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2023.03.14

アジアに特化しZ世代から支持を受けるファッションECサイト「60%」とは?

 現在、Z世代における海外ファッション人気の一翼を担っている越境ECサイトが「60%(シックスティーパーセント)」だ。 韓国・インドネシア・中国・タイなどアジア10カ国から1,000以上のストリートブランドを集め人気を博している。

   顧客はZ世代が中心で「今まで購入できなかった商品を『60%』で買えるようになった」「1週間で商品が届き、海外配送の不安が払拭された」など高い評価を得ている。

そこで今回、「60%」を運営する株式会社シックスティーパーセントの副社長兼共同創業者である松岡那苗さんに、創業の経緯や事業内容、そして今後の展望などをお伺いした。

PROFILE|プロフィール
松岡 那苗(まつおか ななえ)
松岡 那苗(まつおか ななえ)

株式会社シックスティーパーセント 副社長兼共同創業者

アジアブランドの盛り上がりを肌で感じ起業、創業4年で入店ブランド数が1,000を突破

株式会社シックスティーパーセントは、代表取締役の真部大河さんと松岡さんの2人が2018年に共同で設立した企業だ。なぜ「アジア」に特化したファッションECサイトを立ち上げたのだろうか。

「私自身がマレーシアのストリートブランドの日本支社CEOとして事業に従事していた際、東南アジアを仕事で訪れる機会が多かったのですが 、日本のバブル当時のような印象を受けたんです。アジアのブランドが続々誕生していることを肌で感じ、非常に印象的でした。

   そこで、もともとファッション事業で起業していた真部に声をかけたのが始まりです。2人とも日本を中心にアジアブランドの盛り上がりを感じていたので、アジアを次のファッションのメインストリームにするという想いを込めて『60%』を立ち上げました。

アジアの国にフォーカスして事業を展開している理由は二つあります。一つ目は、アジア市場が急成長しているにもかかわらず、『アジア』に焦点を当てたファッションサイトが存在していなかったという点です。そして、二つ目はアジアのアパレルブランドの母数の多さです。

アジア各国のデザイナーと話すと『東南アジアでは、学校を卒業したら皆ブランドを立ち上げる』とよく聞いていたことも背景にありました。実際、アジアはNIKEやSUPREMEなど著名ブランドの生産背景を持っているため、生産レベルが非常に高く、ストリートブランドが生まれやすい土壌があるんです。  

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「60%」は「毎日入店」 

数多くのアジアのブランドがある中、「60%」で取り扱うブランドはどのような基準で決められているのだろうか。

「『60%』は『毎日入店』と言われており、毎日新しいショップが入店(ECサイト上に出店)し商品を世界に向けて販売しています。

弊社では『キュレーター』と呼ばれる担当チームが入店ブランドを選定しています。細かい社内ガイドラインに準じつつ、キュレーター独自のトレンドや現地のリアルな情報をもとにブランドを選定しています。

弊社はファッション感度の高いメンバーが社内に非常に多いこともあり、社員からの推薦でブランドが入店するケースもあります。商品は数万点あるためベストセラー商品がある訳ではありませんが、流行の先駆けになるような商品が先に売れ始める傾向があると感じています」

現在さまざまなECサイトがあるが、ページの作り方や商品情報の伝え方などサイト運営はどのように行われているのだろうか。「60%」が意識的に工夫している点はあるのだろうか。

「『60%』は、誰もが知る著名ブランドというよりも日本未上陸で『知る人ぞ知る』ブランドの入店がブランド母数の大半を占めています。

よって日本でまだ知られていないブランドを『60%』がきっかけで好きになり、購入してもらえるように意識してプロモーションを行っています。

そのため、シンプルで分かりやすいこと、情報を即座に届けること、は全社的に意識をしている部分になります」

海外発送では、商品購入から自宅に届くまでの時間や梱包を心配するユーザーの存在が想定される。「60%」で気をつけている点とは?

「弊社に入店しているブランドはすべて直契約・正規ブランドとなっているため、梱包に問題があったというケースはほとんど発生しません。

ただ、配送スピードに関しては国内配送に比べると遅延が生じやすくなってしまうのは否めません。『60%』としても全社を挙げて改善に尽力をしている部分で、日々配送スピードを0.1日単位で確認するなどの試みに取り組んでいます」

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Z世代の顧客、男女の割合は同程度

「60%」を利用するユーザーは若い世代が多いことから、そうした世代が生み出す力も、ビジネスを促進しているという。   

「弊社の顧客は主にZ世代が中心で、男女の割合は同程度です。国内外を問わずファッション感度の高い方が多く、顧客の中でも日本未上陸ブランドは『60%』で売っている、という認知が広がっていると感じています。

現在アジア各国において人気のスタイルや雰囲気が異なるため、例えば『韓国っぽい』『中国っぽい』というような言葉が若者の中で浸透し始めているのは、トレンドや新しいカルチャーが生まれる手前ではないかと感じています。

『オルチャンメイク』や『韓国ストリート』など、若い世代が自ら作りだすワーディングでファッショントレンドが出来上がるのは、SNS世代だからこその面白みだと思いますし、その流行がアジアを中心に発展していることが、より『60%』のビジネスの後押しになっていると感じています」

今後新しい「何か」を作ろうとする人たちを支えられる会社に

最後に、2023年以降のアジアのファッショントレンドはどのように変化すると考えているのかについて伺った。   

「アジアのファッションは今後さらにバリエーション化され、良い意味で競争が激しくなると感じています。

『60%』は創業4年で1,000ブランド突破していますが、キュレーターは2名しかいません。これだけアジアのブランドがアグレッシブに弊社にジョインして共に成長拡大をしていくと、ブランドのバリエーションが増えさらにブランド同士の競争が生まれてくると思います。

競争が生まれると商品の質・顧客対応・マーケティングなど幅広い部分でブランド自体のレベルが向上すると思いますので、2023年以降はさらにどんなブランドが誕生し、成長していくのか楽しみです。

台湾・インドネシアや中国などのファッションはこれから急成長すると確信しています。弊社はそのパイオニアとして、アジアのファッションやカルチャーを牽引していきたいと思います
   
『60%』としても   今年で1,500ブランド超を達成する想定で、アジアのファッションブランドのパートナーになるべく、さまざまな新規事業やプロジェクトを行っています。

アジアのファッションブランドのように、メジャーに反骨心を持ち、ゼロから作り上げ成功を収めようとチャレンジする人々を応援する立場でありたいという思いで、『WE BELIEVE STREET DREAMS : ストリートドリームを信じる』というコアスタンスを掲げています。

ファッションのみならずテック分野やマーケティング分野など、各方面から優秀なメンバーが集まり『60%』を作り上げることで、今後新しい『何か』を作ろうとする人たちを支えられるような会社でありたいと思っています」

Text by Asami Tanaka

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