

Articles
“東洋の美しさを表現したい”「HEōS(ヘオース)」デザイナー暁川 翔真(あかつきがわ しょうま)氏インタビュー
近年「Fashion Week TOKYO(ファッション ウィーク トーキョー)」で大きな存在感を示しているブランド「HEōS(ヘオース)」。
先日ヒカリエホールで行われた2025SSのコレクションも、国内外から高評価を受け話題となっている。
今回はデザイナーの暁川 翔真氏にインタビューを敢行し、ブランドの成り立ちから、今シーズンのデザインワークまでお話を伺った。

HEōSのバックボーンとなる暁川氏のルーツ
HEōSは2020年にスタートするのだが、その前にHEōSのバックボーンを知るため、暁川氏のルーツについて伺っていこう。「出身は中国で、19歳のころ日本に来ました。その当時は東京の“裏原ブランド”が好きでよく着ていました。それから少し大人になると『John Galliano(ジョン ガリアーノ)』や『Maison Margiela(メゾン マルジェラ)』を好むようになりました。
デザインなどを『東京モード学園』で学び、パタンナーとして都内のアパレル会社に数年勤めたあと、“Paris Fashion Week”(パリ ファッション ウィーク)、に参加している日本のブランドに移り、そこでパリコレを経験します。
そのあとフリーのパタンナー、デザイナーとして独立して、日本のブランドでパターンを、中国ではラグジュアリーブランドのデザインを担当し、パリで展示会を開いていたので、しばらくの間は東京と中国の広州の2拠点生活をしていました。
そんななか、コロナ禍になり、いろいろなものがストップして、東京に帰ってきたこのタイミングでHEōSをスタートさせました」

Fashion Week TOKYO(ファッション ウィーク トーキョー)への参加
こうしてはじまったHEōS。デザインもさることながら、生地もオリジナルで一からつくり、いままで見たことがないような、印象的なものを多くリリースしている。その独特な世界観はどのように表現しているのだろうか、さらにはじめて参加したFashion Week TOKYO(ファッション ウィーク トーキョー)のお話も交えて聞いていこう。
「HEōSは特にコンセプトをつくっていないのですが、あまり東京ブランドっぽくならないようにしています。“東京ブランドっぽい”を具体的にいうのは難しいのですが、ストリートすぎず、モードすぎず、アルチザン(職人)的な雰囲気や、手仕事による温かみが感じられるようなものづくりのなかに、中性的な雰囲気も出せたらいいなと思って取り組んでいます。
はじめてFashion Week TOKYOのランウェイでコレクションを発表したのは2022年で、シーズンでいうと2023AWになります。このときテーマの題材としたのは、中国の近代化で28,000本の川がなくなったというエピソードで、自然と人間の関係を表現したコレクションでした。
天然素材のオリジナルテキスタイルや、リサイクル素材を多用し、中国語で『チーシェ』という伝統的な靴をモチーフにしたものを、ハンドメイドで縫う職人さんに手がけてもらったり、中華民国を建国した人物『孫文(そんぶん)』を彷彿とさせる『チャイナスーツ』をエッセンスにしたアイテムをラインナップしたり、自分のルーツもコレクションに反映できたシーズンになりました」

写真 向かって左:チーシェをモチーフにしたシューズ
写真 向かって右:チャイナスーツモチーフにしたセットアップ
4度目の参加となるFashion Week TOKYO
ここからは先日行われた最新の2025SSランウェイのお話を伺っていこう。今回で4度目の参加となるFashion Week TOKYOで発表したコレクションについて紹介してもらおう。
「『Nightmare(ナイトメア)』というテーマで、ダークファンタジーの世界観に戦争続きのいま、という時代を反映させたようなコレクションになっています。
真夜中や夢の中、悪夢といったようなキーワードで、映画のシーンを観ているような雰囲気を表現できるように取り組みました。
服づくりの面でいうと、中国の若手の画家に描いてもらった絵をテキスタイルに落とし込んだり、シルクやカシミヤのような天然素材を多く使った生地づくりをしたりしています。
生地をひとつあげるとすると、薄手のウールに柄をプリントしてそれを塩縮加工しているものがあるのですが、縫製に入る生地づくりの段階でかなり手間のかかることをしています。
また、蝶の刺繍で羽の部分を抜いているセットアップがあるのですが、それが、評判がよかったです。
デザイン的にはミリタリーテイストなものなど、普段着として使いやすいアイテムも多いと思います」

写真 向かって左:蝶の刺繍のセットアップ
写真 向かって右:中国の画家の作品が描かれたTシャツ

写真 向かって右:薄手のウールに塩縮加工を施したオリジナルテキスタイルのセットアップ

Fashion Week TOKYOへの参加で変化したこと
HEōSのランウェイの会場には海外からのファッション関係者が多く見られる。Fashion Week TOKYOに参加前と後でブランドを取り巻く環境がどのように変わったのかを伺った。「Instagramのフォロワーも増えましたが、ロンドンのセレクトショップのバイヤーからコンタクトがあってアトリエに来ていただいたり、日本国内のセレクトショップはもちろんですが、マカオや上海にも取扱店があって、いま広州のセレクトショップとも話がすすんでいたりしていて、国内外の知名度は少しずつ上がっているのかなと思います」



HEōSのほかにはない服づくりから、さまざまなアーティストの衣装として使われるケースが多く、誰もが知るような日本のアーティストもいれば海外アーティストのライブ衣装なども手がけているという。
そして、これからの展開として、つぎのシーズンはランウェイではない違う方法での発表を考えているそうだ。
手段はさまざまだが、“東洋の美しさを表現したい”と暁川氏は語ってくれた。中国と日本、2ヶ国の文化を理解している彼だからこそ出せる個性を感じる。
近い未来HEōSがアジアのファッションシーンを席巻するのではないだろうか。
PROFILE

暁川 翔真(あかつきがわ しょうま)
HEōSデザイナー
中国出身、東京モード学園を卒業後、パタンナーとして2つの会社に勤める。
その後独立し、フリーのパタンナー、デザイナーとして活動。
2020年にHEōSを立ち上げ、2023年よりFashion Week TOKYOに参加し作品を発表している。










