Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2023.10.03

D2Cニットの革新:Haut tricotが提供するオーダーメイドの魅力

ニットを着るのが待ち遠しい季節になってきた。肌寒い季節に身に纏うニットは、オーダーメイドのものを取り入れてみるのもいいかもしれない。
Haut tricot(オートリコ)は丸々縫製不要で一着のニットを編み出す、「ホールガーメントテクノロジー」を導入し、完全受注生産を行っているD2Cニットブランド。テクノロジーによりサプライチェーンをカットすることで、注文から2週間でオーダーメイドできるのが特徴だ。
今回はHaut tricotを手がける株式会社ドゥフォワイエの高田健太さんに話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
高田 健太(たかだ けんた)
高田 健太(たかだ けんた)

株式会社 ドゥフォワイエ 代表
ニット事業部(オーダーニットブランド Haut tricot)
責任者

テクノロジーで今までにないブランドづくりができる

はじめに、オーダーニットブランドを立ち上げた背景について教えてください。
私は岡山にあるアパレル小売業、株式会社ドゥフォワイエの3代目になります。
オーダーニットという業態に至った経緯としては、ホールガーメントテクノロジーの採用によって、自社で一貫してものづくりが行えるようになったことが理由です。
アパレル業界は分業が進んでいるため、ものづくりは商社さんに相談せざるをえず、OEMによって、タグだけ違うような服が溢れすぎているのではとも感じていました。
テクノロジーによって、既存の洋服づくりやサプライチェーンに頼ることなく、今までとは一線を画したブランドづくり作りができるのではと考えました。
後継者(アトツギ)としての新規事業でイノベーションを評価され、中小企業庁主催のピッチイベント「アトツギ甲子園」にも登壇
後継者(アトツギ)としての新規事業でイノベーションを評価され、中小企業庁主催のピッチイベント「アトツギ甲子園」にも登壇
フランチャイズチェーンやセレクトショップ形態で、メーカー様から仕入れて売るこれまでのビジネスモデルだけでは、モノや情報の流動性が高まっている時代に存続が厳しくなってくると考え、自社でのものづくりを志向しました。
また、DX化で生産性を高めることで、労働集約的で生産性が低いアパレル業界の、労働環境や給与面といった課題にアプローチできると考えました。
Haut tricotは、新しい形のものづくりを行うオーダーニットブランドとして、どのようなコンセプトを持っていますか?
「洋服の選び方を根本から変える」をコンセプトとしています。
ファッション業界は、「計画的陳腐化(新作をどんどん投入することで消費を促すマーケティング手法)」を使って、高度な分業化と大量生産大量廃棄を前提としたビジネスモデルを作り上げてきたと思います。しかし毎シーズントレンドを追い続けることに疲れてきた人が増えてきていると感じています。
既存のアパレルブランドとは根本的に違うやり方で、注文を受けた必要な分だけ作る、自分にあった色やサイズのものを長く着ていただけるようなものづくりをしたいと考えています。
ホールガーメントテクノロジーを導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
企画、デザイン、織り、裁断、縫製といった分業が不要で、洋服づくりをまとめて自社で行うことができるため、短い納期での完全受注生産が可能になりました。受注から2週間程度で発送できます。
また、中間業者を通さないことによって、原価を安く抑えています。最高級の素材を使用しているにも関わらず、既製品と同程度か少し安いくらいの価格でご案内できています。
生産プロセスはオーダーいただいてから、(1)ニッティングデータの作成、(2)編み立て、(3)洗い、風合い出し、(4)仕上げ、タグ付けをすべて内製で行っています。
ECサイトにニットデザインシミュレーターを導入したのは世界初とのことですが、このシミュレーターが顧客にもたらす利点とは?
受注生産において一番の課題となる、「どんな感じに仕上がるのかがわからない」という点をできる限り改善します。またシミュレーションからオーダーまでシームレスな購買体験を提供します。
また、サンプル生産が不要なため廃棄が出ないことや、スピード感を持って商品展開を行うことができる点もメリットですね。
1 / 2 ページ
この記事をシェアする