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機能性とフェミニンの融合が生んだミズノ×Ameri「美心インナー」誕生の舞台裏
スポーツテクノロジーを長年研究してきたミズノが、若い女性から熱い支持を得るAmeriと初のコラボレーションを実施し、「美心インナー」シリーズを発売した。これまでもさまざまなブランドとの協業を行ってきたミズノだが、今回はスポーツテイストを排したフェミニンなデザインラインであり、ミズノも「これまでにない反響が寄せられている」と語る。
背景の異なるふたつのブランドはなぜ共創に至ったのか。ミズノ株式会社アスレティック事業部ライフ&ヘルスマーケティング部の有賀七瀬さんとグローバルアパレルプロダクト本部 の塩田有彩さんに話を聞いた。
PROFILE
有賀 七瀬(あるが ななせ)
ミズノ株式会社
アスレティック事業部ライフ&ヘルスマーケティング部
PROFILE
塩田 有彩(しおた ありさ)
ミズノ株式会社
グローバルアパレルプロダクト本部
「弊社には約30年以上の歴史を持つ“ブレスサーモ”という機能性素材があります。アスリートを中心に幅広い方々にご愛用いただいていますが、一方でスポーツとの接点が低い若い女性には十分に知られていないという課題がありました」と塩田さんは語る。
スキーウエアの開発過程で誕生したブレスサーモは、空気中の湿気や身体から発生する水分を吸収して発熱し、保温しながら、衣服内をドライで快適な状態に保つ高機能素材である。プロアスリートからの信頼も厚く、その実績は折り紙付きだが、いかにしてファッション志向の若年層に届けるのかが、長年のテーマになっていた。
「なかでも現在アパレル業界ではEC販売やSNSの強化が当たり前になっていますが、ミズノではそれらを十分に活用しきれていないと感じていました。そこで若い女性にしっかりとアプローチをできるブランドを探していたのです」と有賀さんは語る。

今回コラボに至った経緯は、上司と塩田さんの会話がきっかけだった。
「『どんなブランドで服を買っていますか、どんなSNSを見ていますか』と立ち話になりました。そのときに挙げたブランドがAmeriです。
モードで辛口な要素がありながらも、女性らしさもある絶妙なデザインと世界観がとても好きで、『今日着ているのもAmeriの洋服なんです!』と話をしたのですが、次に呼ばれたときには『コラボの話を進めようと思う』と言われて驚いたことを覚えています」
吸湿・発熱素材のブレスサーモが冬のファッションを変える
慎重な姿勢を貫くことの多いミズノとしては、異例とも言えるスピード感だった。一方で、Ameri側もミズノとの協業に強い意義を感じていたという。
「先方はちょうどインナーアイテムの拡大をしたいと考えていたタイミングでした。ブレスサーモのような高機能素材は、一般的なアパレルブランドでは取り扱うのが難しく、自社だけでは作れないインナーを開発できるという点に魅力を感じていただきました」(有賀さん)
実際にプロジェクトが始まると、両社は綿密なディスカッションを重ね、互いの強みを持ち寄った。ミズノは機能性と快適性の担保、Ameriは美しさの追求と、役割は明確だった。デザインプロセスでは、Ameri側が表現したいデザインやシルエットに対し、ミズノが動作解析やパターン技術の知見をもとにカッティングや素材の提案を行った。
「Ameriの美しさとミズノのスポーツ由来のテクノロジーをどう融合させるかが最大のポイントでした。土壌が異なる2社ゆえに、どちらかの主張が強すぎるとコラボの価値が薄れてしまい、それぞれの顧客様にとって見慣れたものになってしまう。そのため2社の強みを最大限に生かすことに主軸を置きました」と塩田さんは語る。

Ameriは“ファッションにルールはない”をブランドコンセプトに掲げている。その思想は今回のコラボでも踏襲され、「魅せるインナー」がテーマに設定された。「見せても恥ずかしくないインナー」という発想は、ミズノ社内に鮮烈なインパクトを与えた。
スポーツメーカーが見た、デザインやスタイリングが持つ重要性

「たとえば、Vネックのロングスリーブをオフショルダーで着たり、ノースリーブのVネックを重ねてみたり。さらに、カップ付きキャミソールを一枚で着るという提案までありました。そうした着こなしの発想はミズノにはまったくなかったものでした。サンプルを発表するたびに、社内がざわつき、『どんなシーンで着るのか』『どうやって着るのか』と質問が飛び交いました(笑)。
ファッションにおいては、インナーだからこう作るべきという発想から脱却し、どうすれば魅せる着こなしにできるかも重要だということを、社内全体で学ばせていただきました」(有賀さん)
ミズノがウィークポイントだと感じていたSNSやECのビジュアル制作も、今回はAmeriが担当。そこにも多くの学びがあったという。

「特に魅せ方については非常に学ばせていただきました。王道だけが正解ではなく、どうスタイリッシュに魅せるかが重要だと実感をしました。ただ、数ヶ月で真似できるようなものではないので、正直、今はサイトを比較して見ていただければ違いがわかってしまうと思います(笑)。ここから全員で学んでいく段階です」(塩田さん)

完成したインナーは、女性らしい曲線美やシルエットと、スポーツ由来のテクノロジーによる温かさ、心地よさ、動きやすさを併せ持つものに仕上がった。

「温かさや着心地のよさを実感することで、心まで美しくなれるインナーとして『美心インナー』と名付けました。この着心地と美しさをぜひ楽しんでいただけたらと思っています」と塩田さんは語る。
発売から間もないが、「業界の方や友人からも連絡をもらった」というほど、想定以上の反響を得ているという。

「まだ初速ではありますが、弊社はベーシックなアイテムが売れると予測をしていました。ところが実際にはデザイン性のあるタイプの方が動いており、お客様からも『こんなインナーが欲しかった』というお声を多くいただいています。寒い中でもしっかりとおしゃれを楽しみたいというお客様が数多くいらっしゃることに、弊社としては驚いています」(有賀さん)
今回のコラボレーションを通じて、ミズノはスポーツテクノロジーの新たな可能性を感じている。今後はファッション領域を含む幅広いジャンルとの共創をさらに模索していくという。スポーツとファッションの新たな融合がどのような商品を生み出していくのか、今後も目が離せない。
Text by Junko Hayashida














