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鉱石を練り込んだ接触冷感素材 「MINERALTEX®️」が実現した、機能と風合い
MNインターファッションが、天然鉱石を繊維に練り込む手法を用い、UVカット・遮熱・接触冷感という3つの機能を併せ持つ高機能素材「MINERALTEX®️(ミネラルテックス)」を世に送り出した。
機能性を追えば、糸の強度は落ち、生地は厚くなる。夏物衣料に求められる軽さや涼やかさも失われていく。同社はなぜ、この二律背反を乗り越えて製品化までたどり着けたのだろうか。
今回、企画開発部部長の米﨑尊路さんと商品開発課の堀慎一さん、そしてマーケティング担当の松本奨さんに取材し、消費者のニーズに応えるための開発プロセスと、機能性と風合いを両立させるための工夫を聞いた。
PROFILE
米﨑 尊路(よねざき たかみち)
MNインターファッション株式会社
企画開発部部長 兼 マーケティング・デジタル課 課長
企画開発部のヘッドとして、商品開発とマーケティングの両軸を社内外で牽引
PROFILE
堀 慎一(ほり しんいち)
MNインターファッション株式会社
企画開発部 商品開発課
生地開発歴30年の知見を生かし、MINERALTEX等の商品開発を担当
PROFILE
松本 奨(まつもと すすむ)
MNインターファッション株式会社
企画開発部 マーケティング・デジタル課 在籍
主に自社ブランド製品・素材の社内外PR担当を務める
洗濯で落ちない機能を求めて

夏の厳しい日差しと蒸し暑さ。多くの人が抱くこの時期の不快感を、衣服の力で解決できないか。MNインターファッションの高機能素材「MINERALTEX®️」は、そんな純粋な問いから始まった。
同社はまず、市場にあふれる接触冷感素材を徹底的にリサーチした。消費者の「ひんやりしたい」というニーズに応えるため、効果的なアプローチを検討した。その結論として選ばれたのが、天然鉱石が持つ特性だった。
「最初から鉱石に着目したのではなく、消費者のニーズに応えられるものは何かと探していった結果たどり着いたものです。接触冷感の機能が高いということで、鉱石に注目したというのが経緯になります」
米﨑さんが語るように、あくまでゴールは顧客の課題解決であり、鉱石はそのための最適な手段だった。さらに同社がこだわったのは、機能の持続性だ。生地表面に薬剤を塗布する「後加工」は、洗濯を繰り返すうちに効果が薄れてしまう課題があった。そこで、鉱石の微粒子を繊維そのものに練り込む手法を選び、洗濯を重ねても機能が低下しにくい素材を目指した。
機能を上げれば、糸が弱る
繊維に鉱石を練り込む。言葉にするのは容易だが、その実現には繊細な技術とバランス感覚が求められた。特に開発チームを悩ませたのが、「機能性」と「糸の強度」をいかに両立させるかだった。同社は、糸開発の専門家であるパートナー企業と二人三脚で開発を進めていく。「鉱石の練り込み量を増やせば機能性の数値は高くなりますが、糸自体の強度は弱くなります。その最適な効果と強度を両立させる点では、糸メーカーさんもかなり苦労されました」
堀さんは、パートナーである糸メーカー側の試行錯誤に思いを馳せる。糸の強度が保てなければ、生地として成立しない。一方で、機能性が十分でなければ、開発で目指した課題解決のための性能を満たせない。鉱石の配合量と糸の強度を調整しながら、試作と検証が繰り返された。
さらに、生地になった際の「風合い」も大きな壁だった。遮熱率を高めるだけなら、生地を厚くすればいい。しかし、それでは夏物衣料として不可欠な軽さや涼やかさが失われてしまう。
衣料品として成立させながら高い機能性を実現するバランスの見極めは、開発におけるもっとも困難なプロセスの一つだった。単に数値を追い求めるのではなく、あくまで「人が着て心地いい」ことを最終ゴールに据えたと松本さんは語る。この考え方が、「MINERALTEX®️」における“機能性と風合い”の両立につながった。
「この数値以下は認めない」JIS規格に基づく独自基準
開発開始から数年後、この素材を「MINERALTEX」として正式にブランド化することが決まった。それに伴い、開発チームは「紫外線遮蔽率90%以上」(JIS L1925)、「遮熱率35%以上」(JIS L1951)という明確な数値基準を設定した。基準を満たさない素材には「MINERALTEX」の名称を使用しないという運用にしたことで、ブランドとして一定以上の性能を担保する一方、開発条件はより厳しくなった。
基準の達成を支えたのが、生地開発に約30年携わってきた堀さんの知見だった。糸や生地の特性を踏まえて試作条件を調整し、検証を重ねることで、数値基準と衣料品としての品質を両立させた。こうして「MINERALTEX」は、一つの機能素材ブランドとして確立された。

トレンドと機能、両方を求めるアパレルの要求に応える
数値基準を満たした「MINERALTEX®️」は、アパレル製品への採用機会を広げていった。その過程で求められたのが、機能性だけでなく、ブランドごとに異なる風合いやデザインへの対応だった。「アパレルメーカーさんは、当然トレンドに即したものが欲しい。レディースであれば、その市場に合った風合いが求められます。その上で、遮熱や冷感といった機能性も欲しい。まさに欲張りな要求をされるわけです(笑)」
堀さんが語るように、ブランド側は「風合い」と「機能」のどちらも妥協しない。「MINERALTEX®️」では、ブランドが求める生地の風合いをできる限り保ちながら、遮熱や接触冷感などの機能を付加している。求められる質感や用途に応じて調整を重ねることで、さまざまなアイテムへの採用につながった。
採用事例には、NANO universeのTシャツやノースリーブ、自由区のボトムスなどがある。アイテムごとに求められる風合いやデザインを維持しつつ、機能性を組み込んでいる点が特徴だ。


用途に応じた機能の最適化へ
「MINERALTEX®️」の進化はまだ止まらない。現在用いられているのはTシャツやカットソーが中心だが、今後はシャツやワンピース、さらには織物やセーターなど、アパレル内で幅広いアイテムへの展開を加速させていくという。また、その高い機能性から、衣類だけでなく寝具への応用も要望があり、検討を進めている。「将来的には、用途に合わせて特定の機能を高めていくような開発が必要だと考えています。それぞれの需要に対して、長年の知見を生かしながら最適なバランスを見極めていきたいです」と堀さんは語る。
将来的には、「冷たい」という現在のイメージとは真逆の「温かい」機能を持つ素材を、別のブランディングで展開する可能性も視野に入れている。消費者のライフスタイルをより快適にするため、MNインターファッションでは、用途に応じた最適な機能と風合いの両立を目指した素材開発をこれからも続けていく。








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