責任者であるマシュー・ドリンクウォーター氏は、「テクノロジーとファッションの感情的接点」に着目し、創造・展示・販売のプロセスを再構築してきた。本記事では、FIAの具体的なプロジェクトや教育的アプローチ、そして次世代のファッション産業に対するビジョンに迫る。
PROFILE|プロフィール

マシュー・ドリンクウォーター(Matthew Drinkwater)
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション内に設置されたFashion Innovation Agency(FIA)の責任者。小売業界での経験を経て、2013年にFIAを創業。AR/VR、AIといった最先端技術とファッションを融合させ、その創造・展示・販売の在り方を革新するプロジェクトを率いる。『WIRED』誌から「パイオニア」と称され、英国のAI国家プロジェクトのアドバイザーも務めるなど、世界的なファッションテックの先駆者として知られる。
ファッションとテクノロジーの交差点──FIAの設立とその背景
Fashion Innovation Agency(以下、FIA)は、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション内に2012年に設立された。責任者であるマシュー・ドリンクウォーター氏は、元々小売業界でキャリアを築いてきた人物だ。ロンドンの老舗百貨店「ハロッズ」を皮切りに、日本企業の「カシオ」などでも勤務し、常に“イノベーション”を軸に活動してきたという。「テクノロジーを使って消費者の反応を変えることに関心があって、Eコマースが始まったばかりの頃から、テクノロジーと顧客体験の関係性を探り続けてきました」