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かけ心地を見直しても1,990円! 暮らしに寄り添う、無印良品のサングラス
無印良品のサングラスが、フレーム素材や設計を見直してリニューアルした。植物由来の原料を一部使った新素材に変更し、従来品よりも弾力性を高めることで、顔のラインになじむフィット感を追求しながら、価格は1,990円に据え置いている。
その背景には、「暮らしに役立つものを、誰もが手に取りやすい価格で届ける」という無印良品のものづくりの考え方がある。
日常の道具として毎日の暮らしの中で使いやすいサングラスを、どのような考えのもとで形にしたのか。株式会社良品計画で開発を担当した中山宏佑さん、拜郷美穂さん、松木貴史さんに、素材変更の背景や、手に取りやすい価格を守る理由について聞いた。
「手に取りやすさ」は譲れない
新素材の採用や設計の見直しを行いながら、無印良品が1,990円を守った背景には、「暮らしに役立つものを、誰もが手に取りやすい価格で届ける」という考え方がある。素材や設計を見直しながら、価格は据え置かれています。品質と手に取りやすい価格はどのように両立したのでしょうか。
「無印良品には、『素材の選択』『工程の点検』『包装の簡略化』の3つのワケがあります。その中で、素材の選択や工程の点検を行いながら、価格を維持することができました。多くの方に気軽に選んでいただくには、税込み1,990円という価格が非常に重要だと考えています」(松木さん)
無印良品にとって、手に取りやすい価格は単に安価であることを意味しない。暮らしに役立つ商品を、より多くの人が気兼ねなく選べるようにするための、ものづくりの基準なのである。
紫外線対策を、日常の道具に
ここ数年で、無印良品のサングラスのラインナップが大きく拡充された印象があります。本格的に力を入れ始めた背景を教えてください。
「2020年頃にはすでにサングラスを展開していましたが、長らく2型で、色も黒と茶色のみでした。大きな転機となったのは、コロナ禍が明けてからです。 屋外で過ごす機会が増え、紫外線対策への意識も高まるなかで、サングラスをお客様の暮らしに役立つアイテムとして強化することになりました。外出時に紫外線から目を守るという、生活に根ざした目的からラインナップを拡充したのです」(中山さん)無印良品がサングラスに求めたのは、装いのアクセントとしての役割だけではない。外出時の紫外線対策を、毎日の生活に手軽に取り入れられる道具として届けることだった。
市場には多種多様な商品があります。「無印良品らしいサングラス」とは、どのようなものなのでしょうか。
「無印良品の商品企画の根底には、常にお客様の暮らしの役に立つという考え方あります。サングラスも奇抜なトレンドを追うのではなく、毎日の生活に自然となじむことを大切にしています。気兼ねなく使えるデザインと機能性を手に取りやすい価格で実現することが、私たちにとっての『らしさ』だと思っています」(中山さん)新素材+設計の見直しで従来品よりもフィット感を向上
今回リニューアルするにあたり、背景にはどのような課題意識があったのでしょうか。
「特定の課題を解消するというより、『どうすればもっとかけ心地をよくできるか』という視点から見直しました。サングラスを日常的に使用する方が増えるなかで、長く着用してもストレスを感じにくい設計が重要だと考えたのです」(拜郷さん)かけ心地を高めるために、何を変更しましたか。
「以前のモデルではフレームにポリカーボネート素材を使用していましたが、今回は植物由来の原料を一部使用した新素材へ変更しました。従来の素材よりも弾力性に優れているのが特徴です。眼鏡は、こめかみ部分をテンプルで支えます。素材が硬いと一点に力がかかり、締め付けを感じやすくなりますが、新素材は弾力性があり、顔に馴染みやすくなります」(松木さん)素材以外にも、かけ心地を高める工夫はありますか。
「昨年から鼻筋にフィットしやすいノーズパッドを設けています。また、お客様からのレビューも参考にして、細かな改良を続けています。ゼロから作り直すのではなく、お客様の声に向き合いながら更新していくのが私たちのものづくりの姿勢です」(拜郷さん)
今回のリニューアルは、新しい機能を追加するのではなく、素材のしなりやノーズパッド、各部のサイズなど、かけ心地を左右する細部を丁寧に見直したアップデートだった。
数ミリ単位で調整する、定番デザイン
現在はさまざまなバリエーションがあります。デザインはどのような基準で決めているのでしょうか。
「手に取りやすいサングラスを考えたとき、まず定番の形であることが重要だと思っています。代表的なウェリントン、ボストン、スクエアは、多くの方になじみやすいデザインです。基本の型を押さえたうえで、設計段階では見た目のバランスやサイズ感、かけ心地を比較しました。サングラスは数ミリの違いで印象も装着感も変わるため、これまでの眼鏡づくりで培ってきた知見を生かしています」(拜郷さん)定番の形を維持する一方で、毎年まったく同じ商品を作っているわけではない。
「ベーシックなラインは残しつつ、トレンドに合わせてフレームの太さを調整するなど、細かな変更を加えています」(拜郷さん)

ラインナップには、屋内でもかけやすい色の薄いレンズや、PC作業にも対応するブルーライトカット仕様モデルもある。
「紫外線から目を守る道具であることが基本ですが、選ぶ楽しみも必要です。サングラスが初めての方でも取り入れやすいよう、主張しすぎないフレームや、服装を問わないカラーレンズを採用しました。肌なじみや清潔感、フレームとレンズの色のバランスを確認しながら、日常で使いやすいデザインに整えています」(拜郷さん)
なかでも人気が高いのはボストン型で、カラーレンズとブルーライトカットのクリアレンズを展開しているという。
樹脂では表現できない、メタルフレームの軽やかさ
リニューアルに続き、新たな商品も登場したそうですね。
「お客様がサングラスを使う場面は、運転や散歩、通勤などさまざまです。あらゆるニーズに応えるため、『暮らしにもっと役立つものはないか』という視点で開発を続けています。7月からは、金属フレームを取り入れたサングラスを3型発売しました」(中山さん)
樹脂製フレームとは、どのような違いがありますか。
「メタルフレームは、従来のインジェクション成形では表現しにくかった繊細なデザインや軽やかさが特徴です。テンプル部分に金属を使ったコンビネーションフレームは、樹脂だけのモデルとは異なる印象や質感を演出できます。デザインだけでなく、かけ心地にもこだわりました」(拜郷さん)価格は2,490円と従来モデルより多少高くなるものの、インジェクション成形では表現しにくいデザインや軽やかな印象を実現するモデルとしては、十分に手に取りやすいといえる。樹脂素材の改良だけでなく、異なる加工方法を取り入れることで、サングラスのラインナップを広げている点も今回の刷新の特徴だ。
このリニューアルで見えてきたのは、フレーム素材の弾力性やノーズパッド、数ミリ単位のサイズ調整といった細かな設計の積み重ねが、かけ心地を左右するということだ。
植物由来素材への変更や設計の見直しも、その目的は機能を増やすことではない。毎日の暮らしの中で、誰もが気兼ねなく使えるサングラスを届けること。その考え方が、無印良品のものづくりを支えている。
PROFILE
中山 宏佑(なかやま こうすけ)
株式会社良品計画
衣服・雑貨部雑貨・靴バッグ担当
PROFILE
拜郷 美穂(はいごう みほ)
株式会社良品計画
衣服・雑貨部・服飾雑貨デザイナー
PROFILE
松木 貴史(まつき たかふみ)
株式会社良品計画
生産部 靴・服飾 雑貨担当
Text by Junko Hayashida







