昨今のアウトドアファッションブームをはじめとして、アウトドアカルチャーが広く浸透したことで、アクティビティを楽しむために必要なウェアやギアもその愛用者の幅を急速に広げている。
そんななか、ミリタリーなどの専門分野で生まれた革新的な素材や技術を利用したアウトドアフィールドでも優れた機能を発揮するアイテムも登場し、コアなアウトドアフリークを中心に大きな支持を得ている。
米国発のアウトドアブランド「Prometheus Design Werx(プロメテウス デザイン ワークス)」は、ミリタリーを背景に持ちつつ、高い機能を備えながらも洗練されたデザインのアイテムが特徴。ここ数年で日本でもファンを増やしている、アウトドアフリークに人気のブランドだ。
今回は、同ブランドの日本で唯一の正規ディーラーである株式会社KINRYUの宮田悠佑さんに話をうかがい、デザインへのこだわりや魅力、そしてオススメのアイテムなどを教えてもらった。
米・カリフォルニア州を拠点とするPrometheus Design Werx(以下:PDW)は、ミリタリー好きには有名なサンフランシスコのアパレルメーカー「Triple Aught Design(トリプル オート デザイン)」の創設者であるパトリック・ヨーク・マ―氏によって立ち上げられた新進気鋭のブランド。
デザイナーや職人、冒険家、元軍人など、さまざまなジャンルのスペシャリストが在籍するチームによって運営されており、メンバー個々の専門知識や技術を駆使したユニークかつハイエンドなアイテムを展開している。
そんなPDWの製品には、どんな特徴があるのだろうか?
「PDWの製品を語る上でキーマンとなるのが、創設者であるパトリックです。彼の知名度を上げるきっかけとなったのが、PDW発足以前に彼が手掛けていたブランド『トリプル オート デザイン』で、ミリタリーというジャンルをモダンなデザインに落とし込んだアイテムは“T.A.D.ギア(タドギア)”と呼ばれ、当時ミリタリーファンを中心にとても注目を集めました。
そんなパトリックが新たに立ち上げたブランドということもあって、このPDWもスタート当初から注目を浴びてきました」
ミリタリーシーンで人気を博したトリプル オート デザインは、スタイリッシュでシンプルなデザインに、高度な機能性を融合したウェアブランド。パトリック氏がそこで表現していたものは、PDWにも受け継がれているという。
「パトリックはインダストリアルデザインにおける良いデザインの10箇条というものを大事にしています。それをもとに生まれたPDWのアイテムの美しいデザインは、さまざまな機能が帰結したデザインであるとも言えます。
つまりシンプルな中に、日本語で言う“機能美”を落とし込んだデザインになっているのが魅力なんです」
インダストリアルデザインにおける良いデザインの10箇条とは、【革新的】【実用的】【美しい】【説明不要】【でしゃばらない】【誠実】【長持ち】【ディテールまで完璧】【環境にやさしい】【ほとんどデザインされていない】というもの。パトリック氏がそのようなデザインにこだわるのは、ブランドのコンセプトも関係しているようだ。
「PDWがユニークなところは、他の近しいブランドが“アウトドアギア”を作っているなかで、『“アドベンチャーギア”を手掛けている』という言い方をしている点です。
ライフスタイルを冒険だと捉え、アウトドアでも街でも使える、すべてのシーンに対応できる商品開発をしています。厳しい環境に対応できる最新の素材や技術を取り入れつつも、街で使えるような洗練さも大切にする。そういったコンセプトでデザインされているのも大きな特徴です。
また、最新技術が生まれる場所でもあるミリタリーが核にありつつも、クラシックなアルペン(登山)や、EDC(エブリデイキャリー)ギア(=日常生活で使うギア)の要素を持っているなど、いろいろな要素が合わさってブランドの世界観を作っています。それもこのブランドが注目されている理由なのではないでしょうか」
宮田さんに、現在日本で発売中のアイテムの中でも特にオススメなものを2つ厳選していただいた。
ひとつ目は、クラシカルなアウトドアやアルペンスポーツのバックパックを基に、人間工学的設計や最先端の素材を使って現在的なデザインに仕上げた、ハイエンドモデルのバックパック「S.H.A.D.O.Pack 24L」だ。
耐久性に優れた500デニールのコーデュラナイロンを素材に採用し、さらに70デニールのリップストップナイロンを内張りに使用して堅牢に仕上げたこのバックパックは、背面パットや内蔵フレームによって安定して着用できる。
また、中身を整頓して収納できるメインコンパートメントには、ツールなどをよりスマートに整頓できるパネルを付属。さらに、フロントと底面、切り離し可能なウエストベルトにはレーザーカットのモールパネルを備えているため、用途に合わせて付属パーツを拡張するなど、自由度の高いカスタムが可能だ。
「このバックパックは2018年にリリースされた、PDWの良さを凝縮したようなアイテムです。デザインはクラシックアルペンを踏襲しているのですが、米国でEDCギアの賞に選ばれるなど評判のいいアイテムです。この春に新色展開もあり、毎日使うバックパックとしてもオススメです」
そしてふたつ目のオススメアイテムは、サビに強くて軽量、そして強度にも優れたチタンを使用したキャンピングギア『PDW Ti-Lineシリーズ』のソロ用 ウッドストーブ「PDW Ti-Line MFSS」だ。
ストーブ部分には空気の流れを誘導して燃料を効率よく燃焼させる「ダブルウォール構造」を採用し、インナーのバスケットパーツの取り付け方を変えることで、固形燃料やアルコールバーナーなど、さまざまな種類の燃料を使い分けることが可能。
トップの折り畳み式ポットスタンドパーツもさまざまな大きさの調理器具に対応している。また、各パーツはコンパクトにまとめることができるので、携行性にも優れている。
「チタンを利用したギアのシリーズはPDWでも人気があり、その中でも売れているのがソロ用ストーブの『PDW Ti-Line MFSS』です。独特な形をしているのですが、枝などの自然燃料も使えるので、ソロキャンパーやバイカーにも人気があるアイテムです」
最後に、今後の展開について宮田さんはこのように語ってくれた。
「現在のPDWのファン層というのは30代から50代のミリタリー好きやアウトドドアを楽しむ方々で、ソロキャンプやブッシュクラフトといった本格的なアウトドアを楽しむコアな層が中心です。今後はこのブランドのオリジナル性をさらに打ち出していき、ミリタリー業界、アウトドア業界に根付くようPDWの知名度を上げていきたいと思っています」
すでに大きな支持を得ているコアなアウトドアフリークだけでなく、もっと多くの人たちに人気となり、注目度が広がって欲しいと語る宮田さん。今後のPDWの展開に、大きな期待を持ち注目していきたい。
株式会社KINRYU 広報担当。2017年に入社。KINRYUオンラインストアならびにプロメテウスデザインワークス日本公式ストア(楽天)の店長。また、同社のブログ、商品撮影もこなす。趣味はカメラ。マイブームは、野山を散策しハンモックで昼寝をすること。無類のEDCギア好きで最近はコッパー(銅)製のツールを収集することに夢中。
https://shop.kinryu.jp/
Text by Wataru Ando (ALTANA inc.)