1921年フランスで創業して以来、登山文化を常にリードしてきた「MILLET（ミレー）」が初めて防虫効果のあるウエアを発売し、その使い勝手のよさが話題になっている。その名も「ANTI INSECT（アンチ インセクト）」。これからの季節、ますます活躍の機会が増えそうな防虫機能シャツについて、ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン株式会社マーケティング部の古谷奏さんに話を聞いた。
身体にやさしい成分の接触忌避剤を配合しており、不快な虫が遠ざかる
人類初の8,000m峰登頂として歴史に刻まれる1950年のアンナプルナＩ峰（8,091m）の登頂に使われたのは「ミレー」のバックパックだった。この伝統と信頼のブランドから発売される機能ウエアが近年、熱い注目を集めている。「クチコミで火がついたメッシュ構造のアンダーウエア『ドライナミック』シリーズに続くヒット商品に育ってほしいと願っています。『アンチ インセクト』シリーズは虫から身体を守るアイテムとして、自然を身近に楽しむ方々に広く受け入れられるのではないかということで今シーズン新登場しました」
たしかに、新型コロナウイルス感染症による行動制限が大幅に緩和された今季は、山歩きやキャンプを楽しむ人々が増えてきた実感がある。それに伴い、自然の中で出合う虫を嫌がる人々も増えたようだ。虫さえ避けられたらアウトドアはもっと快適なのに……そう感じる多くの人にとって、この「アンチ インセクト」の登場は朗報に違いない。
「嫌な虫が生地に触れると逃げていく接触忌避剤『ノーフライゾーン』を採用しています。空間を薬剤などでバリアするのではなく、触れると虫が落ちたり逃げたりするのが接触忌避剤で、天然に存在する除虫菊の成分と構造的に類似しているので安心して着ることができます。後からコーティングするものとは違い、繊維自体に防虫効果があるため洗濯に強く、70回の洗濯でも効果が持続します」
70回の洗濯に耐えるということは、ほぼ毎週アウトドアで着用しても1シーズンどころか2シーズン以上も防虫効果が持続する。しかも防虫効果だけでなく、UVカット機能と吸汗速乾のドライ機能も備えている。山歩きやキャンプなど自然の中で行動する際のベースレイヤーとして、これだけの機能を併せ持つとは心強い。
UVカットと吸汗速乾、アウトドアで役立つ機能を搭載した心強い相棒
「UPF20＋[1]の紫外線カット機能を持つので、日差しの強い夏のアウトドアでも活躍してくれます。触っていただくとわかりやすいのですが、ベースレイヤーとして薄手にできているので通気性がよく、シャツの下に着るにも適しています。吸汗速乾性もかなり高く、裏地がグリッドになっていて汗抜けがいい。吸った汗を表側に出して乾かす機能に優れています」
防虫に目がいきやすいが、吸汗速乾性が高く伸縮性に優れ、UVカット機能を持つ高性能なインナーウエアに、さらに防虫機能が備わった多機能べースレイヤーだ。自然の中へ出かける際の着こなしに取り入れると「アンチ インセクト」シリーズの実力をフル活用できそう。快適さの追求は首回りのデザインにまで及んでいる。
実際にアウトドアで活動しているアドバイザーの意見を取り入れた
伝統ある「ミレー」から機能性の高いウエアが続々とデビューする（今回はベースレイヤーだが、ミドルレイヤー、アウターレイヤーにも特徴ある機能性ウエアが相次いで登場している）のはなぜか、古谷さんに尋ねてみた。「市場調査の結果でもありますが、もう一つ、アドバイザーの意見を参考にニーズがどこにあるか検討した結果でもあります。実際にアウトドアで活動している方々、たとえば山岳ガイド、写真家、トレイルランナーの方などに、どんなものがあったら便利か、さまざまな意見をいただき自分たちの体験とも照らし合わせて企画開発につなげています」
そんな中から生まれたアイテムが、「アンチ インセクト」シリーズ内にもう一つ存在する。あらかじめウエアを着用しなくても、虫が気になったとき、すぐ装着できるネックスカーフがそれだ。
「ウエアに比べて着脱しやすいのがネックスカーフの長所です。虫よけにしても日焼け防止にしても首元は重要ですね。機能はウエアと同等ですが、ネックスカーフにだけ取り入れられた工夫があります。それは保冷材の入るポケットがついていることです」
首に巻いたとき、うなじに当たる部分にポケットがあり、そこに保冷剤を入れると真夏でも涼しく活動できるという。「かゆいところに手が届く」ならぬ、「暑いところに涼が届く」細やかな工夫だ。「ミレー」の製品にはフランス企画と日本企画のものがあり、「アンチ インセクト」は日本企画だという。今後もどんな製品が出るか目が離せない。
[1] 紫外線保護指数20＋は、素肌のまま20分程度で肌が赤くなる紫外線量を想定した場合、20倍の約7時間は日焼けを防ぐ効果があるとされる指数
PROFILE｜プロフィール
古谷奏（ふるやかなで）
ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン株式会社マーケティング部
製品のロケで自然の中に入ることが多く、とくに夏場は数日にわたり山小屋泊で活動する機会もあるため今シーズンは新商品「アンチ インセクト」の真価を自ら実感するチャンスと楽しみにしている。
Text by Naoki Sakata
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