Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2023.05.26

イギリス王室御用達「JOHN SMEDLEY(ジョン スメドレー)」のハイクオリティなニットウエア

イギリスのニットウェア産業の先駆者として世界的に知られている「JOHN SMEDLEY(ジョン スメドレー)」。高品質で着心地の良い製品は、昔も今もハイゲージニットの代名詞的な存在として君臨し続けている。今回はJOHN SMEDLEYの日本代理店である株式会社リーミルズ エージェンシーの道廣元昭さんに、ブランドの歴史やその品質の高さについてお話を伺った。

産業革命の時代に生まれたJOHN SMEDLEY

「創業は1784年で、もうすぐ240年になります。イギリスが産業革命の時代にJOHN SMEDLEYは誕生しました。もともとは綿花の紡績と生地造りをしていましたが、19世紀前半には現在に通じる靴下や肌着の製造をしていたと言われています。
肌着というと、日本の場合はカットソーを連想するのが普通だと思いますが、JOHN SMEDLEYの場合は真っ直ぐな生地をカットしてソーイングするという方法ではなく、肌着でもニットと同じ製造方法で作られる『ニット肌着』のようなものでした。時を経て、JOHN SMEDLEYはハイゲージのニットブランドに発展していきました」
イギリスにあるJOHN SMEDLEYの本社
イギリスにあるJOHN SMEDLEYの本社

英国王室御用達ブランドにもなるクオリティ

JOHN SMEDLEYというと、やはり着心地の良さやコットン素材、ウール素材の製品があり、驚くほどの肌触りの良さが特徴だ。ここからはそれらの素材についてお話を伺い、クオリティの高さを明らかにしていこう。
「主軸になっている糸は2種類あります。1つは『シーアイランドコットン』という、超長綿、もう1つは『メリノウール』です。シーアイランドコットンは、繊維が非常に細く長く、希少価値の高い素材です。直接肌に触れるものであるため、肌触りの良さや品質の高さが求められ、こちらの素材が採用されています。
もう1つの素材であるメリノウールは、ソフトな肌触りや吸湿性、保温性に優れ、ウールの中でもとくに優れた素材です。この2つの素材を主軸に各製品を生み出しています。
また、JOHN SMEDLEYのシルエットについては、網目の数を変えながらフォルムを作っています。カットソーであれば、生地を裁断する際にパターンに合わせて曲線のフォルムを作っていきますが、ニット製品では編みながらフォルムを作っていきます。
袖などのパーツについては、リンキングという専用の機械を使い、網目を合わせて編み付けていく技法でつなげていきます。
こうして長年にわたり作り続けられるニット製品は、イギリスや日本をはじめ、世界中の百貨店やセレクトショップなどで展開され、2012年に英国王室御用達[1]のブランドとなりました」
イギリスにあるJOHN SMEDLEYの工場、マイスターたちの様子
イギリスにあるJOHN SMEDLEYの工場、マイスターたちの様子
シーアイランドコットン編地
シーアイランドコットン編地

日本に来てからのJOHN SMEDLEYは、百貨店等の特選売り場から始まった

日本でJOHN SMEDLEYが展開されるようになってから長い年月が経っているが、ここからは日本に登場したときから近年までのお話を中心に伺っていこう。
「最初に日本にJOHN SMEDLEYが渡ってきたときの話は、昔すぎて詳細がわからないところもあるのですが、大正時代に、イギリスからビキューナ[2]という大変希少で、カシミヤよりも高級な毛糸で作られた『ももひき』を皇族に献上したという資料が残っているので、それが最初だと思います。
その後、日本でJOHN SMEDLEYの商品が販売されるようになったのは、おそらく今から40年以上前だと思います。銀座の百貨店『和光』や『三越』などの特選売り場で取り扱いが始まりました。
ちょうどその頃、『BEAMS(ビームス)』などのセレクトショップが登場し、セレクトのニットが注目を浴びるようになり、ヨーロッパのスコットランドやシェットランドあたりのものをセレクトするようになっていきました。そして、ハイゲージのニットになると、JOHN SMEDLEYが注目され、セレクトショップでも取り扱いが始まったという経緯があります。
百貨店では当初、メンズのみが取り扱われ、一方でセレクトショップもメンズから展開が始まりレディースにもセレクトしていただいて、その後取り扱いが広がっていきました。ハイゲージニットといえばJOHN SMEDLEYという認識も、その頃から生まれたのではないかと思います。
JOHN SMEDLEY銀座の直営店も30年の長い歴史を持ちますが、JOHN SMEDLEYはトータルブランドではないため、モードやカジュアルといった枠を超えて、さまざまなテイストのファッション愛好家に愛用されてきたのではないでしょうか」
1 / 2 ページ
この記事をシェアする