幼少期に、人生の初めての親友のように手放せなかったブランケットやぬいぐるみ。幼い頃の記憶が薄れていても、家族が愛をもって包み込んでくれた柔らかな生地の感覚が、どこか脳裏に残っている人も多いだろう。
オランダ発ブランド「
GABI」は、幼い頃に愛着を抱いたブランケットを思い起こさせる、どこか懐かしく温かなタッチのテキスタイルが魅力である。エチオピアにルーツを持つ設立者ルース・ロナー(Ruth Ronner)は、エチオピアの民族衣装として用いられ、新生児の"おくるみ"や日常生活の一部として浸透している手織りの綿織物・ガビからインスピレーションを得て、その伝統を現代へと継承している。
パーソナルな思い出から「GABI」の誕生まで、ルースが紡ぐ物語に迫る。
豊かな歴史を持つ、エチオピアの伝統織物"ガビ"
「ガビは織物というだけでなく、世代を超えて受け継がれてきた物語、思い出、伝統を運んでいるのです」とルースは語る。彼女はその織物の名称"ガビ"をそのままブランド名に採用し、独特の質感や色彩を再現しながらも現代的なニュアンスを加えることで、エチオピアの美学をスカーフやブランケットへと昇華させている。特徴は、伸縮性のある雲のような柔らかな肌触りだ。ガビは、性別を問わず着用する伝統的な民族衣装として親しまれ、現代では冠婚葬祭や教会へ行く際の正装、赤ん坊のおくるみ、そして自宅ではブランケットとして日常生活に溶け込んでいる。