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ブラでもブラキャミでもない! 「締め付けない」という選択肢を生んだno-buの新発想

2026.07.29
ブラジャーの締め付けや蒸れに悩む女性は少なくない。そんな女性に向けて、新機軸を打ち出したのがno-bu(ノーブ)の「ブラレスウェア」だ。
no-buのアイテムは従来のカップ付きインナーとどこが違うのか。株式会社キャンプCEOの榊原美歩さんとCOOの鈴木愛子さんに、開発の背景と独自の製品構造を聞いた。

サウナの本場で目撃した「下着をつけない」という選択


「ブラレスウェア」の着想は、ふたりが旅行で訪れたフィンランドで生まれた。現地で榊原さんは、サウナから上がったあとにブラジャーをつけず、Tシャツ一枚で過ごす女性たちの姿を目にし、日本の銭湯やサウナといったシーンとの違いに驚いた。
「日本では、リラックスしたのになぜまた下着をつけるのだろうと疑問が湧いたんです。日本の脱衣所で周りの女性を見ると、皆さん体に下着の跡が残っていて、明らかに締め付けられている。それでもつけるのはなぜなのかなと。さっと洋服一枚だけ着て帰れたら、すごく楽なのにと思ったんです」(榊原さん)
この小さな違和感が、ブラトップやブラキャミとは異なる、新しいカテゴリーの衣服という発想につながっていった。
サーモグラフィーでも熱がこもりにくいことが確認されている
「ブラジャーやブラキャミは女性が下着として身につけるものですが、男性がTシャツ一枚で過ごすように、女性にも一枚で気軽に着られる選択肢があっていいと思いました。だからこそ、下着ではなく洋服として作ったことが、これまでのカップ付きインナーとの大きな違いです」(榊原さん)
下着というカテゴリーではなく、一枚で完結する「洋服」を作る。この明確なコンセプトが、「ブラレスウェア」という新たなジャンルの基盤となった。

あえて「胸を支える機能」を捨てた開発の道のり

開発の初期段階でふたりが直面したのは、下着特有の機能をどこまで残すかという問題だった。ブラジャーやカップ付きインナーの大きな役割のひとつが胸を支えることだが、それが同時に締め付けや不快感を生み出す原因にもなっていた。特にサウナ上がりのような体温が上がって汗をかいている状態では、その不快感は顕著に現れる。
「カップ付きインナーは、胸を支えるゴム部分によってどうしても暑さを感じます。そこで私たちは、下着の一番大切な役目である『胸を支える』という機能をあえて取り払いました。そもそもが、リラックスしたあとに再び体を締め付ける必要はないと考えたところからのスタートであり、汗ばんだままで下着をつける状況を変えたかったからです」(鈴木さん)
「ブラレスT そよかぜ」11,800円(税込)
機能を引き算した分、洋服としての美しさと構造にこだわった。共にアパレル業界出身ではなかったため、ドレスデザイナーである鈴木さんの義理の妹の協力を得て、手縫いのプロトタイプを完成させた。だがそれを量産してくれる工場探しは困難を極めた。
「100件近くの工場にアプローチしましたが、なかなか良い返答をもらえませんでした。日本の工場は忙しく、私どものような小規模で、何をやっているかよくわからない会社の依頼は引き受けてもらえなかったのです。
最終的に、埼玉にあるスポーツウエア工場の社長が面白がってくれて、白と黒のシンプルなTシャツを作っていただくことができました」(榊原さん)
アパレル未経験ならではの自由な発想をスポーツウエアの工場が形にし、外にも着ていけるシルエットが実現した。完成した試作品をもとに、ふたりはクラウドファンディングでプロジェクトをスタートさせた。

異業種の視点が生んだ特許申請中の独自構造

胸を支える機能を排除した「no-bu」にとって、最大の課題はバストトップをいかに目立たせないかだった。初期モデルではパッドにダーツを入れていたが、縫い目が目立つという声を受け、胸に当たる面へ凹凸加工を施す構造へ改良した。
「ブラジャーの構造を研究していたときに、レースが多く使われているのは、薄いパッドでもバストトップを目立ちにくくするためではないかと気づきました。そこで凹凸感を加えてみたところ、薄手でも目立ちにくくなることがわかったのです」(榊原さん)
改良版では凹凸を施したパッドを採用
さらに第3世代では、胸の位置に合わせてパッドを動かせる可動式構造を採用した。サポーターなどに使われるソフトテープを応用し、快適な着用感を損なうことなく位置を調整できるようにした。
ソフトテープにより自分の胸に合わせてカップ位置を変更できる
「私たちはアパレル業界の人間ではないからこそ、業界の常識にとらわれず、こうした仕様を柔軟に洋服へ取り入れられたのだと思います」(鈴木さん)
現在は固定式と可動式の2種類を展開し、凹凸加工と可動式パッドについて2件の特許を申請している。異業種ならではの発想が、ノーブラでも外出できる安心感と快適性を支えている。

ユーザーの声から広がるラインナップと着用シーン

クラウドファンディングを経て一般販売が始まると、「no-bu」は当初想定していたアフターサウナウエアといった枠を超え、日常着として受け入れられていった。特に夏はブラジャーの暑さや締め付けに悩む女性から支持を集め、ユーザーの声をもとにラインナップも広がっている。
「最初は家の中で着る方が多いですが、慣れてくると近所での買い物や旅行など、着用範囲を広げていく方が多いですね。リモートワークでも使えるよう、襟付きタイプも開発しました」(鈴木さん)
「ブラレス・シャツ そよかぜ」12,800円(税込)
素材のバリエーションも拡充し、接触冷感による涼しさを重視したシリーズに加え、肌が弱い人向けには綿100%素材を使用し、シルケット加工を施したアイテムも展開している。
「涼しさを重視する方と、肌触りを重視する方でニーズが分かれています」(鈴木さん)
ユーザーとの対話を重ねることで、「no-bu」は単なるリラックスウエアから、多様な日常シーンで活躍する洋服へと進化を遂げている。
ライフスタイルに合わせ、商品展開も増やしつつある。「ブラレスワンピース」16,800円(税込)

医療や防災など社会の潜在的ニーズとの予期せぬ合致

「no-bu」がもたらした解放感は、日常の快適さにとどまらず、社会の潜在的な課題に対する解決策としても機能し始めている。締め付けがなく、金属部品を使用していないという特徴が、予想外の形で評価されることになった。
「乳がんの手術後で傷跡が痛む方や、肺の疾患で頻繁にレントゲンを撮る方からも喜ばれています。予想とは違ったところで活用してくださる方がいるのは、とても印象的でした」(榊原さん)
医師への確認を経て、レントゲン撮影時も着用したままで問題ないことが立証された。また、防災時には「干しても下着に見えない」「そのまま寝られる」といった点が評価され、非常用袋に入れて備えるという利用者もいる。
「no-bu」は下着という概念を取り払い、「快適に着られる服」として女性の日常に新たな選択肢をもたらした。今後は通気性や速乾性の向上に加え、サイズ展開の拡充やリカバリー機能の付加といったアップデートも見据えている。 アパレルの常識にとらわれないふたりの挑戦は、女性の体を締め付けから解放し、新しいウエアの可能性を広げ続けている。

PROFILE

榊原 美歩(さかきばら みほ)

株式会社キャンプ CEO
元プランナー

PROFILE

鈴木 愛子(すずき あいこ)

株式会社キャンプ COO
会計士

Text by Junko Hayashida

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