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全国行脚で商品を直接届ける!「ONE THIRD RESEARCH」の魅力とは?
長年にわたり、国内外のブランドの靴や鞄の製造を請け負う、OEM事業をファクトリーとして手がけてきた株式会社SANTASU。その実績を生かし、自らの技術と哲学を直接届けるブランドとして立ち上げたのが「ONE THIRD RESEARCH(ワン サード リサーチ)」だ。
これまで培ってきたものづくりの技術を背景に、OEM事業では表現しきれなかった価値を、自らのブランドを通して発信している。そこには、製品だけでなく、そこに込められた作り手の想いや技術まで届けようという姿勢がある。
今回は、ディレクター・本安 佑基氏と、ブランドの最前線に立つショップマネージャー・山本 勇介氏に、ONE THIRD RESEARCHのものづくりとブランドが目指す未来について話を聞いた。
自社ブランドを始めた理由
ONE THIRD RESEARCHの母体である株式会社SANTASUは、2014年の創業以来、靴のOEM事業を手がけてきた。国内外のさまざまなブランドの製造を請け負い、企画から製造までを一貫して行える自社工場を構え、やがて鞄の製造にも着手。いつしか社内の生産量は靴と鞄が半々になるまで成長した。長年ファクトリーとして他社のブランドを支えてきた同社だったが、新たな想いが芽生え始める。「今まで、国内外のさまざまなブランドの商品製造に携わってきて、そのなかで培ってきた職人の技術や素材に関する知識、製造背景を生かして、自分たちが本当に届けたい価値というものを、直接お客様に伝えたいという想いが生まれました」
そう語るのは、ディレクターの本安 佑基氏だ。この想いが結実し、2025年3月、ブランド「ONE THIRD RESEARCH」が直営店と共に産声を上げた。ブランド名には、一日を構成する「仕事」「遊び」「休息」という3つの要素(ONE THIRD)の境界を、シームレスに行き来するライフスタイルを提案したいという願いが込められている。
その根底には「ココロ踊る、波動の伝播」という独自のコンセプトがある。作り手自身がまず心を躍らせることで、そのポジティブなエネルギーが製品を通じて使い手に伝わり、さらにその周囲へと広がっていく。そんな幸福の連鎖を生み出すことが、ブランドの究極的な目標だ。
「この商品で本当に“ココロ踊る”かどうか。それにはまず自分たちが心を躍らせないと、お客様の心を躍らせることはできないのではないか、と。そこが、僕らがものづくりで立ち返る場所になっています」(本安氏)

革靴の常識を更新する「MORROW」
OEMで培った技術と「ココロ踊る」哲学は、どのようにプロダクトへと落とし込まれているのか。ブランドのシグネチャーモデルであるローファー「MORROW(モロウ)」は、その答えを雄弁に物語る一足だ。見た目はあくまでクラシックなローファー。しかし、その内実には既成概念を覆すこだわりが凝縮されている。アッパーに使われているのは、仕上がるまでにたくさんの工程を要することで知られるタンニンなめしを、2度も繰り返した特別なレザー。さらに表面にはパラフィン(ロウ)をたっぷりと染み込ませており、履き込むほどに持ち主独自のシワや光沢が生まれ、豊かな経年変化を楽しめる。
「アッパーデザインと素材はクラシックなローファーのそれを用いたものですが、そこにVibram社のソールを合わせているので、クッション性や歩行性といった面ではハイブリッドなモデルになっています」(山本氏)
ソールはウレタンとラバーの2層構造で、スニーカーのような快適な履き心地を実現。同時に、ヒール部分を削り出すことで、革靴特有の美しいシルエットを損なわない工夫も施されている。さらに、かかと部分には着脱を容易にするプルループを配置するなど、スニーカーの機能的なディテールを革靴のデザインに溶け込ませている。こうした細部にこそ、ブランドの「らしさ」が宿る。
ライニング(内張り)にまで吸湿性に優れた天然の革を用いるなど、見えない部分にも妥協はない。長く履き続けられるよう、ソールの交換にも対応する。一過性のトレンドではなく、持ち主の人生に長く寄り添う一足。それが「MORROW」の目指す姿だ。


持つ人に寄り添うバッグ「MORPH」
靴作りで培った哲学は、バッグ作りにも貫かれている。ブランド立ち上げ当初からの定番シリーズ「MORPH(モフ)」は、その名の通り「変化」をテーマにしたコレクションだ。「こだわったのは、体にフィットするシルエットです。バッグを持ったときの佇まいを追求し、試行錯誤を重ねて作っていきました」と山本氏が語るように、体に沿うように設計されたストラップの曲線が、美しい一体感を生み出す。中の荷物の量や持ち方によってドレープが生まれ、表情が変わるのも特徴だ。
素材には「高密度ミリクロス」と呼ばれる特殊な生地を採用。極細のポリエステルとナイロンの糸で織り上げられたこの生地は、織り目が見えないほど高密度でありながら、驚くほど軽くしなやかだ。かつてイタリア軍のウエアにも採用されたという逸話が示す通り、高い強度と優れた撥水性も兼ね備えている。光の当たり方で表情を変える独特の光沢感も魅力だ。
シリーズのアイコンとなっているのが特徴的なダブルジップで、デザイン的なアクセントであると同時に、バッグを前に持ってきた際に左右どちらからでもアクセスしやすいという機能性も考慮されている。バックパックモデルの「MORPH PACK(モフ パック)」では、内部に15インチまで対応するPCスリーブを備え、裏地にはPVC加工を施して防水性を高めるなど、現代のライフスタイルに求められる実用性も抜かりなく追求している。




作り手が直接届ける全国キャラバン
優れたプロダクトを生み出すだけでなく、それをいかにしてユーザーのもとに届けるか。ONE THIRD RESEARCHの販売戦略は、その哲学を色濃く反映している。販路は、直営店と公式オンラインストア、そして全国の百貨店などを巡るポップアップストアが中心だ。いわゆる卸販売はほとんど行わず、作り手自らが顧客と対話する場を大切にしている。「自分たちのフィジカルを使ってお客様に商品を届けていくというスタンスを、しばらくは続けていくつもりです。各地を回り、直接商品を届けています」(本安氏)
その言葉通り、年間を通じて全国でポップアップを開催する「キャラバン」を続けている。ブランドのキーパーソンが店頭に立ち、ものづくりの背景や想いを直接伝える。その堅実な活動は着実に実を結び始めている。直営店では顧客の4~5割を海外からの旅行者が占め、日本の丁寧なものづくりが国境を越えて評価されている。また、ポップアップでブランドを知った顧客が、後にECサイトで購入するケースも増えてきたという。
「ポップアップに訪れた土地からのEC購入が増えているのを見ると、やはり実地でのコミュニケーション効果を感じますね。自分たちとしてもお店で実物を見て、欲しいという想いが高まってから購入する世代でした。その体験の価値は、今の時代でも根本にあるのではないかと思っています」(本安氏)

2025年3月のスタートからまだ日は浅い。しかし、ONE THIRD RESEARCHのプロダクトには、10年以上の歳月をかけてOEM製造の現場で培われた確かな技術と経験が息づいている。ベテランのスペシャリストが生み出した、若くも成熟したブランドだ。
作り手が自らの足で全国を巡り、使い手と直接言葉を交わす。非効率にも見えるそのスタイルこそが、ブランドの価値をもっとも雄弁に物語っているのかもしれない。「ココロ踊る、波動の伝播」を目指す彼らの旅は、まだ始まったばかりだ。
PROFILE

本安 佑基(もとやす ゆうき)
株式会社SANTASU 代表取締役 / ONE THIRD RESEARCH ディレクター
2014年にSANTASUを創業、2016年4月に株式会社SANTASUを設立。国内外ブランドのOEM製造を通じて培った技術と経験をもとに、企画・デザイン・製造・販売を一貫して行うLife Goodsブランド「ONE THIRD RESEARCH」を立ち上げる。「ココロ踊る、波動の伝播。」をコンセプトに、仕事・遊び・休息の境界を自然につなぐ、機能性と美しさを兼ね備えたプロダクトを提案している。
PROFILE

山本 勇介(やまもと ゆうすけ)
株式会社SANTASU / ONE THIRD RESEARCH ショップマネージャー
2025年1月に株式会社SANTASUへ入社。「ONE THIRD RESEARCH」のショップマネージャーとして、店舗運営全般を担当。接客・販売業務に加え、SNS運用やECサイト運営を担い、ブランド認知の向上および売り上げ拡大に向けた施策の企画・実行を担当している。















