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日本を代表するジーンズブランド「FULLCOUNT(フルカウント)」のこだわりのものづくりに宿る哲学

2025.11.26
ハイクオリティなデニムアイテムをつくり続ける、日本を代表するブランド「FULLCOUNT(フルカウント)」。1990年代のヴィンテージジーンズブームの最中に誕生したFULLCOUNTは、細部までこだわり抜かれたジーンズでたちまち人気を集めた。その完成度の高さから「入手困難なジーンズ」といわれるほど、ファッション好きの間で話題となった。
その後も、ヴィンテージライクなものづくりへの情熱を守りつつ、オリジナリティを融合させたスタイルを提案してきた。そしていまでは国内はもちろん、海外からも高く評価され、世界中で展開されるハイクオリティなデニムブランドへと成長している。
今回は、FULLCOUNTが歩んできたものづくりの歴史と現在の定番アイテムについて、株式会社フルカウント代表の辻田幹晴さん、国際営業部で生産部長を務める萩原奨也さんに話を伺った。
まずは、ブランドがスタートした当時のエピソードを辻田さんに語ってもらおう。
「ジーンズの仕事に携わらせていただいたのが、1989年ぐらいからなのですが、クオリティを追求したジーンズをつくりたいと思い、1992年に独立して、自分でジーンズづくりに着手しました。
ヴィンテージジーンズといわれるその時代ものを見ると、1990年代のものづくりとは大きく異なるところがありました。忘れられてしまった縫製やディテールなど、まだまだできることがあるなという思いもあり、実際にブランドとして動き出したんです。
当時は、アメリカやフランスのジーンズブランドが“赤耳”といわれるセルビッチのデニム生地を復刻しはじめていたころでした。日本でも数は少ないですがそういった生地を仕入れられたので、それを使いながら『1101』というファーストモデルのジーンズをつくり、1993年にFULLCOUNTがスタートしました」
現行のFULLCOUNTのジーンズ

FULLCOUNTのファーストモデル「1101」

FULLCOUNTが最初に手がけたジーンズ「1101」について、さらに詳しく話を聞いていこう。ここからは、萩原さんに登場してもらおう。
「『1101』はFULLCOUNTの基本となるストレートジーンズです。セルビッチデニムを用いて、ヒップポケット裏側をリベット留めにした“隠しリベット”や、ウエストボタン部分にVステッチを入れた“返しステッチ”など、いわゆる1940年代~1960年代までのヴィンテージジーンズをデザインソースとしたディテールになっています。
シルエットはその時代に合わせてマイナーチェンジをし続けているのですが、6年前にかなり大きな見直しをはかり、ヒップポケットについていた“飾りステッチ”や“赤タグ”というパーツを廃止したり、シルエットも創業当時のものに戻したりという変更を加えました。
股上がほどよく深く、スタンダードなシルエットの良さは、穿きやすさと合わせやすさを兼ね備えたFULLCOUNT創業時からのこだわりのモデルとなっています」
1101W Straight Denim 13.7oz(One Wash) 30,580円(税込)
Vステッチや隠しリベットなどの仕様

オリジナリティあふれるデニム生地をつくる

高いクオリティで知られるFULLCOUNTだが、その数あるこだわりの中から、今回はオリジナルのデニム生地づくりについて話を聞いていきたい。再び辻田さんに、ブランドが初めてオリジナルデニムを手がけた1990年代当時のエピソードを語ってもらった。
「1994年に、さらに色落ちが良く、穿き心地のいいデニムをつくるために、オリジナルの生地を作りました。しかし、糸から別注して生地を生産するには、当時は最低でも84反、約5,000メートルという大きなロットが必要でした。ブランドを立ち上げたばかりの頃だったため、その決断は非常に大きなものでした。
ジーンズ自体がアメリカのものなので、最初の84反のオリジナルデニム生地はアメリカのコットンでつくりました。もちろんこの素材でもいいものができたのですが、そこから生地のクオリティの追求がはじまります。
昔のジーンズのような生地をつくるには、太さが均等ではない“ムラ糸”をつくらないといけないのですが、それにはコットンの繊維長が必要で、さまざまなコットンを取り寄せてみたんです。
その過程で出会ったのが「ジンバブエコットン」でした。この綿は品質が非常に高く、理想としていたムラ糸を再現することができました。その糸で仕上げたデニムは穿き心地もとても良く、ジンバブエコットンとの出会いによって、自分が目指す“毎日穿けるコンフォータブルなジーンズ”という方向性がはっきりと見えたのを覚えています」
オリジナルのデニム生地が織られている機械
オリジナルでつくられたこだわりのデニム生地

インディゴ染めにも細部までこだわる

さらに、オリジナリティあふれるデニム生地を生み出すためには、インディゴ染めにも強いこだわりがあるという。そのこだわりについても、引き続き話を聞いていこう。
「デニム生地をつくる際に、生地を織る前の縦糸をインディゴで染めるのですが、“中白”(なかじろ)といって糸の芯までインディゴに染まらないように調整してもらっています。そうすることで、理想の色落ちにつながります。
一般的に、染色の際は糸の芯まできちんと染まるように糸を漂白するなどの前処理を行うのですが、昔はそのような処理はきっとしていなかったのではないかと思い、前処理なしで染めてもらったんです。
試行錯誤は重ねましたが、そうするうちに自分が追い求めていた生地になりました。当時、こういった発注をする人間はなかなかいなかったと思うんです。担当工場さんとのコミュニケーションを重ねて、一つひとつの工程にこだわってつくることによって実現させていったんです。
この染め方と、ムラ糸の太い部分が先に擦れて色落ちが起こり、そのコントラストでいわゆる“タテ落ち”といういいエイジングの生地に仕上がるんです。
現在ではこのオリジナルデニム生地もバリエーションが増え、ジーンズ・デニムジャケットで3タイプのオンスを選んでいただけるようになっています。穿きやすさや着心地の軽さを求める方はライトオンスのものを、よりいい色落ちを求める方には厚めのオンスのものをおすすめしています」
創業間もないころ、糸をインディゴで染めている場面 写真奥が辻田さん

オリジナルデニム生地とともにスタートした「0105」というジーンズ

「1101」と並び、ブランドを代表するジーンズのひとつが「0105」だ。このモデルは、FULLCOUNTのオリジナルデニム生地とともに誕生した。
「こうして出来上がったオリジナルデニム生地でつくられたのが『0105』というジーンズです。1994年にオリジナルデニム生地が完成したことをきっかけに、新しい品番としてつくられたモデルですが、現在では先ほどお話しした『1101』を含むすべてのモデルにオリジナル生地が採用されています。『0105』のシルエットはワイドで、ヒップハングを強調するために股上の前後差を大きくした仕様になっています」
0105W Wide Denim 13.7oz(One Wash) 30,580円(税込)

日本のジーンズとして世界で愛されるFULLCOUNT

ブランドがスタートして、今年で33年目となった。現在、FULLCOUNTは国内外で広く展開されている。国内では約80店舗、海外ではおよそ200店舗で取り扱われており、その人気は世界中に広がっている。
「海外進出には時間がかかったんですが、ブランドのコンセプトがきちんと伝わって、いいものを長く使うことや、職人の技術、ものづくりを守るという思想がわかってもらえたことで、現在の規模になったと思うんです」と辻田さんは話してくれた。
アメリカのヴィンテージジーンズにリスペクトを持ちながら、日本製にこだわってものづくりを続けてきたFULLCOUNT。そのジーンズは、「品質の高い日本のジーンズ」という評価へとつながり、世界中にまでその名を広めているのだ。
国内工場でつくられるFULLCOUNTの製品

PROFILE

辻田 幹晴(つじた みきはる)

株式会社フルカウント

代表

1966年生まれ、大阪出身。近畿大学中退後、1989年に大阪梅田のヴィンテージ ショップ、ラピーヌに就職。1991年エビスジーンズに就職。1992年フルカウント立ち上げ。2025年で33年目、直営2店舗、卸先は国内約80店舗、海外約200店舗にて展開。

PROFILE

萩原 奨也(はぎわら まさや)

株式会社フルカウント

生産部長/国際営業部

滋賀県出身。大学卒業後、ライブハウスでブッキングマネージャーを務め、音楽とカルチャーの現場を経験。学生時代に手にしたFULLCOUNTのジーンズをきっかけにアパレル業界へ。現在は同ブランドで生産・企画・海外セールスを担当し、ロックバンドのギタリストとしても活動している。

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