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nishikawaのリカバリーウエア「エアーリカバリー」には 老舗寝具メーカーのテックがちりばめられていた

2025.09.12
健康志向の高まりを追い風に、リカバリーウエアの需要が高まっている。
熱を帯びるこのジャンルで異彩を放つのが、日本を代表する寝具メーカー「nishikawa(にしかわ)」だ。
特殊繊維素材と手足首を包む込むスリープフラップが駆使された「AiR RECOVERY(エアーリカバリー)」は、昨年秋の発売以降、右肩上がりで売り上げが伸びているという。
寝具メーカー初となるリカバリーウエアの実力を、西川株式会社の商品開発担当者とともに検証しよう。

PROFILE

田尻 和香(たじり のどか)

西川株式会社 商品4部1課

商品開発部にて、[エアーリカバリー]スリープテックウエアや美容睡眠ブランド、「newmine(ニューマイン)」を担当。プライベートでは、ピラティスのインストラクター資格を取得。

450年超の歴史を持つ寝具業界のリーディングカンパニー

まずはnishikawaの変革について。
「西川株式会社は、1566年(永禄9年)に近江商人の仁右衛門によって創業された寝具メーカーです。滋賀県の近江から商いを開始し、その後、江戸に進出。明治以降は東京、大阪にもそれぞれ拠点を置き、京都西川、西川産業、大阪西川の3社に分かれて地域ごとに事業展開を続けました」
1945年の戦災で焼失後、復興した日本橋西川ビル
近年は睡眠科学を駆使した寝具開発にも注力し、プロアスリートも使用する体圧分散性に優れた「AiR(エアー)」マットレスを生み出した。
「AiR(エアー)」シリーズは、特殊立体構造で体圧を分散させ、快適な睡眠をサポートする
「2019年には3社が統合し、西川株式会社として再スタートを切りました。現在はグローバル展開や若年層向けの商品開発を強化しています」
西川株式会社といえば、日本睡眠科学研究所を所有していることでも知られる。
「1984年に設立された、睡眠科学とライフサイエンスの視点から寝具や眠りに関する研究を行う社内研究機関です。企業・大学・研究機関と連携しながら、睡眠生理や寝室環境、寝具の性能などを科学的に検証し、成果を商品開発に生かしています」
nishikawaの商品開発の礎となっている日本睡眠科学研究所

寝具開発のノウハウを生かしたリカバリーウエア

そんな寝具のプロフェッショナルがなぜリカバリーウエアに注目したのか?
「リカバリーウエアの定義は、より良く休むことで明日の活力を向上させる服ということになります。休養の質を高める点において、寝具とリカバリーウエアには共通する点が多くあり、弊社の強みを生かせる、と確信しました。また、アスリートの疲労回復やコンディションの維持をサポートしてきた知見も開発に役立ちました」
nishikawaが休養の質向上をサポートするリカバリーウエアとして、昨年10月にリリースしたのが「エアーリカバリー」シリーズだ。
「開発に当たっては、420名の全国の店舗スタッフに配布し、感想や意見のフィードバックを求めました」
同シリーズの代表作である「エアーリカバリー スリープテック[1] ウェア ドライタイプ」を着用してみた。
「エアーリカバリー スリープテック※ウェア ドライタイプ」 トップス18,700円(税込)、パンツ19,800円(税込)
通気性がありサラッとした肌触りで、伸縮性にも優れ動きやすい。
「素材は吸水性・速乾性に優れたポリエステル×ポリウレタンで、表面の凹凸感によってドライタッチが生まれます」
凹凸感によりドライタッチが実現し、さらにストレッチ性も抜群

コアテクノロジーはナノプラチナを練り込んだPHT繊維

しばらくすると、体がじんわり温かくなるような感覚がある。
「これはPHT繊維の働きによるものです。PHT繊維とは、ナノプラチナなどいくつかの鉱物(学術名:DPV576)を練り込んだ特殊な繊維です。PHTの発する微弱な遠赤外線によって、着用者は筋肉の緊張が和らぎ、リラックス状態へと導かれます。
また、遠赤外線によって体が温まり血行が促進されることで、疲労が回復しやすくなる効果も期待できます」
繊維1本1本に練り込んだ特殊繊維素材
このモデルは一般医療機器の届け出[2]も完了しているという。
「一般社団法人日本医療機器工業会による家庭用遠赤外線血行促進用衣自主基準の内容を満たすことが検証され、正式に届出されています」

深部体温に注目した独自のディテール

もっともnishikawaらしさが表れているディテールがスリープフラップだ。
トップスの袖とパンツの裾が長めに設計され、サポーターのように手首と足首がすっぽりと覆われる。
「2重構造になったフラップで就寝前に手首や足首を温めることで、スムーズなリカバリー(回復)をサポートします。リラックス時は内側に折り返して収納できます」
手首や足首部分をフラップでしっかりカバー
日本睡眠科学研究所の知見によって生まれたこのパーツは、深部体温と睡眠の関わりに注目したもの。
深部体温とは、体の内部(特に脳や内臓など)に近い部分の体温のこと。腋下や皮膚表面の温度とは異なり、体の中核の温度を指す。外気温や運動の影響を受けにくく、一定に保たれる恒常性が強いという。
日本睡眠科学研究所で行われた実験。スリープフラップがあるほうが、明らかに手首の温度が高まることがわかる
「人は眠る際、深部体温が下がることでスムーズに入眠できます。そのため、体は手足から熱を放出して、深部体温を下げようとするんです」
眠る前の赤ちゃんの手足が温かくなるのもそのためだとか。
「手首や足首は血管が皮膚の近くを通っているため、熱の出入りがしやすい部位です。これらの部位を温めると、いったん血流が増えて体表の温度が上がりますが、その後、皮膚からの熱放散が促されることで、結果的に深部体温が下がりやすくなるんです」
シルエットは細身だが、ライトな着心地なので窮屈さゼロ
トップス、パンツともにすっきりとした細身のシルエットを採用している。かつ適度なゆとりが確保されているため、窮屈さは感じない。
「ゆったりし過ぎると体への密着度が下がってしまい、反対に、細すぎるとリラックスの妨げになります。微調整を繰り返して、ベストなバランスに仕上げました」
ちょっとした外出にも対応できそうだが、着用には注意が必要だという。
「休養に適した快適性を追求しているため、着用すると眠気を感じる方もいらっしゃいます。そのため、運動時や運転中には着用しないことを推奨しています」

ライトな素材を使ったモデルが登場

そんなリカバリーウエアに今年は新モデルが加わった。
今年春に発売された「エアーリカバリー スリープテック[1] ウェア ライトタイプ」である。
「エアーリカバリー スリープテック[1] ウェア ライトタイプ」 トップス16,500円(税込)、パンツ16,500円(税込)
「まだまだ続く暑い日々も快適に過ごせるよう素材をアップデートしました。このモデルに関しては、一般医療機器としての届け出はしていませんが、PHT繊維やスリープフラップといった基本的なスペックは既存のドライタイプとほぼ同じものになります」
ドライタイプはポリエステル90%×ポリウレタン10%だったが、ライトタイプは再生繊維(セルロース)70%とポリエステル30%。重量もおよそ20%軽くなっている(生地の重量で比較)。
「とろっとした柔らかい生地が特徴です。暑さや蒸れが中途覚醒の原因となり、睡眠の質を低下させますが、優れた通気性と吸水速乾性で汗による不快感を軽減します」
どんなユーザーが多いのか?
「性別や年齢を問わず幅広い層に売れていますが、特にビジネスパーソンやアスリートの間で高い支持率を獲得しています。自宅でのリラックスタイムだけでなく、旅行や出張時に、機内やホテルで着用される方も多いようです」
「リカバリーの質を高めることはクオリティ・オブ・ライフを高めることにつながる、と我々は考えています。今後も寝具とともに、リカバリーウエアを進化させていきます」
ナノプラチナを練り込んだ特殊繊維や深部体温をコントロールするスリープフラップ、さらに寝具開発で培った着用感へのこだわりが、随所に生かされている。nishikawaの「エアーリカバリー」には、長年の研究と知見に裏打ちされた“休むためのテック”が細部にまでちりばめられていた。
その一着は、まさに“眠るための技術”をまとうリカバリーウエアと言えるだろう。

[1]nishikawaの寝具関連テクノロジー

[2]医療機器製造販売届出番号:14B3X10040000006

Text by Ryota Osujo

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