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心地よい肌触りを科学する:ベルメゾン発の新素材「メルトロ」の挑戦
その特徴は、カシミヤよりも細い繊維を使用し、ボリュームたっぷりに編み上げた独自素材にある。2011年の誕生以来、「気持ちいい」という感覚を追求し続け、今や冬の定番商品として確固たる地位を築いているのである。
しかし、その開発背景や独自の製法については、これまで詳しく語られることは少なかった。
そこで今回は、メルトロの開発に携わる岡田 光司さんに、開発秘話とこだわりの製法について話を伺った。
PROFILE

岡田 光司(おかだ こうじ)
株式会社千趣会
2013年に千趣会に新卒入社。入社以来、インテリアファブリックのバイヤー(商品企画&開発)業務に従事。2024年よりMD業務、チームのサブマネージャーも兼務
独自素材が生んだベルメゾンの冬の定番

冬の部屋着や寝具選びで、多くの人が重視するのが肌触りだろう。しかし、メルトロ開発前の2011年当時、機能性や価格を前面に打ち出した商品は多くあったものの、心地よい肌触りにとことんこだわった寝具は、意外にも少なかった。
そんななか、ベルメゾンの商品開発チームで、ある提案が生まれた。岡田さんは当時をこう振り返る。
「毎シーズン、新商品の開発前に『やりたいことミーティング』という案出し会を実施しています。当時、ご好評いただいている秋冬向けの商品はたくさんありましたが、特に冬の部屋着や寝具に重要な肌触りに特化した商品はあまりありませんでした。
機能や価格以上に、とにかく自分たちが気持ちいい! と自信をもって推せる肌触りのものって作れないか? という案から、開発がスタートしました」
その決断は、素材選びの過程にも表れた。有名ブランドの生地や高級素材にこだわるのではなく、とにかく「気持ちいい」と感じられる素材を徹底的に探すことになったという。
「使用する素材や糸のネームバリューにこだわらず、国内外からとにかく大量の気持ちいい秋冬素材の生地を集めて、バイヤー目線で生地を厳選していきました。何度もチームメンバーで検討を重ね、最終的に、チーム全員が『これは気持ちいい!』と思える素材を採用しました」

この独自の素材を使い、最初は寝具(布団カバー、敷きパッドなど)から販売をスタート。その評判は、チームの予想を上回るものだった。年を重ねるごとに徐々に商品の幅を広げていき、現在では、ラグやこたつ、着る毛布やガウンジャケットなど、さまざまなジャンルの商品を幅広く展開。どの商材においても、その心地よさやあたたかさを評価する声が数多く寄せられている。
価格や機能性ではなく、純粋に「気持ちいい」という感覚を追求する、その揺るぎない姿勢が今では冬のベルメゾンを代表するシリーズを生み出すこととなった。
こだわり抜いた生産工程が実現する至高の"なめらかさ"

製品の品質は、生産工程の細部に宿る。メルトロシリーズもまた、一つひとつの工程へのこだわりが、その品質を支えている。
生地生産の最終段階では、通常の製品よりも多くの仕上げ工程を重ねることで、独特の風合いを生み出している。しかし、その工程を支えているのは、特殊な設備ではないという。岡田さんは、その理由をこう説明する。
「生地を生産した後の最終工程では、従来品より多くの工程をかけることで、丁寧に仕上げています。設備に関しては、特別なものではありませんが、どの工場でもできるかというと答えはNOです。生産工場担当者の長年培われた技術や経験あってのものだと思っています」
品質の安定性を保つため、生産体制にも独自の工夫を重ねてきた。
「過去は年によって生産工場が変わっていたこともあり、どれだけ繊維や工程を指定しても『なめらかさ』が安定しませんでした。今は生地の生産工場を固定したこと、社内関係者の複数人のチェックを挟むことにより、安定性が高まっています」
そして、完成した生地は独自の品質管理工程へ。一般的な検品とは一線を画す、メルトロならではの基準で念入りにチェックされる。
「一般的な検品は当然行いますが、そのうえで『なめらかさ』のチェックが必要です。数値上の基準はあえてもっておらず、シンプルに『自分たちが気持ちいいと思えるか』が基準です。毎ロット生産のたびに、生地があがり次第、社内関係者複数人の目で気持ちいいと思える生地か? を厳重にチェックしています。チェックの際には基準生地を保管しているので、横並びで触って肌触りを確認しているんです」
工場担当者の職人技と、開発チームの感性。この2つが融合することで、メルトロならではの品質が守り続けられている。
進化を続けるメルトロの未来

ヒットシリーズにおいても、進化をやめた瞬間に陳腐化が始まる。多くの長寿商品ブランドが、この事実に直面してきた。メルトロシリーズでは、「より心地よく」を追求し続けるなかで、顧客視点での取り組みを重ねている。
「販売中の商品に関しては商品レビューを日々お客様からいただくので、レビュー確認はルーティン業務の一環です。生産工場と連携して短期的に対応できるもの、中長期で対応検討するもの、内容によりさまざまですが、貴重な財産として活用させていただいております。
また直近では新たな取り組みとして、お客様とのモノづくりも進めており、これまで以上にVOC(顧客の声)を活用した商品開発を進める予定です」
メルトロは、多くのファンを獲得してきたが、市場環境の変化や類似製品の台頭に伴い、新たな岐路に立っている。最後に、今後の展望を伺った。
「当然ではありますが、市場におけるメルトロの立ち位置をより明確にしていきたいと考えています。類似品も市場で多く出回り始めてきていると認識しており、今のままでは頭打ちです。
明確な差別化ポイントはやはり肌触りであると強く認識しているので、今の完成されたメルトロの肌触りをより高めるにはどうすればいいか? を試行錯誤しています。
また、重さに関する改善のご要望、今後の新シリーズとして天然素材の開発ご要望を多数頂戴しており、このあたりも検討を重ねています。課題は山積みでどれもハードルが非常に高くはありますが、日々のお客様からの商品レビューコメントを励みに、楽しみながら商品開発を進めていきたいと思っています」
独自の製法と妥協なき品質管理に支えられたメルトロは、より快適な暮らしの実現に向けて、さらなる進化への挑戦を続けている。
Text by ogurin















