

「ミタスニーカーズ」のディレクターである国井栄之さんが、毎週、独自の視点で気になるスニーカーをピックアップして率直な主観で語る動画「国井栄之のKICKS OF THE WEEK」との連動企画。
第9回は、40〜50代のキックスフリークには懐かしい「Kaepa(ケイパ)」の「1270(トゥエルブセブンティ)」を紹介。50周年を迎えた同ブランドから登場した90年代の名機が復刻された経緯と、このモデルの魅力を国井さん本人に聞いた。
感度の高い先輩の足元を彩った「ケイパ」
今回紹介する「ケイパ」はサイドアッパーに三角のスナップインロゴを配したデザインで、1980年代後期に大ブレイクしたブランド。この時代を知る40〜50代のファンには懐かしさを覚える人もいるかもしれない。今回、なぜこの「ケイパ」を選んだのか、その理由を聞いてみると国井さんはこう答えてくれた。

「僕が1976年生まれで『ケイパ』はちょうど1つ年上のブランドになるのですが、僕が中学生の頃、先輩が履いていたのが印象的でしたね。校則が厳しいなか、シューズとしてギリギリいじれたのがシューレースやサイドのスナップインロゴで、感度の高い先輩が履いていたイメージがあります。
本国のアメリカではフィットネスブームの時期に人気を博しましたが、日本では今回紹介する『1270』のようなテニスシューズとして人気を獲得したと記憶しています。

やはりサイドのスナップインロゴが自分好みにカスタマイズできるので、こだわっている人はカッターでロゴを切ってツートーンカラーにするなど、セルフカスタマイズのはしりだったのが懐かしくて選びました」
確かに、筆者の先輩も同モデルを履いていた記憶があり、「ケイパ」を目にしたときに懐かしさを感じたが、一方で若い世代にとっては、90年代のアーカイブとして目新しく映るのだろう。
大きな特徴は“スプリットヴァンプ”とスナップインロゴ
ブランド自体も懐かしいのだが、こちらの「1270」は往年のテニスシューズとして人気を博したモデルだ。このモデルの特徴についても国井さんはこう語る。「『1270』は1992年にテニスカテゴリーから生まれたモデルです。大きな特徴は2つあって、ひとつは分割されたヴァンプ構造によって、足の動きを妨げることなくスムーズな動きをサポートする“スプリットヴァンプ”です。
『ケイパ』というとどうしてもサイドのスナップインロゴに目が行きがちですが、僕はこの“スプリットヴァンプ”こそが大きな特徴だと思います。

これはブランドの創業者でもあるトム・アダムスがテニスの試合中に靴紐が切れてしまって、急遽2つの結び目を作り、その方が安定してプレイできたという体験から生まれた機能です。
最近のハイブランド、特にレディスのシューズで蝶々結びを2つ作っているデザインもありますが、あの元ネタが実は『ケイパ』にあったのは皆が知らないところですね。
2つ目の特徴はもちろんスナップインロゴです。当時はスナップインロゴ自体が販売されていたのですが、今回の復刻に合わせてノベルティとして好きな色をもらえる購入特典がついているのもうれしいですよね。

またシューレースも“スプリットヴァンプ”に合わせて2組同梱されているので、自分ならではのデザインにカスタムしてほしいと思います」
さまざまな年代の人々の記憶に色濃く残るブランド
今回の復刻にあたり、メーカー側もアーカイブを探すのに苦労していたらしいが、驚きのウルトラCで解決したとのこと。その経緯についても国井さんはこう語る。「世代によっては“『ケイパ』ってあったね〜”とか、“懐かしいね〜”と言ってくれる人も多いのですが、その当時、いわゆる普段履きのシューズだったこともあって現存するモノがなかったようです。
たとえば『ナイキ』や『アディダス』のようなスニーカーブランドのようにコレクターも少ないので、日本チームも加水分解していない『1270』を探すのに四苦八苦していたらしいです。

ただ、ニッチなスニーカーコレクターの方がこのモデルをお持ちだったようで、そのモデルを購入させていただいて、そこからパターンを引いて復刻に至ったという経緯があります」
“JAPAN EXCLUSIVE”と銘打った「1270」の復刻は、日本のニッチなスニーカーコレクターの方が持っていなかったらなし得なかったのだ。

最後にこのモデルの魅力を聞いてみると国井さんはこう答えてくれた。
「『ケイパ』はその世代によって思い入れが変わるブランドだと思います。もちろん『1270』を筆頭にテニスシューズとしての印象は強いですが、鈴鹿8耐というバイクレースに出場するチームのカラーを表現したシューズとして、バイクに乗りにとっても懐かしいと感じるシューズになっています。
スポーツブランド『ケイパ』としてだけでなく、日本ではいろいろなカルチャーに入り込んでいったブランドとして記憶に残っているところが魅力ですね」
PROFILE

国井 栄之(くにい しげゆき)
mita sneakers ディレクター
東京の下町である上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案するmita sneakersでディレクターを務める。数多くのブランドとのコラボモデルや別注モデルを手掛け、その手腕を発揮。現在は虎ノ門ヒルズにオープンしたショップ「Herringbone Footwear(ヘリンボーン フットウェア)」の外部ディレクターも務める。世界的プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐にわたり、スニーカープロジェクトに携わるスニーカー業界の最重要人物。

mita sneakers
東京都台東区上野4-7-8 アメ横センタービル1F路面店TEL:03-3832-8346 営業時間(平日)11:00~19:30、(土日・祝日)10:00~19:30
Photo by Hiroyuki“Lily”Suzuki(StudioLog)
Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)
Original Movie















