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今年90周年を迎えた 「JACK PURCELL(ジャックパーセル)」の 歴史と進化
1935年にカナダ出身のバドミントン選手、ジョン・エドワード・ジャック・パーセルのシグネチャーシューズとして誕生した「ジャックパーセル」。90周年を迎えた今年、1970年代のヴィンテージディテールにインスピレーションを得ながら、現代の技術と感性を用いてアップデートした新ライン「JACK PURCELL 1935(ジャックパーセル1935)」を展開する。
そんな「ジャック パーセル」の歴史とその進化について、コンバースジャパン株式会社で「ジャックパーセル」のMDを担当する堀内晧史さんにお話を伺った。
シグネチャーシューズの先駆け
今ではアスリートのシグネチャーモデルが出るのは当たり前の時代だが、当時はアスリートとシューズメーカーが共同で何かを開発することは稀なことだった。そんな時代のなか、後に名作といわれるシューズが誕生する。それが「ジャックパーセル」だ。今年で90周年を迎えた同モデルのMDを担当する堀内さんにその歴史について聞いてみると、こう答えてくれた。
「『ジャックパーセル』は1935年にテニスやバドミントンのためのシューズとして開発されました。当時、ワールドチャンピオンシップでも優勝していたカナダ出身のバドミントン選手、ジョン・エドワード・ジャック・パーセル氏が開発に加わり、彼の名前をそのままプロダクトネームとして発売したのが始まりです。

現在は当たり前のように存在しますが、シグネチャーモデルの先駆けとなったのがこの『ジャックパーセル』なんですよ。スポーツシューズとして生まれたものの、稀代の名優ジェームス・ディーンやダスティン・ホフマンが映画の中で履いたことで、歴史と共にファッションシューズとしての人気が定着していきました」
当時の製造はタイヤメーカーのB.F.グッドリッチ社が担い、販売はスポルディング社が行っていたが、1970年代に入るとB.F.グッドリッチ社とコンバース社のシューズ部門が統合。

そして1990年代には、藤原ヒロシさんが履いたことで日本のストリートでも人気を博し、さまざまなモデルやカラバリが増加。「ジャックパーセル」は、現代のスニーカーファンからも愛される存在となっている。
歴史にリスペクトを払いつつリニューアル
スタイルを選ばないシンプルなデザインの中に、“スマイル”や“ヒゲ”と呼ばれる象徴的なデザインが施され、発売から90年経った今でもローテクシューズの傑作として世界中のスニーカーファンから支持されているのは周知のとおり。今年「ジャックパーセル」が90周年を迎えリニューアルしたとのことだが、その進化についても堀内さんはこう続ける。
「『ジャックパーセル』が90周年を迎えた節目のタイミングで、歴史的にずっと続いてきたモデルを現代生活に合わせた快適な履き心地に進化させたい、というところからリニューアルがスタートしました。
長年ユーザーの皆様に親しまれてきたデザインなので、そういった部分にはリスペクトを払いつつ、内部構造のところでかなり革新的な構造の変化を施しました」
一体どんな変化を施したのだろうか。堀内さんはこう説明する。
「通常のローテクシューズはかかとからつま先方向への傾斜があまり感じられないことが多いのですが、それだとどうしても“かかと重心”になってしまい、足が疲れる人が多かったのです。そこでかかとに最大13mm厚のポリウレタンを入れて、つま先にいくにしたがって傾斜を感じやすい状態にしたのです。

傾斜をつけることで、重心が足裏の中心にかかるようになるので、疲れを軽減してくれます。また傾斜があることで足を前に踏み出しやすい状態にもなったので、歩きやすさにもつながります」
ここまで聞くとランニングシューズの話のようだが、歴史に裏打ちされた、洗練されたデザインはそのままに、内部構造に手を加えたことで履き心地が劇的に進化しているのだ。ただ、その内部構造の改良はこれだけではない。堀内さんは続ける。

「またウェッジとインソールの間にシャンク(プレート)を入れることで、かかとの沈み込みを抑えることに成功しました。そして木型も足の形状に合わせたアナトミカルラストを採用することで、足のフィット感も追求しました。
元々、ヒールに入った“ヒゲ”の意匠は土踏まずをサポートするアーチサポートを図案化したものだったので、歴史を継承しつつ、現代生活に合わせた履き心地にするという意味で、納得のいくリニューアルができたと感じています」

これらの改良により、履き心地やフィット感が格段にアップしたのは言うまでもないだろう。筆者も実際に試し履きさせてもらったが、今までとは違うフィット感とクッショニング具合には驚きを隠せなかった。
現代のユーザーが何を求めているかを考えた進化
まるで革靴のような内部構造に変えたことで、履き心地やフィット感が高まった新生「ジャックパーセル」。リニューアルにおいて苦労した部分を聞いてみると、堀内さんはこう答えてくれた。「90周年で『ジャックパーセル』をどのようにしてユーザーの皆様にお届けしていくのが正解なのか……というブランディングの基礎の部分を考えるのは大変でしたね。たとえば、デザインを一新して、履き心地を革新的によくするという意味合いでは、この『ジャックパーセル』をランニングシューズのようにしてお届けすることも極端な話できなくはない。

ただ、このモデルには歴史がちゃんとあるので、今のユーザーが何を求めているのかを考えつつ、洗練された佇まいはそのままに、現代生活に合わせた革新的な内部構造のアップデートをしていくところをベースに考えていった結果、自ずとやることは見えてきました」
今回、発売するのは「ジャックパーセル1935」だけではない。通常の外羽根式のデザインから革靴のような内羽根式の「ジャックパーセル1935 サーキュラーバンプ」というモデルも発売されている。

最後に今後の展開について堀内さんに伺ってみるとこう答えてくれた。
「7月11日には『ジャックパーセル1935』の新色ブラックと『ジャックパーセル1935 サーキュラーバンプ』の新色グレイが発売されます。また、今後コラボモデルなども企画中ですし、秋冬に向けて新作モデルなども企画中ですので、情報がアナウンスされるのを楽しみにしていてほしいですね」
長い歴史を有し、アスリートだけでなく有名アーティストやトレンドセッターたちも愛用してきた「ジャックパーセル」。90周年を迎え、履き心地を追求したことで快適な歩行性を実現した。実際に履いてみると今までのものとは違う快適さを味わえるので、足を入れることで、ぜひその履き心地のよさを体感してほしい。
PROFILE

堀内 皓史(ほりうち こうじ)
企画部MD課
マーチャンダイザー
2020年入社。2022年から「ジャックパーセル」のMDを担当。今回の90周年プロジェクト発足時から携わっている。
Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)











