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国井栄之のKICKS OF THE WEEK

2025年の私的No.1キックスは adidas(アディダス)「RAD LANDER(ラッドランダー)」

2025.12.24
「ミタスニーカーズ」のディレクターである国井栄之さんが、毎週、独自の視点で気になるスニーカーをピックアップして率直な主観で語る動画「国井栄之のKICKS OF THE WEEK」との連動企画。
第6回は、今年を締めくくるにふさわしく、「2025年の私的No.1キックス」というテーマでスニーカーを選んでもらった。そのテーマに対して、今年一番印象深いというadidas(アディダス)「RADLANDER(ラッドランダー)」を紹介する。このモデルがなぜ2025年のNo.1のスニーカーなのか、その理由を国井さん本人に聞いた。

今年の逸足としてチョイスしたのは90年代の名作復刻モデル

数多の新作スニーカーや復刻モデルが登場した2025年。今回のお題は「国井さんが選ぶ2025年の私的No.1キックスは?」というもの。1つに絞るのは難しいと前置きしながらも国井さんはこう答えてくれた。
「1998年に発売されたアドベンチャーシューズの名機なのですが、当時は『ラッドランダー』という名前ではなく『BADLANDER(バッドランダー)』という名前で呼ばれていました。90年代のオリジナルを見てきた僕たちにとって、個人的にはこのモデルを見るといまだに『バッドランダー』と言ってしまいます。ですが、今回の復刻のタイミングでは商標の問題で『ラッドランダー』に変更になりました」
2016年にリリースした「シーユーレイター ミタ」のデザインコンセプトを踏襲。クラシカルなカラーリングもお見事。(参考商品)
なぜ今回、このモデルを今年の私的No.1のスニーカーとして選んだのだろうか。その理由を国井さんはこう続ける。
「実はこの『ラッドランダー』が誕生した経緯に、その理由が隠されています。話はこの連載の初回で紹介した、世界の選ばれたスニーカーリテイラーが参加したデザインコンペ『コンソーシアムカップ』に遡ります。その大会では各テーマに沿ったデザインで勝ったショップが次のラウンドに進めるトーナメント方式になっていました。
トーナルカラーで統一されたシックなカラーリングが現代的な印象。甲部分をカバーするシュラウドを配した独創的なデザインも魅力。(参考商品)
試合に勝ち上がってからそのスニーカーを作っていたのでは間に合わないので、裏では3回戦目までのスニーカーを準備していたんです。さらに優勝特典としての賞品が、『アディダス』の中で好きなモデルを自由に作れるというものでした。
その賞品としてオファーしていたのが『ラッドランダー』だったのです」

復刻が待ち望まれていた「バッドランダー」

「コンソーシアムカップ」の優勝賞品を作ることができる幸運を掴んだという国井さん。その経緯をこう続ける。
「元々、2016年に『アディダス』の『シーユーレイター』という高機能トレイルランニングシューズの復刻プロジェクトにも携わっていました。もし『コンソーシアカップ』で優勝できたら、『バッドランダー』の復刻を待ち望んでいるファンも多いので、そこでローンチできたら最高のタイミングでした。
脱ぎ履きしやすいようにシューレースシステムを工夫するなど、現代的なアイディアも注入。ヒール部分には履く際にサポートしてくれるストラップテープも付属
ただ、結果的に1回戦にて1票差で負けてしまったので、この話はなくなったと思っていたのですが、『アディダス』側に他のショップからも『バッドランダー』はいつ復刻するのかという問い合わせが殺到していたようで、『アディダス』側からもインラインでの復刻ができるタイミングで、前々から話をしていた僕たちに話が来たのです。
1回戦負けした僕たちが、まさかの優勝賞品を手にするという幸運があったので、その印象と思い入れから、2025年の私的No.1スニーカーとして選びました」
シューズ内部をドライで快適に保つウォータープルーフ機能「adiDRY」テクノロジーも搭載
国井さんのお話を伺っていると、このモデルの裏にはそんな話があったのかと驚くばかりだが、国井さんの時代の流れを読む力とセンス、そして何よりその情熱が、今回の復刻モデル誕生を引き寄せたといっても大袈裟ではないだろう。

激動の2025年スニーカーを取り巻く環境を振り返る

今回の復刻ではどんな部分にこだわったのだろうか。気になるデザインポイントも国井さんはこう答えてくれた。
「復刻するだけだから簡単だと思われがちですが、実は正解があるものを復刻するのが一番難しい。だからこそ当時のファンの期待を裏切らないために、ボリューム感のあるシルエットやアウトソールのマーブルカラーなど細かいディテールまで突き詰めて作っています。
アウトソールのマーブルカラーなど、復刻に関しては細かいディテールにまで気を配った
個人的には、隠れてはいますがカラーリングによってシューレースのシステムを変えたところが気に入っています」
ちょっと早いが、2025年はスニーカー業界にとってどんな年だったのかを国井さんに振り返ってもらった。
すばやくフィット感が調整できるシューレースストッパーを配置するなど実用性も考慮した
「2025年は為替の影響もあり、世界の中で一番スニーカーが安いのは日本ではないかという状況になって、例年にも増して世界中からたくさんの人たちがショップを訪れてくれた年でした。
逆にいうと、日本ではどんどんスニーカーの価格が上がって、昔だったらこの値段で買えたのに……とか、いろいろと思うところがありながらスニーカーと向き合った1年でしたね。
日本のトレンドを振り返ると、昔みたいにハイパーローカルなモデルが身内流行りして、じわじわと広がっていくことも少なくなりました。
ただY2Kといった世界的な大きな潮流から爆発的にヒットするモデルが登場するなど、僕たちが予想できないところも面白かった1年でした。来年はどんなモデルがヒットするのか、これから楽しみです」
スニーカーのプロである国井さんでも予想しきれない現代のスニーカーの潮流だが、来年はどんなモデルが人気になるのだろうか。それはこの動画連動企画をしっかり読み込んでもらえれば、なんとなく見えてくるのかもしれない。

PROFILE

国井 栄之(くにい しげゆき)

mita sneakers ディレクター

東京の下町である上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案するmita sneakersでディレクターを務める。数多くのブランドとのコラボモデルや別注モデルを手掛け、その手腕を発揮。現在は虎ノ門ヒルズにオープンしたショップ「Herringbone Footwear(ヘリンボーン フットウェア)」の外部ディレクターも務める。世界的プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐にわたり、スニーカープロジェクトに携わるスニーカー業界の最重要人物。

mita sneakers

東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル1F路面店TEL:03-3832-8346 営業時間(平日)11:00~19:30、(土日・祝日)10:00~19:30 https://www.mita-sneakers.co.jp/

Photo by Hiroyuki“Lily”Suzuki(StudioLog)

Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)

Original Movie

国井栄之のKICKS OF THE WEEK #06 adidas RADLANDER

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