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マムートの「ドライ・ダウン」コレクションが教えてくれるのは、“本物の暖かさ・軽さ・動きやすさ”
2024年秋冬シーズンよりスタートした、マムートの「ドライ・ダウン」コレクション。2シーズン目を迎えた今季、ジャケットをはじめとしたそのダウンウエアの評価が確実に高まってきている。
「マムートのダウンジャケットは、一度袖を通すと病みつきになる」
そんな声を耳にするのだ。いったいどんな点が優れているのか。そしてなぜ“病みつき”になるのか。
機能の核心である独自素材「ドライ・ダウン」の詳細と、その特性を生かすための服の構造について、マムート・スポーツグループジャパン株式会社マーケティング部の宇津木正太さんに話を聞いた。
PROFILE
宇津木 正太(うつぎ しょうた)
マムート・スポーツグループジャパン株式会社
アシスタント・ブランドマネージャー
2008年にオープンしたマムートの日本一号店にオープニングスタッフとして勤務。店長、エリアマネージャーを経て、本社マーケティング部に所属。趣味は登山。夏のハイキングはもちろん冬山からアイスクライミングまで、多彩なアプローチで山を楽しんでいる。
「ドライ・ダウン」とはいったい何か
まず明確にしておきたいのは、マムートは厳然たるアウトドアブランドだということだ。1862年にスイスで設立して以来、厳しい山岳環境のなかで培ってきたプロダクトの数々が、世界中のアルピニストたちから厚く支持されている。「マムートは、“Head to Toe”(頭から爪先まで)のアイテムが揃う総合アウトドアブランドです。ロープメーカーとしての出自からクライミング関連の商品に強みがあります。また雪崩対策のためのビーコンやスノーショベルといった、いわゆるアバランチギアの評価も高いです。
アパレルに関しても『ウエア(服)ではなくギア(道具)である』という価値観のもとで作られています。デザインありきではなく、必要な機能を形にしていくなかで、プロダクトとしての必然的なデザインが完成する。そんな考え方がベースにあるんです」

現在ではクライミング用のハードタイプウエアや、バックパック、フットウエア、そして「アーバニアリング」と呼ばれるタウンユースのアイテムまで、幅広い商品を揃えている。
そんな多彩な商品のなかで2024年の秋冬シーズンに登場し話題を集めているのが、独自素材である「ドライ・ダウン」を採用したコレクションだ。
「ダウンの保温性は、羽毛の繊維間に含まれる空気の層によって確保されます。外部からの水の浸入や、身体から発生する湿気によってぬれると、羽毛がしぼんで保温性は低下してしまいます。
『ドライ・ダウン』は、高品質のダウンに特別な撥水加工を施した素材です。羽毛繊維の一本一本までトリートメントしているので、万一水にぬれても乾きやすく、優れた保温性を発揮してくれます」

なぜぬれにくくなるのか。ごく簡単に言えば、トリートメントによって羽毛繊維の表面に細かい凹凸ができる。その凹凸があることで、水による羽毛同士の結着を防ぐのである。そして結着しても入り込んだ水は凹凸のおかげで素早く放出され、羽毛同士が剥がれやすいのだ。
もちろん「ドライ・ダウン」は、単体で高い機能を発揮する素材である。しかしながら、中綿のダウン素材が服としての快適さを維持するためには、そもそもが“ぬらさない・ぬれない構造”に守られていることが前提と言える。
その構造の具体例として今回は、表地にゴアテックスを採用した「オベリスク ゴアテックス ハードシェル サーモ コート アジアンフィット」(以下、「オベリスク」)にフォーカスする。
「ドライ・ダウン」の暖かさを十分に発揮するために、どんな工夫があるのか。詳しく見ていこう。
“街ダウン”の最上位モデル「オベリスク」
「既存の人気モデル『フローバーグ』を超える最高のダウンを作るというコンセプトのもと、2024年秋冬シーズンに登場したダウンジャケットが『オベリスク』です。実用的かつ都会的なデザインが特徴の、タウンユースを前提としたモデルです。
とはいえその防水性や保温性、耐久性はきわめて優秀です。降雪のある地域への出張やスノーリゾートでの着用にも、十分に対応してくれます」

スタイリッシュな見た目だが、もちろんその機能は質実剛健である。表地には、優れた防水性と透湿性を持つ2レイヤーのゴアテックスを使用。通常の使用において、中綿である750フィルパワーの「ドライ・ダウン」がぬれる心配はない。抜群の暖かさを発揮して、寒さ厳しい季節を快適に過ごすことができるのだ。

暖かさの理由は、表地と中綿だけによるものではない。
「高く設定された襟、ドローコードを絞ることで頭にフィットするフード、そしてフラップ付きの前立てが、風や冷気の侵入を防いでくれます。
大きな面ファスナーが付く袖口も特徴です。ボタンやゴムよりもしっかりと閉まるので、防寒性が高まります。この部分も、機能を優先するマムートらしいデザインのひとつと言えます」


気密性とフィット性が高まれば、ダウンに含まれる空気はおのずと体温で暖まりやすくなる。「オベリスク」の暖かさは表地、中綿、そして身体にフィットするシルエットとプロテクションの、複合的な作用によるものなのである。
そして身体から発する湿気は、その表地のゴアテックスと中綿の「ドライ・ダウン」によって、外部へ放出されるというわけだ。
では動きやすさはどうか。フィット性が高まれば、その着心地は多少窮屈になってしまうのではないか。
「その点はまさに、マムートが長年にわたり研究を重ねてきた部分です。冬山をはじめとした厳しい山岳環境のなかで、いかに機動性を確保するか。具体的には表地の素材や立体裁断によって、動きやすさを実現しています。
また山においては軽さも重要です。着用するアイテムの重量が生死を分ける場合もありますから。タウンユースを想定している『オベリスク』にもその哲学は息づいています。
本体の生地や中綿の軽さはもちろん、ファスナーやドローコードといった付属物は、使いやすさを担保したうえで小さく、軽いものを選んでいます。軽さもまた、動きやすさと密接に関係する要素なのです」
実際に着用すればその暖かさはもちろん、軽さと動きやすさに改めて驚かされるはずだ。腕の上げ伸ばしや上体の屈曲が、楽に行える。たとえば電車の吊り革につかまったり、フロントファスナーを閉めて自転車に乗ったりしても、ストレスを感じることはまずないだろう。

また袖丈が短く身幅がやや広い設計のアジアンフィットであることも、動きやすさに寄与しているはずだ。我々が日常使いする“街ダウン”として、「オベリスク」はきわめて優秀な一着なのである。
「マムートのダウンジャケットは、一度袖を通すと病みつきになる」
冒頭に記したこんな声も、こうして「オベリスク」を深掘りしてみると至極納得である。機能の追求が生んだ本物の暖かさ、軽さ、動きやすさを、ユーザーは確かに実感し、評価しているのだ。
“本物”をベースとして新しいことに挑む
では、「オベリスク」を含むマムートの「ドライ・ダウン」コレクションは、素材や機能においてこの先どのように進化していくのだろうか。「表地や中綿といったマテリアルに関して言えば、機能的には行き着くところまで来た、というのが正直な印象です。
しかしながらパターンや縫製といった構造面で改善すべき点は随時発生すると思いますし、環境保全を主眼としたサステナブルな取り組みにリミットはありません。
そしてダウン製品は、世の中のニーズの変化に対応していかざるを得ない宿命にあります。たとえば温暖化がさらに進めば、オーバースペックなダウンジャケットは不要になる。“今このとき最適なダウンウエアとは何か”の追求は、たゆまず継続していく必要があります」

現在マムートの「アーバニアリング」カテゴリーにあるダウンジャケットは、今回紹介した「オベリスク」と、「フローバーグ」および「ロセグ」の3モデルである。今後、新たな“街ダウン”が登場する可能性はあるのだろうか?
「あります。2026年の9月もしくは10月には、新モデルを発売する予定です。マムートらしい新たなハイエンドラインのなかの一着、という位置付けです。ぜひご期待ください」
その詳細は今年中に発表される予定だ。“本物”を作り続けてきたマムートが挑戦する、新たなアプローチのダウンジャケットである。現在ラインナップしているダウンジャケットの進化も含め、改めて、マムートの今後の動向を注視していきたい。

















