イタリア・ヴェネツィアの街角には、ときおり風景そのものが詩になる瞬間がある。石畳をぬらす運河の反射、時を重ねた建築の静けさ、人々の足音──そんな都市の呼吸の中から、ひとつの靴ブランドが立ち上がった。
「Poesie Veneziane(ポエジエ ヴェネツィアーネ)」は、“ヴェネツィアの詩”という名にふさわしく、感性と職人技を重ね合わせた靴づくりを続けてきた。そして2025年、そのスピリットは「
POEVE(ポエーヴェ)」と名を改め新たなフェーズへ。より洗練された実用的な輪郭をまといながらも、創造の源にある精神は今も変わらず息づいている。
そんな「POEVE」の背景にある哲学と、美意識と、靴に込められた物語を、創業者セバスティアーノ・コンテの言葉とともに辿っていく。
PROFILE|プロフィール

セバスティアーノ・コンテ(Sebastiano Conte)
POEVE 共同創業者
ヴェネツィアの詩情と家族の伝統が紡ぐ物語
ヴェネツィアの詩情と家族の伝統が紡ぐ物語
「POEVE」の核となる精神、それは「優雅さと実用性、伝統と革新の間にある、調和の美を追求すること」。そう語るのは、創業者のセバスティアーノ・コンテだ。建築やアートに造詣が深い彼は、靴を「単なるファッションアイテムではなく、自己表現のツール」だと捉える。「素材の表情や、シルエットに宿る余白、そして足を入れた瞬間の気配まで。すべてが日常に詩的なリズムを与えてくれる存在であってほしい」。彼にとって、靴を履くことは感性をまとう行為に他ならない。