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「ウールの常識、ここに覆る」ファクトリエが惚れ込んだ奇跡の新素材 “NIKKE AXIO®” とは?
アパレル製品における国産比率が1%台にまで落ち込む現代の日本。多くの工場がその技術を継承できずに姿を消していくなか、「語れるもので、日々を豊かに」を理念に掲げ、日本のものづくりと消費者を直接結びつける挑戦を続けるブランドがある。2012年に誕生した「ファクトリエ」だ。
そんなファクトリエが「素材の常識を覆す」とまで評し、自社の製品に採用したのが、株式会社ニッケテキスタイルが生み出した超高機能ウール糸「NIKKE AXIO®(ニッケ アクシオ)」である。この特別な素材で作られた「NIKKE AXIO® Premium ドレープTシャツ」は、質を求める層から絶大な支持を集めている。
なぜファクトリエはこのウール糸に惚れ込んだのか。そしてこの一枚のTシャツに、どのような日本のものづくりの神髄が込められているのか。その秘密に迫るべく、同社の小林正樹さんにお話を伺った。
PROFILE

小林 正樹(こばやし まさき)
ファクトリエ/ライフスタイルアクセント株式会社
コンテンツ兼広報担当
1982年大阪府生まれ。大学卒業後、PRパーソン養成スクール「EFAP JAPON」にて広報全般を2年間学んだ後、PR会社2社で広報の経験を積む。PR会社に勤めながら、2012年、メイド・イン・ジャパン専門の工場直結ファッションブランド「ファクトリエ」の創業メンバーとして、2年半ボランティアで務め、その後社員第1号として入社。広報に限らず、コンテンツ作成、出張ファクトリエ(講演活動)、工場ツアー、カスタマーサポート、接客、発送業務、熊本本店店長などあらゆる業務を担当。現在は、コンテンツ兼広報担当として、工場への取材やコンテンツ・メルマガ作成、広報、そして洋服の商品開発にも携わりながら、日本のものづくりの豊かさを発信している。
日本のものづくりが消える? シェア1%台の現実

ファクトリエが創業した2012年当時、すでに日本国内におけるアパレル品の国産比率は極めて低い水準にあった。
「かつては、国内生産が50%を超えていた時代もありましたが、安価な海外製品の流入により、その数字は1%ほどにまで減少しています。国内の優れた技術を持つ縫製工場が、その価値を正当に評価されずに廃業へと追い込まれていく状況を目の当たりにしてきました」
こうした「メイド・イン・ジャパン」の危機に対し、作り手と使い手を直接つなぐことで日本の工場の技術力と価値を可視化し、未来へ継承していくことを目指してファクトリエは設立された。それは、単に商品を販売するのではなく、商品の背景にある物語や哲学を消費者に届け、日本のものづくり全体を再興しようとする試みの始まりだった。
「工場の名前を出す」というアパレルの常識破り
ファクトリエのビジネスモデルで特徴的なのは、製品タグに「Factelier by 〇〇工場」と、製造を担った工場の名前を明記している点だろう。アパレル業界では、ブランド側が製造元を非公開にするのが長年の慣習だった。しかし同社は、その慣習を破り、作り手の顔と名前を前面に押し出すことを選択した。「この12年間で、全国700以上の工場に足を運び、現在約60の工場と提携をしています。北海道や新潟県、和歌山県など、テーラードジャケットやコート、ニットなど、各分野で高い専門性を持つ工場と提携することで、それぞれの強みを生かした製品を開発しています」
中間マージンを徹底的に省き、インターネットを主軸とした販売チャネルにより、高品質な製品を適正な価格で消費者に届ける仕組みを構築した。
ウールの弱点を克服するために

そのファクトリエが、注目したのがニッケテキスタイルが開発した「NIKKE AXIO®」と呼ばれる超高機能ウール糸だった。なぜ新しいウール糸が必要だったのか。そこには、素材特有のいくつかの課題があったからだ。
天然の高機能素材であるウールで製品を作ると、家庭での洗濯による「縮み」、「チクチクとした肌触り」、そしてそれに伴う手入れの煩雑さという、消費者が敬遠しがちな課題がどうしても発生してしまう側面があった。
「ウール繊維の表面には“スケール”と呼ばれるキューティクル構造があり、それによって湿気を逃がしたり、熱を閉じ込めたりすることができます。これがウールの良いところなのですが、逆に繊維が絡み合いやすかったり、繊維の太さによっては、その先端が肌に当たることでチクチク感を生んでいました」
こうしたデメリットを回避するために、防縮加工されたウール糸というものもある。スケールを薬品で削り取ったり、樹脂でコーティングしたりする手法が用いられるが、これらの方法はウール本来の優れた吸放湿性や風合いを損なうというデメリットがあった。
ウールの良さを最大限に生かしながら、デメリットだけを解消する。この難題に応えるために、ニッケテキスタイルはまったく新しい発想から開発を進めてきた。
新素材「NIKKE AXIO®」が実現した機能性とは
その独自技術によって生み出された新素材が「NIKKE AXIO®」である。フィラメント糸を中心に据え、その周りをウールでカバーすることにより、ウール本来の機能はそのままに、これまでの課題を克服することができた。

ファクトリエはこの新たな高機能ウール糸を用いて「NIKKE AXIO® Premium ドレープTシャツ」を製作。従来のTシャツでは得られない高機能性を獲得し、カジュアルさからの脱却に成功した。
「この製品には、大きく3つの特徴があります。第1に、顕著な軽量性です。一般的なヘビーウェイトのコットンTシャツが約250g、ウールTシャツでも200g程度であるのに対し、『NIKKE AXIO®」を使用したTシャツは約120gと、およそ40%もの軽量化を実現しました。
第2に、耐久性の向上です。第三者機関による摩耗検査の結果、防縮加工を施したウールは6,000回で糸が切れたのに対して、『NIKKE AXIO®』はその3倍以上の20,000回まで耐えられ、外観の変化においても12,000回という高耐久性を確保できました。

そして第3に、高い抗ピル性能です。こちらも第三者機関によるピリング(毛玉)試験によって、一般的な基準である3級を大きく上回る4.5級という高い評価を獲得しました」
小林さんは上記を大きな特徴として紹介してくれたが、他にも多くの利点があった。19.5マイクロンという非常に細い繊維によって、チクチク感はほとんど感じられず、またウール本来の吸湿性に速乾性が加わり、洗濯後の乾燥も速い。

そしてもっとも重要な点が、家庭用洗濯機での洗濯を可能にした「ウォッシャブル性能」だろう。これにより、日常着としてウール製品を気兼ねなく着用できるようになった。※品質表示タグでは、念のため手洗い表記だが、ネットにいれた洗濯機洗いで問題ないことを確認済みであるとのこと。
ファクトリエが目指すファッションの未来

ファクトリエの製品は「メイド・イン・ジャパン」、そしてオンライン販売を中心に展開している。具体的なターゲット層はあるのだろうか。
「40代から70代のお客様が多く、お話を伺うと士業の方や経営者の方が多いです。これまではファストファッションを購入していたなかで、人前に立つ機会も増えたため、なにか信頼のおける質の高いものを探しているというお客様に手に取っていただけています」
トレンドに流されず長く使える本質的な価値を持つものを求めるようになった層には、同社のコンセプトは特に強く響くのだろう。それもそのはずで、ベーシックなデザインでありながら、その背景には日本の工場の技術力と開発者の情熱が凝縮されているからだ。
実際に購入したユーザーからも「汗をかいても、まったく肌にくっつかない。サラサラで、汗のニオイも気にならない。この夏場でも涼しさを感じられて、想像以上の機能」という声が届いているようだ。
こうした作り手の物語を伝える同社の姿勢は、テレビ番組「ガイアの夜明け」や「カンブリア宮殿」でも取り上げられ、社会的な共感を呼んだ。それは、消費者が単にモノを所有するだけでなく、その背景にあるストーリーや作り手の想いを含めて価値を見出す時代への変化を象徴している。
日本のウール素材を代表するニッケテキスタイルが開発した新高機能ウール糸「NIKKE AXIO®」、そしてそれを思う存分使ったファクトリエのTシャツをぜひ手に取って、日本企業や工場が誇る高品質・高機能を肌で感じてみてはいかがだろうか。













