。あとこのパンツ(下写真左)もスペシャルなものです。
一般的にヴィンテージデニムといえば501が人気だけど、颯くんのように細身のサイズ感で自分なりの味をしっかりと出すなら、断然504ZXXや503BXXがおすすめです。
ちなみに504ZXXはちょこちょこ出るけど、この色落ち加減はまず見かけません。これが初めてのヴィンテージですか?
左の504ZXXは1955〜56年製で、インディゴの色味やレザーパッチがしっかりと残ったコンディションのいい一本だ。右は最近リペアから戻ってきた、左と同年代製の501XX
和田いえ、実は初めて買ったヴィンテージは、こちらの66のデッドストックでして。裕さんに接客をしてもらったのとは別の日に、ハルキくんのYouTubeの撮影をした後にヴィンテージデニムが欲しくなって、フェイクアルファさんに行ったんです。そこでこれに出会ってしまいした。サイズもドンズバでした。
藤原いきなりデッドストックってすごいデビューですね(笑)! (ディテールをチェックしながら)75年5月、しかも「16」ボタンですね。この「16」 ボタンがすごく貴重なんです。
というのも66前期で、トップボタンの裏にある刻印は「6」が一般的なのですが、75年製の66から稀に「16」が出てくるんです。「16」ボタンの個体では60年代以前の古い生地や糸が使われていることが多いので、他の66よりも色の落ちがよいとされています。育てたら最高ですよ!
当たり前だがフラッシャーも新品そのもの。リーバイスデニムの中でも数少ない“頑張れば入手できるデッドストック”だったが、最近はかなり厳しくなってきた
和田大事なタイミングでおろします! その時は裕さんにぜひ糊付けをしていただきたいです。
藤原もちろんお任せください!

女性のフォトプリントTシャツに首ったけ

藤原ファッションに興味を持ったきっかけはいつ頃ですか?
和田20歳を超えてからです。それまでは特に興味がなくて、踊れる格好だったら何でもよかったんです。子どもの頃は上下スウェットが一番かっこいいと思っていました。ただ20歳で上京して、都内で知り合った友達がとにかくおしゃれで……。当時、服を買いに新宿伊勢丹へ行く感覚が理解できませんでしたが、一緒にいるからには自分も勉強しないとまずいなと思い、メンバーの工藤(大輝)がファッションに詳しかったので、最初は買い物に連れていってもらっていました。
そのうちリックオウエンスにハマり、その後バレンシアガ、トムブラウンといった感じで、当時はとにかくハイブランドのアイテムが好きだったので、ヴィンテージにハマっている今の僕を見て、友達は驚いています。
藤原ではこのマルジェラのデニムは、その時のものですか?
マルジェラのデニムはウエスト内側部分の生地からわかる通り、インディゴデニムの上からブラックのコーティングを施している
和田 そうですね。友達から譲ってもらったものです。ペンキ加工を施して白タグが付いているので、おそらくブランドの中でも90年代頃の初期のものだと思います。
藤原マルジェラは周囲の友達がみんな好きだったので、チェックはしていて憧れもありました。一度、黒の無地Tシャツを買ったこともあります(笑)。
和田裕さんのマルジェラ姿、見てみたかったです(笑)。そしてこれが、古着に興味を持つきっかけになったアディダスのジャージー。
映画『フラッシュダンス』で、ジャージーを着てブレイクダンスを踊る人がいるんですけど、その人がすごくかっこよくて。これは浜松に住んでいる友達から連絡をもらい、現地の古着屋さんで買いました。
70〜80年代製と思われるフランスメイドのジャージー。他にも10着ほど所有しているそう
藤原私も80年代の白の刺繍タグに関しては、有名な色のものは全部持っていました。金×白、黒×金、黒×銀、あと黒×赤×緑だったかな。レザー製で有名な黒×黒も持っていました。ずいぶん昔にまとめて売ってしまいましたが……。
和田そしてこちらが、初めて買ったヴィンテージTシャツです。ジャージーにハマっているときに、シソンヌの長谷川さんの番組に出させてもらい、その時におすすめの古着屋さんを聞いたらポートレーションさんを教えてもらいました。
藤原マイケル・ジャクソン(左)とソニック・ユース(右)、どちらもいいプリントですね。
ヴィンテージデニムと同様、沼っているというTシャツ。特に女性のフォトプリントは、見つけ次第購入しているという徹底ぶり
和田ありがとうございます。マイケルのTシャツは、フロントはシンプルなのに、バックはインパクトのあるプリントになっていて、そのメリハリが気に入っています。
ソニック・ユースは音楽を聴いたこともなかったのですが、ジェーン・バーキンのフォトプリントのかっこよさに魅せられて買ってしまいました。
これをきっかけに、自分が女性のフォトTが好きなんだということに気付き、それ以来女性のフォトTでいいものがあれば買っています。
藤原年代にこだわって買っていますか?
和田いえ、そこは全然気にしていなくて、好きなアーティストやデザインだったらいいかなっていう。最近だと2000年代のブリちゃん(ブリトニー・スピアーズ)なんかを買っています。
藤原そういう感覚、いいですね。
和田そしてこれが、初めて買った“穿ける”501XX。先ほどもお話しした通り、初めて買ったヴィンテージデニムがデッドストックだったので、穿くに穿けなくて。悶々としていたときに、先ほどの浜松の友達から、僕が好きそうな色落ちデニムがあると連絡をもらって買った一本(左)です。
左が“穿く用”に購入した501XX。ハードな色落ちがお気に入り。右は前述の“穿くに穿けない”501 66モデルのデッドストック
藤原センターループがオフセット仕様で、ギャラ入り。年代は58〜62年頃のものだと思います。色落ち具合もすごくいいですね。これならガンガン穿けますし、ダメージが出てきてもリペアすれば、それがまた味になる。いいデニムです。
和田そして最後がリーのGジャンです。実はこれ、父親のお下がりなんです。
藤原お、奇遇ですね。私も、人生で初めて穿いたデニムは父のお下がりで、リーのデニムパンツでした。
和田すごい偶然(笑)! 古着にハマってからというもの、父と話が合うんです。もともと、デニムやレッドウィングなどアメカジが大好きだったので、余計に話が弾むといいますか。
藤原お父さんはおいくつですか?
和田1969年生まれの56歳です。
Lee 220-Jは、ゆったりとしたサイズ感と、独特の色味がお気に入りなのだそう。今冬の1軍アイテムのひとつ
藤原なるほど。その世代は古着屋さんもお客さんも含めて、古着好きな人が特に多いんです。ちなみにうちの社長も同年代です。
和田そうなんですね。父が14歳のときに父の母、僕にとっては祖母ですが、その祖母に買ってもらったものらしいので、おそらく80年代かなと思います。
一昨年実家に帰ったときにたまたま見つけて持ち帰ってきました。相当着ていなかったのか、ポケットにボールペンが刺さっていました。「いつのボールペン!?」みたいな(笑)。
藤原当時新品で買って、着込んでこの状態になっているというのはすごいです。リアルヴィンテージですね。80年代製の200番台、リーの名品です。
和田身幅もあって着やすいので重宝しています。セットアップで着たいので、今度裕さんに見立ててもらいたいです。
藤原もちろん、その時はぜひ!
和田さんがこの日着用していたベストは、パタゴニアのグースダウンベスト

30代ならではのヴィンテージライフを楽しんでほしい

藤原古着にハマってから、日常に変化はありましたか?
和田めちゃくちゃ変わりました。まず物欲のギアがだいぶ上がりました(笑)。あと、裕さんを筆頭に古着を通じてたくさんの方に出会えたことで、ファッションへの思いもより強くなりました。
今狙っているものについて聞くと、「裕さんが着ているマドンナのフォトスウェット(笑)!」。ロックオンされた藤原さんもタジタジ
藤原それはよかったですね。私が普段接する年下の人は20代が多く、颯くんのような30代は意外といなくて。30代はいろんな意味で余裕が生まれてくる年代だと思っています。
デニムもアクセサリーも腕時計も、20代の人よりも一段上のクラスや古いものを身につけたりするのがすごく楽しい。30代だからこそ似合う年代のアイテムが結構あるので、30代ならではのファッションを楽しんでほしいです。
和田ありがとうございます! まだまだ欲しいものがたくさんあるので、いろいろと相談に乗ってください!
──和田さんにとってヴィンテージは、ただの流行でも、知識を競うためのものでもない。66のデッドストックに胸を躍らせ、女性フォトTに心を奪われ、父から受け継いだリーのGジャンに“時間の重み”を感じる。
その一つひとつが、彼自身の感性と人生に繋がっている。そして藤原さんの言葉が示すように、30代は服の面白さをより深く味わえる時期。和田さんのヴィンテージライフは、まだ始まったばかり。今後、彼の“好き”がどんな服と人を引き寄せていくのか楽しみだ。

[1]117万フォロワーを持つYouTuber「北の打ち師達」の“はるくん”による個人チャンネル「ハルキの古着」。

Photo by Akinori Kawanishi

Text by Kei Osawa 

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