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ローファーから履き替える、「EARLE」夏のレザーサンダル

2026.07.21
ローファーを好む現代のスタイルに着目し、『EARLE(アール)』は、夏でもローファーのような存在感を楽しめるレザーサンダルやワラチシューズを生み出した。
今回は、EARLEのオーナー兼デザイナー・髙橋 亮平氏に、ブランド誕生の背景から、EARLEが大切にするものづくりの思想や哲学について話を聞いた。

メンズシューズ市場への挑戦

EARLEのオーナー兼デザイナーである髙橋氏はデザイン学校を卒業後、レディースを中心とした靴のデザイン会社に勤め、高度な製造技術や繊細な表現力を培ったことが、現在のブランドシューズ製作の基盤となっている。
長年勤めたデザイン会社から独立を果たした髙橋氏は、2018年1月に事業を立ち上げ、同年の秋冬シーズンから自身のブランドであるEARLEを本格的に始動させた。当時のファッション業界はさまざまなスタイルが混在し多様性に富んでいたが、メンズシューズ市場においては彼が求める理想のデザインが決定的に不足していた。
当時の状況とブランド立ち上げの経緯について、髙橋氏は次のように語る。
「ファッションブランドの表現は実に多様ですが、クラシックな靴にアレンジを加えたような、エレガントなメンズシューズが当時は少ないと感じていました。そこで、自分が長年レディース分野で培ってきたテクニックをメンズに落とし込んだ、中性的な魅力を持つ革靴を作りたいと思ったのです」
この言葉が示すように、EARLEのブランドテーマはクラシックスタンダードの普遍的な美しさを尊重することにある。そこにエレガントやミニマルといった要素を加え、日常と非日常を交差させるプロダクトを追求し続けている。

細部に宿る独自のニュアンス

EARLEのものづくりを根底から支えているのは、髙橋氏がデザイン会社勤務の頃から長く取引を続け、深い信頼関係を築いてきた製造メーカーの存在である。現在は複数の工場を、各アイテムのデザインに応じて使い分けている。靴のデザイン画を描く段階で、どの製造ラインが適しているかを慎重に見極め、生産拠点を決定する方針をとっている。
ブランドが特に得意としているのが、ドレスシューズの製造技術を巧みに応用したフルレザースニーカーや、かかとにヒールを積み上げた本格的な革靴である。しかし、それらのアイテムは単なる伝統的なクラシックシューズの枠には決して収まらない、独自のデザイン性を確立している。
いわゆるスタンダードな革靴は、つま先の形状に特徴がなかったり、ヒールが低く設定されていたりすることが多い。髙橋氏は自身が洋服好きであるというファッション観を存分に生かし、現代の主流であるワイドパンツなどに合わせやすい最適なバランスを常に模索している。
「クラシックなブーツやローファーをそのまま作るのではなく、少しだけヒールを高くしたり、つま先をセミスクエアにしたりと、微細なニュアンスを加えることを大切にしています。ただ丸いだけではエレガントに見えませんし、角張りすぎてもトレンドに流されてしまいます」
この特別なこだわりは、靴の顔ともいえるつま先のカーブにもっとも顕著に表れている。極端なスクエアトゥは時代性に左右されすぎて長く履き続けることが難しいため、絶妙な塩梅で角を残すことで、大人の足元にふさわしい“きちんと感と洗練されたエレガンス”を見事に両立させている。
こうした細部への徹底した追求が、他社の靴にはないEARLE独自の個性となっている。この微妙なボリューム感やシルエットの違いに共感し、自分好みのバランスを見出した人々が、ブランドの熱心なリピーターとして定着しているのである。
EARLEの定番アイテムといえるThe Second Pair Of Loafer 39,600円(税込)
髙橋氏こだわりが表れるスクエアトゥの木型

夏に履く革靴というスタイルの提案

こうしたブランドの確固たる哲学は、真夏のスタイルを彩るアイテムにも色濃く反映されている。その代表格として今シーズン提案されたのが、メキシコの伝統的な履物である「Huarache(ワラチ)」を現代的に解釈した「Modan Huarache Shoes(モダン ワラチ シューズ)」である。
近年の若い世代やEARLEを愛用する顧客にとって、日常の足元を飾るアイテムとしてローファーが選ばれることが増えつつある。髙橋氏は、ローファーが持つ上品なスタイルはそのままに、厳しい暑さの夏でも快適に履きこなせる新しいアイテムが必要だと直感した。
以前の革靴ブームのように細身のスキニーパンツに合わせるのではなく、現代は太めのデニムなどを品よく引き締める目的で革靴が選ばれる傾向にある。そのため、軽快さが求められる夏の靴であっても、足元が軽く見えすぎない適度な重厚感は欠かすことのできない要素となっている。
「夏のサンダルとはいえ、つま先を大きく開きすぎたり、芯をなくしてくたくたに作ったりすることは避けています。靴としての美しい形状をしっかりと保ち、ジャケットスタイルに素足で合わせても綺麗に見える絶妙なバランスを意識しています」
さらに、素足で履くことを前提とした実用的かつ細やかな工夫も随所に施されている。一般的な「Huarache」は硬いスムースレザーの底材がむき出しになっていることが多いが、EARLEでは足に直接触れるライナー部分に柔らかなスエード素材を採用している。
これにより、真夏に素足で履いた際の不快なべたつきを大幅に軽減している。コンフォートに寄りすぎたデザインを避けつつ、柔らかな足当たりや歩きやすいクッション性といった毎日でも履きたくなる実用性を密かに内包させているのがEARLEの真骨頂といえる。
Modan Huarache Shoes 35,200円(税込)
着用シーン
スエード素材のライナー

スポーツからクラシックへの回帰

もう一つの注目すべきアイテムである「Band& SR Buckle Sandals(バンドアンド エスアール バックル サンダル)」も、現代のファッションの流れに対するEARLEならではの一つの解答である。このアイテムもまた、ローファーに合わせるようなスタイルを好む層を念頭に置いたうえで生み出されている。
近年のサンダル市場を振り返ると、オーバーサイズな洋服に合わせたスポーツブランドのアイテムが圧倒的な主流であった。しかし、普段からローファーを愛用する感度の高い層のスタイルには、そうしたスポーティーすぎるサンダルはどうしても馴染みにくい。
そこで髙橋氏は、ドレスシューズに用いられるのと同じ上質なレザーを使用し、全体に美しい光沢感を持たせた。さらに金属製のバックルをアクセントとしてあしらうことで、カジュアルになりがちなサンダルに大人のエレガントな要素を大胆に付加している。
「通常の尾錠バックルだと脱ぎ履きが煩わしいため、サイドリリースのバックルを採用しています。スポーツ由来のニュアンスをわずかに残しつつも、樹脂ではなく金属パーツを用いることで、大人が楽に履けるレザーサンダルに仕上げました」
数年前までのサンダル市場はスニーカー寄りのスポーティーな作りが主流であり、シルエットもボリューム感があるものが多かったが、よりエレガントで洗練されたシルエットへと流れが変わってきている。
そうしたなか「Band& SR Buckle Sandals」のソール部分には、履く人への緻密な配慮が詰まっている。履き心地やクッション性といったスポーツ由来の機能面は意図的に残し、そのうえでクラシカルな雰囲気を持ち合わせて仕立てることで、実用性とエレガンスを両立させているのである。
Band& SR Buckle Sandals 29,700円(税込)
着用シーン
サイドリリースのバックルとクッション性の利いたインソールの仕様
現在、EARLEは自社ECサイトでの販売実績を順調に伸ばしつつ、本州を中心としたセレクトショップで幅広く展開されている。
それは靴を単なる歩行のための道具としてではなく、ファッション全体のバランスを左右し、着る人の個性を引き立てる重要なアイテムとして捉えているからに他ならない。洋服好きの鋭い視点からデザインし生み出されるEARLEの靴は、現代のワードローブに欠かせない存在となっている。
トレンドが目まぐるしく変化するファッションの世界において、クラシックの普遍的な美しさと現代の多様なライフスタイルを見事に融合させた髙橋氏の挑戦は、これからも続く。EARLEが提案する大人の足元は、変わりゆく日常の中に、確かなエレガンスと心地よい非日常の感覚を常にもたらしてくれるだろう。

PROFILE

髙橋 亮平(たかはし りょうへい)

EARLEオーナー/デザイナー

1985年大阪府生まれ。ファッション専門学校でシューズメイキングを専攻し、卒業後はシューズデザイン会社にて数ブランドのレディースシューズブランドのデザイナーとして経験を積む。その後、メンズシューズブランド「nil admirari(ニル アドミラリ)」のデザイナーに抜擢。合計約11年間の活動後、「EARLE」の立ち上げに至る。メンズのクラシックスタンダードをベースに、レディースのエレガントな要素やテクニックを加えた「EARLE」を提案している。

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