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2022.12.20

“服から服をつくる”リサイクルプラットフォーム「BRING™」で、サーキュラー・エコノミー文化を加速させる:JEPLAN

ファッション業界では現在、さまざまなメーカーがリサイクルによって地球への環境負荷を下げるアクションをとっている。
例えば、アウトドアブランドにおいては販売する新製品の素材のほとんどにリサイクル原料を使用することで、工場から排出する二酸化炭素や海洋汚染に直結するプラスチック素材を削減する試みなどを実施し、消費者から受け入れられている。
このように、徐々にリサイクルに対するマインドが高まる中、着なくなった服を回収・リサイクルした後に、再製品化することで循環させる仕組みである「BRING™」を展開しているのが株式会社JEPLANだ。
今回、同社のプロダクトマーケティング課の中村崇之さんに、サーキュラーエコノミー型事業の中身とこれからについて聞いた。

リサイクルプラットフォーム「BRING」の仕組み

はじめに、同社は「あらゆるものを循環させる」をビジョンとして掲げているが、どのような経緯で創業されたのだろうか。
「2007年に、現取締役会長の岩元美智彦が、当時大学院生だった現代表取締役社長の尾正樹を誘う形で日本環境設計株式会社(現:株式会社JEPLANを設立しました。岩元がもともと繊維事業者の営業職で、繊維業界の廃棄問題を課題として捉えていたことが創業のきっかけになっています。
そこからユニフォームのコンサルティング事業や、回収した古着からバイオエタノールを製造するなど、リサイクル事業を進めてきました」
その中で生まれたリサイクルプラットフォーム「BRING」とは、一体どのような事業なのだろうか。その具体的な中身とは。
「当社の主要事業はPET(ポリエチレンテレフタレート)ケミカルリサイクル技術を活用した関連事業で、ものづくりに取り組みながら、広くサプライチェーンに携わっています。
『BRING』とは、アウトドアアパレルブランドの機能も持ったリサイクルプラットフォームです。多くの企業パートナーなどの協力を得て、不要になった衣類を回収し、素材に応じたリユース・リサイクルを実施しています。
回収衣類の中でもポリエステル繊維100%の衣類については、当社の工場でリサイクルして再生ポリエステル樹脂に生まれ変わります。その樹脂を用いて当社オリジナルのアパレル製品を製造し、当社の直営店(東京・恵比寿)やオンラインショップなどで製品を販売しています。
直営店:BRING EBISUの様子
直営店:BRING EBISUの様子
衣類回収は提携している、主にアパレル企業の店頭に回収ボックスを設置して、実施しています。回収拠点は、全国に約3500拠点(期間限定開催も含む)あります。回収を促す施策として割引サービスなどが行われている場合もあります(提携企業が回収する場合、その企業が割引サービスを提供)。
回収した衣類をリサイクルして作り出される新たなアイテムは、スポーツウェアやアウトドアウェアとしても着用できるものです。ベーシックなデザインを特徴として長く着られるもの、他にもTシャツやスウェット、ソックスなど全部で40種類ほどを販売しています。この『回収→リサイクル→新しい服の製造・販売』という流れが、弊社の目指す『服から服をつくる』循環になっていますね」

「BRING」の核となる技術と、立ちはだかったハードル

「BRING」の大きな特徴は、ポリエステル繊維のリサイクルとなっている。
「弊社には、回収した衣類のポリエステル100%の衣類を、新品とほぼ等品質のポリエステル樹脂『BRING Material™』に再生するPETケミカルリサイクル技術『BRING Technology™』を有しています」と中村さん。
しかし、従来ポリエステル繊維には不純物などが混じることなどから、リサイクルが難しいとされていた。こうした課題を、どのように解決したのだろうか。
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