

「ミタスニーカーズ」のディレクターである国井栄之さんが、毎週、独自の視点で気になるスニーカーをピックアップして率直な主観で語る動画「国井栄之のKICKS OF THE WEEK」との連動企画。
第17回は、モカシンシューズに「MIZUNO(ミズノ)」が開発したテクノロジーを詰め込んだソールをハイブリッドさせた、「WAVE PROPHECY MOC(ウエーブプロフェシーモック)」を紹介。今回はなぜこのモデルを選んだのか、その理由や魅力について国井さん本人に聞いた。
認知されたので“白帯”から“黒帯”に進化
時流にも乗り、完売が続いていた「ミズノ」の「WAVE PROPHECY MOC」。「ミズノ」のフラッグシップモデルである「ウエーブプロフェシー」の最新ソールを搭載したレザーシューズは、単にアーカイブで展開してきたプロダクトのリバイバルではなく、「ミズノ」の伝統と革新を表現している。今回のモデルについて国井さんはこう語る。「今回のモデルは『WAVE PROPHECY MOC』のファーストモデルに若干のアップデートを加えた復刻版です。

オリジナルと何が違うかというと、靴紐がバンジーのシューレースになっていて伸縮性があり、脱ぎ履きしやすい特徴があります。
オリジナルのときには生成り系の平紐タイプのシューレースがついていたのですが、その理由が、スポーツブランドがこういったレザーシューズを作る上ではまだまだ“白帯”という意味合いを込めて、あえて白っぽい色にしたからです。

今回のモデルはグローバルでもかなり認知されてきたので、今回は満を持して白帯をとり、黒の平紐とバンジーのシューレースを付属させました」
トレンドである革靴とスニーカーの融合モデルの始祖
革新的なソールにモカシンシューズを組み合わせたアイディアはどこからきたのだろうか。その点についても国井さんはこう続ける。「最近はレザーシューズとスニーカーのハイブリッドモデルが各社からリリースされています。実はこのモデルの元になるシューズを、『MOUNTAIN RESEARCH(マウンテンリサーチ)』のディレクターである小林節正さんがディレクションされ、コラボシューズとしてリリースされていました。


そのシューズは『ミズノ』の『インフィニティウエーブ』にレザーアッパーを組み合わせたシューズだったのですが、そこから着想を得て『ミズノ』独自にスポーツブランドとしてのスニーカーの要素を取り込みながらアップデートしたのが、今回の『WAVE PROPHECY MOC』となります。
つまり、昨今のトレンドの中でこういったハイブリッドモデルが出てきたわけではありません。元々『ミズノ』としての先鋭的な取り組みがあったからこそ、それを現代に甦らせつつ、今だからできるインナーのブーティ構造を進化させ、フィッティングの面でもアップデートしたモデルなのです」

実際のところ、この「ミズノ」の「WAVE PROPHECY MOC」が昨今のスニーカーローファーの流れを牽引してきたといえるのだ。今回、国井さんがこのモデルを選んだ理由についてもこう続ける。
「少し前までは“Y2K”のトレンドを『asics(アシックス)』が牽引していて、今回のレザーシューズとスニーカーのハイブリッドモデルの流れを『ミズノ』が引っ張っています。日本のブランドが次に出てくるトレンドの鍵になっているのが、個人的にうれしくもあり、注目すべきポイントだと思います」
靴屋という立場からスニーカーシーンを見届けてきた国井さんにとって、日本のブランドがトレンドを牽引しているのは、さぞかし胸熱な展開だろう。
トレンドが細分化する現在のスニーカーシーン
2026年のパリファッションウィークに参加してきた国井さん。その様子や次なるトレンドをどう感じたのか聞いてみると、こう答えてくれた。「ここ数年は、脱ぎ履きが楽でコンフォータブルなスライドタイプのシューズが増えているなと感じました。また『WAVE PROPHECY MOC』のようなローファーとスニーカーテクノロジーのハイブリッドは、革靴だけじゃなくブーツのデザインでも見られました。

そういったモデルは徐々に存在感が出てきているので、各社がこぞって展開するボリュームを増やしてきているという印象です。もちろん薄底のロープロファイル系も各社がそれぞれの色を出して展開しているので、『次はこれがくる』という大きな流れはなく、トレンドが細分化しているなと感じました。

『ミタスニーカーズ』のようなスニーカーをセレクトしているお店は、トレンドが細かく分かれていく分、各メーカーが打ち出したいと思うモデルを再編集してピックアップするので、選び甲斐があるから楽しいのですが、その反面、ビジネス的には細分化するほど選ぶのが難しくなるので、悩ましいところではあります」
トレンドが細分化しているからこそ、何を打ち出すかはショップの腕の見せ所である。いつの時代もそういった手腕でファンを獲得してきた国井さんだからこそ、これからショップにどんなものが並ぶのか、楽しみに待とう。
PROFILE
国井 栄之(くにい しげゆき)
mita sneakers ディレクター
東京の下町である上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案するmita sneakersでディレクターを務める。数多くのブランドとのコラボモデルや別注モデルを手掛け、その手腕を発揮。現在は虎ノ門ヒルズにオープンしたショップ「Herringbone Footwear(ヘリンボーン フットウェア)」の外部ディレクターも務める。世界的プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐にわたり、スニーカープロジェクトに携わるスニーカー業界の最重要人物。

mita sneakers
東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル1F路面店TEL:03-3832-8346 営業時間(平日)11:00~19:30、(土日・祝日)10:00~19:30
Photo by Hiroyuki“Lily”Suzuki(StudioLog)
Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)
Original Movie












