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まるで“レザー”の風格! 開発に5年、アイランドスリッパ渾身の「EVAサンダル」に込めたこだわりとは?

2025.07.17
ハワイ生まれのリゾートサンダルブランド「ISLAND SLIPPER(アイランドスリッパ)」と聞けば、真っ先に思い浮かぶのがトングタイプの「PT(B)202」。品番にある「PT」や「PB」は、それぞれソールのカラーがTAN(タン)かBLACK(ブラック)かを示すコードだ。
この夏、そんな不動の定番に、開発に5年をかけたというEVA素材の新モデル「EVAPT202」が加わった。
革のサンダルにこだわり続けてきたアイランドスリッパが、なぜここにきてEVAに着目したのか? 日本の総代理店である株式会社ジー・エム・ティー プレスの三浦由貴さんにお話をうかがった。

PROFILE

三浦 由貴(みうら ゆうき)

株式会社ジー・エム・ティー プレス

セレクトショップでバイヤーを経験後、海外のハイエンドな靴の輸入・販売を手がけるジー・エム・ティーに入社。アイランドスリッパをはじめ、同社が手がけるブランドのプレスとして多忙な日々を送る。

80年近いブランドの歴史の中で、EVAモデルは初

PT(B)202は、アイランドスリッパの代表作のひとつであるトングタイプのサンダルだ。
オリジナルの「PB202」
ストラップとインソールがフルグレインレザー(皮革の最上層から採取したレザー)やスエードでできているのが特徴で、足裏に吸い付くような履き心地と、レザーならではの経年変化を楽しめる。
そんななか、今シーズン登場したのは、ブランドの歴史上初となる“オールEVA製”だ。
「誕生したのは日本のユーザーの声がきっかけです。PT(B)202はレザー製ということもあって、履き心地は若干重くなりますし、水場では使いにくいというデメリットがありました。
実際、お客様から『もっと軽くて、水に強いモデルが欲しい』という声があり、EVAを使った水陸両用モデルを開発することにしたんです」
「EVAPT202」 9,900円(税込)
本来、EVA(エチレン酢酸ビニル)は、建築材や梱包材に使われるプラスチックの一種だが、その機能性の高さから、近年はスニーカーやサンダルにも多用されている。
「EVAは軽くてクッション性に優れ、歩行時に足に加わる衝撃をしっかり吸収してくれます。水を吸収しないため、雨や汗にも強く、紫外線や寒暖差にも高い耐性があります。
また、カラーリングやテクスチャー加工がしやすい点もメリットでした」

レザーの質感の再現が開発のハードルに

「EVAPT202」 9,900円(税込)
「EVAPT202」のデザインコンセプトは、ブランドアイコンであるPT202をできるだけ忠実に再現すること。だが、開発は困難を極めたという。
「生産を担当したのは、さまざまなグローバルブランドのEVA製フットウエアを手がけるスペインのファクトリーです。
成型はEVA樹脂を高温で溶かし、金型に圧力をかけて流し込んで成形する射出(インジェクション)成型です。
ただ、ファーストサンプルはフォルムこそ再現できていたものの、質感に関しては、いかにもプラスチックというツルツルしたもので、オリジナルとはほど遠いものでした」
レザーの質感の再現は一筋縄ではいかなかった。
「樹脂の配合を変えるなど何度も試行錯誤しましたが、どうしてもうまくいきませんでした。そこで成形に使う金型そのものを見直し、細かいパターンを入れました。
その後、微調整を繰り返すことで、レザーのようなマットな質感に加え、一つひとつのシボまでをも再現することができました。
革ならではのシボ感からステッチまで忠実に再現
ステッチの凹凸も完全にコピーしているので、ウィスキー(写真上)やブラックのカラーは、ぱっと見たかぎりではEVA製とは気づかれないと思います」
コロナ禍もあり、完成までには5年もの歳月がかかったという。

質感はリアルレザーのよう。では、履き心地は?

ヒールカップや土踏まずの盛り上がりなど、インソールのフォルムも忠実に再現
実際に履いてみたところ、オールEVAだけあって、重量を感じないほど軽い。
「クッション性に関しても、EVAの配合を調整することでオリジナルに近づけました。硬すぎず、かといって柔らかすぎない絶妙なバランスに調整しています。土踏まずの盛り上がりも再現されていて、足のアーチを支えてくれます」
表面のシボのおかげで、肌触りもサラサラして心地いい。汚れたら、そのまま水洗いできるイージーケア性もこの素材ならでは。
アウトソールにはレザーやスエードモデルに搭載されるISLAND PRO®(アイランド プロ)と呼ばれる独自のラバーソールを採用。優れたグリップ力も健在だ。
「耐久性に関しては、第三者機関の試験をクリアしています。歩行時に負荷がかかりやすいストラップとソールの接合部分もしっかり作られているので、気兼ねなく使うことができます。
また、環境負荷や倫理上の問題もあり、今後品質の高いレザーの安定供給が難しくなる可能性もあるため、この素材には将来性を感じています」 

エントリーモデルとしても最適なプライス設定

カラーバリエーションはホワイト、ネイビー、ブラック、シルバー、ウィスキー、ベージュの6色展開
コストパフォーマンスの高さも見逃せない。
昨今の円安や原料費の高騰によって、レザー製PT202の価格は2万円台後半に。一方、「PT202 EVA」は、1万円を切る税込み9,900円だ。
「もともとレザーやゴムよりも安価で量産しやすい素材ですが、金型のカスタムや輸送コストの問題もあって、この価格がギリギリです。ただ、このモデルをきっかけにアイランドスリッパの魅力を知ってもらいたい、という思いもあるので、手に取りやすい価格設定にこだわりました」
発売されたばかりだが、その人気には、たしかな手ごたえを感じているという。
「ポップアップショップで先行発売したところ、通常の2、3倍のペースで売れました。すでにPT202をお持ちの方が、履き心地に納得してご購入いただくケースも多いです」
セレクトショップのバイヤー陣にも好評で、今シーズンはビームスでも展開されている。
「デニムはもちろん、スラックスやセットアップにもマッチするのがアイランドスリッパのいいところ。このモデルもしかりで、足元にこなれたヌケ感を演出してくれます」
人気を受けて、今後は派生モデルの開発も計画されているという。
「まだ企画段階ですが、シャワーサンダルタイプの705やクロスベルトの223などが候補に挙がっています。ほかにも、EVAでしか実現できないようなデザインもあると思うので、新しいモデルが登場する可能性もあります」
レザーの質感や心地いいフィット感はそのままに、水陸両用できて、ケアもイージー。それでいて価格はオリジナルの半分以下。EVAのポテンシャルが最大限に引き出された「EVAPT202」を、一度試してみてはどうだろう。

Text by Ryota Osujo

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