SEALはブランドの創立当初よりWWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金)に売り上げの一部を寄付するなど、積極的に社会貢献活動に取り組んでいる。
2020年には「10年後になくなるべきブランド」というコンセプトのブランド「
PLASTICITY(プラスティシティ)」をクリエイターAkiと立ち上げた。「PLASTICITY」はなぜ10年後になくなるべきブランドなのだろうか?
「PLASTICITY」立ち上げのきっかけやコンセプト、製品に対する反響や今後の展望などを、株式会社モンドデザイン長谷川さんにお伺いした。
「10年後になくなるべきブランド」の意味とは
「PLASTICITY」とはどのようなブランドなのか教えてください。
「PLASTICITYはプラスチックごみのひとつとして廃棄問題になっている、ビニール傘を再利用し提供するアップサイクルブランドです。「PLASTICITYは弊社とクリエイターのAkiさんと、共同で開発しております。Akiさんは専門学校に通っているときにPLASTICITYを立ち上げました。弊社がAkiさんの作品を見る機会があり、ビニール傘から再利用して作られた作品やその取り組みに共鳴し2020年より製品化し販売を始めました。
『PLASTIC』 の問題を抱える『CITY』にフォーカスするということで『PLASTICITY』というブランド名となっています。プラスチックごみなどの廃棄による今後解決されるべき環境問題が、近い将来に解決されてほしいというAkiの思いが込められています。
日本では1年間で消費されるビニール傘のうち約8,000万本の傘が廃棄されているといわれています。弊社では、駅や商業施設といった置き忘れなどで忘れ物となり、最終的に廃棄されてしまうビニール傘を再利用して、独自の方法で新しい素材『GLASS RAIN』を開発しました。この素材を用いたバッグや小物などのアイテムを販売しています」
なぜビニール傘に注目されたのでしょうか。
以前から弊社は、環境に優しい素材のバッグや小物を展開するブランドを運営しております。ビニール傘の防水性や耐汚性といった特性はバッグの素材に適しており、リサイクルができれば廃棄問題にも貢献でき、環境問題に対する方向性が合致しております。より多くの方に「PLASTICITY」を知ってもらいたいという思いから、Akiさんと共同開発する運びとなりました。ブランドのコンセプトとして『10年後になくなるべきブランド』を掲げています。これを聞くと皆さん口をそろえて、『10年後ブランドがなくなったら会社の経営はどうしていくのですか?』とおっしゃいます。
正確にはブランドではなく、捨てられたビニール傘の素材が手に入らなくなる状況を私たちは望んでいます。ビニール傘の使い方やリサイクル方法が変われば捨てられるビニール傘は減り、その結果廃棄問題の解消につながる。まさにそれが、私たちの目指す10年後の未来ということです。
10年後、捨てられたビニール傘が手に入らなくなったら、PLASTICITYの言葉の本来の意味(柔軟性)にならい、社会が直面している問題からまた新たなモノづくりを展開していきます」
ユニークな素材が話題に。ブランドのストーリーに共感する人も多い
ビニール傘から素材へ加工する際の流れを教えてください。
「ビニール傘は、『回収→解体→洗浄→プレス』と4つの工程を経て、新たな素材へと生まれ変わります。4つの作業は別々の工場で熟練した職人の元で行われています。素材となる廃棄ビニール傘は、全国各地のご協力いただいている業者様やブランドとしての取り組みで個人のお客様から不要になったものをお送りいただき回収しております。