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2020.06.19

着せ替えアプリ「ポケコロ」:アバター文化とファッションの新たな交差点(後編)

自粛生活が続くなかで、急速に注目が高まったバーチャルファッション。
ココネ株式会社が運営する着せ替えアプリ「ポケコロは、ファッションブランド「KEITA MARUYAMA」とのコラボレーションを開始。
「ファッション業界側からのバーチャル進出」ではなく、「バーチャル業界側からのファッション進出」のアプローチを探求する本インタビューの後編は、ハイブランドとのコラボの経緯と意図に迫る。前編に引き続き、ココネ株式会社の取締役弁護士の石渡真維さん、コーポレート担当デザイナーの渡邉辰也さんに話を伺った。
ココネ株式会社の取締役弁護士の石渡真維さん
ココネ株式会社の取締役弁護士の石渡真維さん

リアルのファッションから学ぶためのコラボレーション

実在するファッションブランドのアイテムを展開したことは、これまでもあったのでしょうか?
石渡2017年に渋谷109ブランドである「Swankiss(スワンキス)」さんとのコラボをしたことはありました。ポケコロ内では評判が良く比較的人気の商品で、今でも話題に上がることがあります。
では、今回のKEITA MARUYAMAとのコラボレーションの経緯を教えてください。
石渡ポケコロは9年の歴史があり、アイテム数は3万点に上ります。組み合わせは無限大です。また、着せ替え系アプリでは日本No.1だと思っておりまして、デジタルのお洋服を日本一販売していると自負してきました。
しかし、社内にファッションを専門とする人がおらず、社内のデザイナーを刺激したくて、リアル・ファッション業界の方とつながりたいと思ったのがきっかけです。アイテムが「好き」と思ってもらう感性に刺さるには、やはり流行、季節、世の中の状況など様々な要素が関係します。私たちにとっては、リアルのファッション業界とのコラボレーションはマンネリ化せず、お客様に新しい風を感じてもらうためのひとつの手段です。
石渡そこで、日本のアナ・ウィンターと言われている、ViViなどの編集長をされてきたファッションエディターの軍地彩弓さんを顧問にお迎えし、リアル・ファッションとのコラボレーションにチャレンジすることになりました。
実際にコラボしてみて、ファッションデザイナーの方と制作を進めるというのはどういった体験になりましたか?

石渡今まではデザインが内製なので、作ったものはボツになることなく、ほとんどが販売されていました。今回は、KEITA MARUYAMAさんの世界観を壊すことのないようにしなければならないし、12頭身くらいのモデルさんが着こなすものをポケコロ内の2頭身のキャラクターに着せるという難しさもあり、満足いくまで制作を繰り返す経験をできたのは、弊社内のデザイナーが刺激を受け、ファッションについて学び、お客様により良いものが提供できるきっかけになると思いました。
やはり、制作の方法やこだわるポイントに違いはあるのですか?
石渡そうですね。通常だと、とにかく1点ずつでも豪華に見えるように、とにかく盛り込んで足し算的に作るのですが、KEITA MARUYAMAさんはランウェイファッションの世界なので、トータルコーディネートのバランスを意識した作り方で、引き算の要素が強かったです。ただし結果として、それはポケコロの世界に当てはめてもかっこいいものでした。ひとつのブランドの強い世界観を維持する形で、ポケコロがそこに合わせていくという作業は初めてだったので、とても勉強になり、楽しい経験でした。
コラボアイテムを実際にリリースして、ユーザーの反応はいかがでしたか?
石渡「やっぱり上品だね」とか、「KEITA MARUYAMAのアイテムが実際には買うのは難しいけれど、ポケコロでなら手に入る」などの喜んでいるお声をいただきました。KEITA MARUYAMAさんの方でも、コラボレーションについて声をかけられることが多くなったとのことです。
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#Virtual Reality
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