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2024.02.08

地域文化商社「うなぎの寝床」が伝える、その土地ならではの商品

昔から親しまれている工芸品は、日本全国にたくさんある。織物、陶磁器、竹工品など、種類も豊富だ。工芸品が作られる背景には、その土地ならではの環境や歴史が関係していることが多い。
福岡県八女市にある「うなぎの寝床」は、その商品が持つ背景まで伝えることをモットーにした地域文化商社だ。運営している店舗では、全国各地の工芸品を比べながら、その商品が持つ背景や特徴を伝えられるように商品を展開している。
今回は、同社で取締役・バイヤーを務める春口丞悟さんにインタビューを実施。創業の経緯や地域文化の魅力、展開している商品などについて、話を伺った。
PROFILE|プロフィール
春口 丞悟(はるぐち しょうご)
春口 丞悟(はるぐち しょうご)

株式会社 うなぎの寝床 取締役・バイヤー
うなぎの寝床 代表取締役の白水氏と共にうなぎの寝床を設立。現在は、主に仕入れ業務を担当している。

「商品が生まれた背景」も届けられるように

御社を立ち上げた経緯を教えてください。
弊社は、代表取締役の白水と共に2012年に創業しています。私と白水は前職が一緒で、2009年から福岡県の南側のエリアを対象にした「九州ちくご元気計画」という厚生労働省の雇用創出事業に携わっていました。
そこでは、石鹸メーカーや線香花火屋、果樹農家、漁師など、いろいろな事業者の商品開発やブランディングをサポートをする推進員という立場で関わってきて。
「いい商品はあるんだけど、売り方が分からない」「こういう商品を作りたいんだけど、どう作ればいいのか分からない」といった困りごとの解消に向け、事業者と専門性を持っている方をつなげる役割を担っていました。
当時はブログが主流だったので、ブログを立ち上げたり、自分たちで発信するスキルを磨いたり。ときには、料理の専門家に加工食品を作るためのアドバイスをもらうこともありました。
新しく商品が生まれたり、販路を見出したりしていくうちに、筑後地方で作られている商品が福岡以外の場所でも売れるようになりました。
ただ、「この地で作られているいいものを、まとめて見られるような場所がないな」と気付いたんです。もともと携わっていた国の事業では利益を出すことはできませんし、3年と期限のあるものだったので、その事業が終わった後に自分たちで商売をすることにしました。
この土地で作られているものが見られる場所、来た人が立ち寄れるような場所にしたいと、この地域のものを紹介するアンテナショップとして「うなぎの寝床」を立ち上げました。
現在、御社が取り扱っている商品に関して、教えてください。
大きく分けると、作り手さんからそのまま仕入れている商品と、弊社オリジナルで作っている「UNA PRODUCTS(うなプロダクツ)」という商品があります。
作り手さんの商品には、お皿や石鹸、タオル、竹かごなどいろいろなものがあります。弊社は、「すでにあるものを知らせる」ことを基本としているので、最初から作り手さんに対して作り方を指定するような話はしていません。
「知られていないから売れていない」という現状があると思うので、まずは商品を知ってもらうようにするために、出来上がっているものから選ぶようにしています。
ただ、「鼻緒は毎回違う反物を使用している」「竹かごのサイズを決めていない」など、定番品を作っていない作り手さんもいるので、その場合は弊社からお願いしたものを定番化して用意していただいています。
商品は、九州で作られているものが多いのでしょうか?
九州のものが軸になっていますが、九州のものを深掘りできるようにしたいと考えているので、全国のものを仕入れています。
たとえば、九州には「久留米絣」という綿の織物がありますが、綿の織物自体には福山デニム、遠州織物、今治タオルなどいろいろなものがありますし、それぞれ特徴が異なります。特徴は比較してみないと分からないと思うので、いろいろなものを揃えました。
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