「モルドバ共和国」と聞いて、何をイメージするだろうか?
モルドバは東欧に位置し、ルーマニアとウクライナに隣接する旧ソビエト連邦を構成していた国家のひとつ。国土は九州よりやや小さく、ワイン程度しか特段の産業もないため、経済規模では“ヨーロッパ最貧国”として知られている。
ファッションの素晴らしい側面は、資源不足による制限が創造性を刺激する要素になり得ることで、拠点とする国の経済規模が必ずしもネガティブにならないことである。モルドバの首都キシナウ現地を訪れ、デビューから2シーズン目を迎えた「
OK KINO(オーケーキノ)」に出合って、改めてそう感じられた。
共同創立者のダリア・ゴルノヴァ(Darya Golneva)とデニス・カウノフ(Denis Caunov)は共にモルドバ出身で、キシナウを拠点に主にモルドバ生産のウィメンズウエアを展開する。
その魅力は、自然素材を使った多彩な質感の生地に、丁寧に仕立てられたテーラリング、体のラインを美しく見せるカットとシルエット。洗練された都会的なデイリーウエアに、モルドバの伝統的な手法で編まれたクロシェを装飾として施したり、祖父母が着用していた古い洋服から踏襲したディテールのデザインを織り交ぜたりと、独自性を探究 している。