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またもや完売か⁉ アウトドアウォッチのあるべき姿を 映し出すシチズン×モンベルの最新コラボ作
極限に挑むプロフェッショナルのために開発された「シチズン プロマスター」に、フィールドで培われたモンベルの機能美が息づく。頑丈で視認性に優れ、操作は非常にシンプルだ。
スマートウォッチが席巻する現代にあって、その姿はひときわ異彩を放っている。今回はシチズン時計株式会社 商品企画センターの原口大輔さんとともに、歴代コラボの軌跡を辿りながら、最新作の真価を探る。

モンベルの美学・Function is Beautyに共鳴して始まったコラボ
「モンベルさんとの出会いは弊社の展示会にお越しいただいたことがきっかけです。モンベルさんのFunction is Beauty(機能こそが美である)というデザイン哲学や、ユーザーに本当に良いプロダクトを届けるために努力を惜しまない姿勢など、共感する点が多くありました。そこから『モンベルの考える腕時計』を一緒に開発することになったんです」ベースとして選ばれたのが、1989年に誕生した「シチズン プロマスター」だった。
「海、陸、空という3カテゴリーを展開し、過酷な環境にも耐える堅牢性と専門分野に応じた機能性を備えたモデルです。モンベル側のリクエストに応えるには、理想的なベースでした」
第1弾から第4弾まで──機能美を磨き続けた軌跡

「第1弾は2016年の10月にリリースされ、ケースには軽量で耐傷性に優れるスーパーチタニウム™(デュラテクトTIC加工)を採用し、さらに20気圧防水の裏ぶたレス構造によって高い防水性と堅牢性を実現したモデルです」
スーパーチタニウム™とは、シチズンが独自に開発した金属素材技術である。チタンは軽量でサビにも強い反面、柔らかくキズがつきやすい欠点があった。そこでシチズンは表面を特殊な硬化処理・デュラテクトTICで覆うことで、ステンレスの約5倍以上の硬さを実現したのだ。
定期的な電池交換が不要な光発電エコ・ドライブに加え、夜光塗料が施されたアラビア数字とバーインデックスで暗所での視認性も確保された。
「シンプルにしてタフな腕時計を」というモンベルのリクエストを、シチズンの技術によって体現したアウトドアウォッチは、発売と同時に完売する店舗が相次いだ。

翌2017年の11月にリリースされた第2弾では、シリーズ初となるカーフのレザーバンドモデルもラインナップ。
「デザインやスペックは第1弾を踏襲していますが、レザーバンドを組み合わせたことで、日常にもなじむ、汎用性の高いアウトドアウォッチに進化を遂げました」

2019年3月発売の第3弾では、機能面がブラッシュアップされた。電波による時刻修正が可能な光発電エコ・ドライブ電波時計に加え、世界26都市の時刻に簡単操作で切り替えられるダイレクトフライト機能が搭載された。
「ブラックモデルにはスーパーチタニウム™(デュラテクトDLC加工)を採用することで、これまで以上の高硬度を実現しました」

毎作のアップデートには、単なるスペック向上以上の“思想の深化”が見て取れる。軽量性、耐久性、そして視認性——いずれも“自然の中で信頼できる道具とは何か”という問いに、真摯に向き合い続けた結果だ。
そして翌2020年9月には、第3弾をベースに、耐久性と質感をさらに高めた第4弾が発売された。
「シルバーモデルに採用されたデュラテクトMRKが見どころです。これはチタンの内部まで高硬度層を浸透させることで、ステンレスの約6倍以上の硬度のテクノロジーです」
アウトドア性能に加え、装着シーンを選ばない上質なルックスを備えた第4弾は、アウトドアとタウンユースをつなぐ機能美の成熟形といえる。

削ぎ落とすことで現れたアウトドアウォッチの本質
すでに完成の域に達した感のあるコラボシリーズだが、今年10月に発売された第5弾はどのようなモデルに仕上がったのだろうか?「ひと言でいえば、原点回帰です。モンベルさんのリクエストは、ハードな環境に耐えうるタフさ、昼夜を問わない高い視認性、簡単な操作性──つまり、アウトドアウォッチの原点に立ち返るものでした」

まずは文字板のデザインに注目してみよう。大型のアラビア数字とバーを組み合わせたインデックスは前作を踏襲しつつ、本作では針のデザインが刷新された。時針には矢印型の新デザインを採用し、分針・秒針も含めてより太く力強い造形とすることで視認性が高められた。
「針の中心部にはしご状の溝を設けているのもポイントです。こうすることで、剛性が高まるだけでなく、夜光塗料をこれまで以上に厚く、かつ安定して盛ることができるようになりました。溝によって塗料の盛り上がりを抑えられるため、針同士の干渉を防ぐメリットもあります」
耐久性をさらに高めるべく、随所にアップグレードが施された。
「ケースとバンドの素材にはスーパーチタニウム™(デュラテクトMRK加工)を採用しています。さらにオールブラックモデルでは、硬化層をチタン内部まで浸透させるデュラテクトMRKに加え、表面に高硬度のデュラテクトDLCを重ねた2重構造を採用しました。
表面だけでなく、チタンの素材そのものを強化することで、擦り傷のみならず打痕のような表面に対し垂直方向に入る傷にも強くなります。あらゆる傷に対して強化され、長期間使用しても新品のような仕上がりを保つことができます」

ケースバックは裏蓋のない裏ぶたレス構造に仕上げている。チタンを熱間鍛造して成形しているため、接ぎ目が一切なく、ケース背面からの水や湿気の侵入を完全に遮断できる
「本作ではシンプルな操作性を優先したこともあり、ムーブメントにはあえて電波機能を省いた光発電エコ・ドライブを採用しています。ただし、ダイバーズウォッチ用の耐衝撃性に優れたムーブメントを搭載することで、タフネスと信頼性を高めています」
ケース側面にプッシュボタンはなく、リューズひとつですべての操作を行うことができる。大型のリューズは加工によって細かな凹凸が施されているため、ぬれた手やグローブでもグリップしやすい。

「今回のラインナップには、シリコンラバーの替えバンドを付属したモデルも用意しました。バンドはユーザー自身が交換できるインターチェンジャブル構造を採用しています。これは、アウトドアギアは自分で整備できるものが理想、というモンベル側からのリクエストに応えた仕様です」

「人間の五感では、時刻を正確に知ることはできません。そこに腕時計の“拡張器官”としての存在意義があると思うんです。そういう意味で、アウトドアウォッチは自然の中で人間の感覚を補う重要なギアだといえます。
見やすく、頑丈で、操作がシンプルな腕時計こそが、もっとも信頼できる道具になるはずです」
近年、スマートウォッチが急速に普及した一方で、「機能が多すぎて使いこなせない」「時間さえ正確にわかればいい」と感じている人も少なくない。
そうした時代に登場したこのモデルは、モンベルが創業50周年を機に「アウトドアウォッチとは何か?」という問いに立ち返り、再定義した一本といえる。
便利さよりも、確かさを。情報量よりも、信頼を。この腕時計は、アウトドアウォッチの本質を映し出している。
PROFILE
原口 大輔(はらぐち だいすけ)
シチズン時計株式会社 商品企画センター 商品企画部
Text by Ryota Osujo














