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2023.03.30

超高解像度・超軽量のVRヘッドセット「MeganeX」を開発したShiftallが目指す、メタバースにおける究極のデバイスとは

株式会社Shiftall(シフトール)が2023年4月に発売する予定の新型VRヘッドセット「MeganeX(メガーヌエックス)」。メガネのような形状で、5.2K/10bit HDRのマイクロOLEDディスプレイを採用した、高精細な画質・映像表現と超軽量が特徴で、大きな注目を集めている。
年間2,000時間以上メタバース内で過ごすといわれる、ヘビーユーザーにも快適なプレイ環境を提供する「メタバース向け製品」だ。
今回、株式会社Shiftallの代表である岩佐琢磨さんに、MeganeXの開発エピソードや製品としての利点、Shitallが目指すメタバースにおける「究極のデバイス」まで伺った。

メタバースにおけるヘビーユーザーの増加

岩佐さんは2003年にパナソニックに入社し、2007年に退職。2008年にハードウェアベンチャーCerevoを立ち上げ数々の製品を国内外に送り出したのち、同社から事業を切り出す形で2018年、古巣パナソニックの子会社としてShiftallを立ち上げた。
同社は、IoT製品を含む家電製品・ガジェット類の企画、開発、販売を行っており、とりわけ現在はメタバースに特化した製品を多数手がけている。
パナソニックは2020年から、当初「VRグラス」と呼んでいたMeganeXのプロトタイプの開発を行っていたが、Shiftallがパナソニックグループの中でメタバース事業で先行していたことから、Shiftallブランドで展開することが決定。2021年から共同開発体制へと移行し、1年2カ月ほどの開発期間を経てMeganeXが完成した。
「われわれはメタバースに特化した事業を2021年からスタートしていて、そちらが非常に順調にスケールしたことがきっかけで、開発を担当することになりました。プロトタイプにおける第一の課題は重さで、いかに軽くするかが当初からのコンセプトでした。
人々のメタバース空間で過ごす時間は、昔はイベントのあるときだけ1〜2時間過ごす場所立ったのが現在はどんどん長くなっていて、今やメタバース空間に住んでいると表現する人たちも増えてきている状況です。
長時間利用が増えることに伴いて、現在は画質が綺麗で、長時間装着しても疲れない軽量のヘッドセットが求められています」

超軽量と超高解像度の実現

ヘッドセットの重さの一例として「Meta Quest 2(メタ クエスト 2)」は約503g、それに対してコンシューマ版のMeganeXは約320g、ビジネス版は約330gとなっている(※アウトサイドイン対応アダプターなしの場合)。軽量化を実現する際に、どのような苦労があったのだろうか。
「やはりシンプルに筐体が小さいので、配線に苦労しました。通常は、左右のディスプレイが繋がっているので基盤が1枚で済みますが、今回は基盤を2枚に分けなければいけませんでした。電気設計及びメカ設計、そして排熱周りの設計も苦労しました」
そして、MeganeXのもう一つの特徴である超高解像度の画質においては、具体的にどんなこだわりがあるのだろうか。
「技術的には、OLED(有機EL)であること、解像度が5.2Kであること、HDRに対応していること、この三つですね。5.2KのHDRに対応したマイクロOLEDディスプレイを搭載しているところに尽きると思っています。
現状、業界各社のコンシューマ向けのデバイスの大半は、5.2Kという解像度のものではなく、ほとんどは4K、かつHDRにも対応していません。また、ほとんどのデバイスが、ディスプレイにLCDを使っていて、OLEDではありません。
これが実現されるとどうなるか。この点は、テレビと同じだと思っていただくのが分かりやすくて、シンプルに画質が綺麗だということです。
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