オランダ出身のファッションデザイナー、ルカ・ハマースさん。SFやクリーチャーから着想を得た彼の服は、機能性と異世界的な造形を併せ持つ。
本稿では、彼の創造の源泉と、妥協なきデザイン哲学、そして作品に込められた思想に、インタビューを通して迫る。
PROFILE|プロフィール
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ルカ・ハマース(Luca Hamers)
オ ランダ生まれ、ロンドンを拠点とするファッションデザイナー。セントラル・セント・マーチンズ卒業。未来学者であった祖父やSF、クリーチャーから影響を受け、アバンギャルドで異世界的なデザインを探求。想像力豊かな美学と、軍用規格の生地やマグネットジッパーなどを用いた技術的な精密さを融合させる。デビューコレクション以来、実用性と彫刻的なシルエットを両立させた作品は、世界的に高い評価を得ている。
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プロフィール写真:ワールドのポップアップに登場したルカ
服から始めないデザイン:SFとクリーチャーが織りなす独創性の源泉
ハマースさんの作品に共通する「クリーチャー」や異世界的な要素は、どのようにデザインへ反映されているのでしょうか?
「クリーチャー」というテーマは、子どもの頃にオタク文化へ没頭した経験から来ています。幼い頃は一人で過ごすことが多く、漫画、アニメ、ゲームの世界にのめり込んでいました。その後、ファッション分野において世界最高峰の教育機関である、ロンドンの「セントラル・セント・マーチンズ」で学んでいたとき、ある先生から「服を見るな。誰にもできない、自分だけの視点をデザインに持ち込め」と言われ、1ヶ月間服を作ることを禁止されたのです。
その間は、ただ絵を描き、自分の世界観を探求するよう指導され、そこから「クリーチャーによって世界観を構築する」というオリジナルの手法が生まれました。今でもスケッチブックにはクリーチャーばかり描いていて、その線やフォルムが服のシルエットに反映され、他にはない立体的な造形が生まれています。服からデザインをスタートさせないからこそ、独自のアプローチを持てていると思います。